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特に、税負担率の実績と予測が乖離する原因として、税務上の繰越欠損金が生じたと
きに将来において課税所得が生じる見込みがないため評価性引当額を計上するケース
や、税務上の繰越欠損金に係る評価性引当額を計上していたときに、課税所得が生じ税
務上の繰越欠損金を利用したことにより評価性引当額が減少するケース等、税務上の
繰越欠損金に関連することが挙げられることが多いため、当該税務上の繰越欠損金に
係る評価性引当額は有用な情報となると考えられる。
27. また、財務諸表利用者が繰延税金資産の回収可能性に関する不確実性の評価の観点か
ら分析を行う場合、従来の発生原因別の注記には、どの一時差異等に対する評価性引当
額が計上されているのかが記載されていないため、当該評価が困難となっていたと考え
られる。
ここで、評価性引当額を項目別に算定し記載する場合、将来減算一時差異等の各項目
に係る評価性引当額については一定の仮定を置いた計算等により按分して算定せざる
を得ないケースが生じると考えられるが、当該按分により算定された将来減算一時差
異等の各項目に係る評価性引当額は、個々の将来減算一時差異等の解消の順序が定め
られていない中で、必ずしも有用な情報とはならないと考えられる。
一方、税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産は、他の将来減算一時差異等に係る繰
延税金資産よりも一般的に回収可能性に関する不確実性が高いとされているため、当
該税務上の繰越欠損金に係る評価性引当額は、比較的、回収可能性に関する不確実性が
高い繰延税金資産の額を理解する上で有用な情報となると考えられる。
28. これらを踏まえ、発生原因別の注記として税務上の繰越欠損金を記載している場合で
あって、当該税務上の繰越欠損金の額が重要であるときは、これまで発生原因別の注記
に記載されていた評価性引当額の合計額について、税務上の繰越欠損金に係る評価性引
当額と将来減算一時差異等の合計に係る評価性引当額に区分して記載することを定め
ることとした(第 4 項に定める税効果会計基準注解(注 8)(1)参照)。
(評価性引当額の内訳に関する数値情報の記載の要否に関する重要性の判断)
29. 評価性引当額の内訳に関する数値情報は、第 25 項から第 28 項に記載したように、税
負担率の予測の観点及び繰延税金資産の回収可能性に関する不確実性の評価の観点の
双方から追加している点を勘案すると、「繰延税金資産の発生原因別の主な内訳として
税務上の繰越欠損金を記載している場合であって、当該税務上の繰越欠損金の額が重要
であるとき」における「重要であるとき」とは、次のとおりと考えられる。
30. 税負担率の予測の観点からは、税務上の繰越欠損金の繰越期間にわたり課税所得(税
務上の繰越欠損金控除前のもの。本項において同じ。)が生じる場合、当該繰越期間の
税負担率に影響が生じる可能性があるため、「重要であるとき」には、例えば、税務上の
繰越欠損金の控除見込額(課税所得との相殺見込額)が将来の税負担率に重要な影響を
及ぼす場合が含まれると考えられる。