2025 年 3 月
企業会計基準適用指針第 28 号
税効果会計に係る会計基準の適用指針
企業会計基準委員会
企業会計基準適用指針第 28 号 税効果会計に係る会計基準の適用指針
1998 年(平成 10 年) 5 月 12 日 1 1998 年(平成 10 年)12 月 22 日 2 日本公認会計士協会
会 計 制 度 委 員 会
改正 2018 年(平成 30 年)2 月 16 日
改正 2022 年 10 月 28 日
改正 2024 年 3 月 22 日
最終改正 2025 年 3 月 11 日
企業会計基準委員会
項
目 次 目 的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 適用指針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 範 囲・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 用語の定義・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 会計処理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 税効果会計の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 繰延税金資産及び繰延税金負債の計上・・・・・・・・・・・・・・・・ 財務諸表上の一時差異等の取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・ その他有価証券の評価差額に係る一時差異の取扱い・・・・・・・・・・・ 繰延ヘッジ損益に係る一時差異の取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・ 土地再評価差額金に係る一時差異の取扱い・・・・・・・・・・・・・・・ 租税特別措置法上の諸準備金等に係る将来加算一時差異の取扱い・・・・・
連結会社間における資産(子会社株式等を除く。)の売却に伴い生じた売却 損益を税務上繰り延べる場合の個別財務諸表における取扱い・・・・・・・
連結会社間における子会社株式等の売却に伴い生じた売却損益を税務上繰 り延べる場合の個別財務諸表における取扱い・・・・・・・・・・・・・・ 連結財務諸表固有の一時差異の取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・ 子会社の資産及び負債の時価評価による評価差額に係る一時差異の取扱
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1 日本公認会計士協会 会計制度委員会報告第 6 号「連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針」 の公表日 2 日本公認会計士協会 会計制度委員会報告第 10 号「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」 の公表日
- 1 -
い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
個別財務諸表において子会社株式の評価損を計上した場合の連結財務諸表 における取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 子会社に対する投資に係る一時差異の取扱い・・・・・・・・・・・・・・ 子会社に対する投資を一部売却した場合の取扱い・・・・・・・・・・・・
子会社に対する投資を売却した時の親会社の持分変動による差額に対する 法人税等及び税効果についての取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・
債権と債務の相殺消去に伴い修正される貸倒引当金に係る一時差異の取扱 い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 未実現損益の消去に係る一時差異の取扱い・・・・・・・・・・・・・・・
連結会社間における資産(子会社株式等を除く。)の売却に伴い生じた売却 損益を税務上繰り延べる場合の連結財務諸表における取扱い・・・・・・・
連結会社間における子会社株式等の売却に伴い生じた売却損益を税務上繰 り延べる場合の連結財務諸表における取扱い・・・・・・・・・・・・・・
子会社等が保有する親会社株式等を当該親会社等に売却した場合の連結財 務諸表における法人税等に関する取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・ 退職給付に係る負債又は退職給付に係る資産に関する一時差異の取扱い・・
子会社株式等の取得に伴い認識したのれん又は負ののれんに係る繰延税金 負債又は繰延税金資産の取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法及び税率・・・・ 繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法・・・・・・・・・・・ 繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税率・・・・・・・・・・・ 子会社の決算日が連結決算日と異なる場合の税法又は税率の取扱い・・・・
繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法が改正された場合の取 扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 遡及適用及び修正再表示により繰延税金資産又は繰延税金負 債を変更する場合の取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 遡及適用により繰延税金資産又は繰延税金負債を変更する場合の取 扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 修正再表示により繰延税金資産又は繰延税金負債を変更する場合の 取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 開 示・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 表 示・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 注記事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 適用時期等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 議 決・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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結論の背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 69
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経 緯・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
用語の定義・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
財務諸表上の一時差異等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 将来減算一時差異・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 将来加算一時差異・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 連結財務諸表固有の一時差異・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 会計処理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 税効果会計の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 税効果会計の方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 税効果会計の対象となる税金・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 繰延税金資産及び繰延税金負債の計上・・・・・・・・・・・・・・・・ 連結財務諸表及び個別財務諸表における子会社等に対する投資に関連する 一時差異の取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 財務諸表上の一時差異等の取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 連結会社間における資産の売却に伴い生じた売却損益を税務上繰り延べる 場合の個別財務諸表における取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・ 連結財務諸表固有の一時差異の取扱い・・・・・・・・・・・・・・・ 子会社の資産及び負債の時価評価による評価差額に係る一時差異の取扱 い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
個別財務諸表において子会社株式の評価損を計上した場合の連結財務諸表 における取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 子会社に対する投資に係る一時差異の取扱い・・・・・・・・・・・・・・
子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の一時差異の各項目の取扱 い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 子会社に対する投資を一部売却した場合の取扱い・・・・・・・・・・・・
子会社に対する投資を売却した時の親会社の持分変動による差額に対する 法人税等及び税効果についての取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・
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保有する完全子会社株式を株式数に応じて比例的に配当(按分型の配当) し子会社に該当しなくなった場合の取扱い・・・・・・・・・・・・・・・
124-2
債権と債務の相殺消去に伴い修正される貸倒引当金に係る一時差異の取扱 い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 未実現損益の消去に係る一時差異の取扱い・・・・・・・・・・・・・・・
連結会社間における資産(子会社株式等を除く。)の売却に伴い生じた売却 損益を税務上繰り延べる場合の連結財務諸表における取扱い・・・・・・・
連結会社間における子会社株式等の売却に伴い生じた売却損益を税務上繰 り延べる場合の連結財務諸表における取扱い・・・・・・・・・・・・・・ 子会社等が保有する親会社株式等を当該親会社等に売却した場合の連結財
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- 3 -
務諸表における法人税等に関する取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・
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子会社株式等の取得に伴い認識したのれん又は負ののれんに係る繰延税金 負債又は繰延税金資産の取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法及び税率・・・・
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繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法・・・・・・・・・・・
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繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税率・・・・・・・・・・・
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更正等による追徴又は還付に伴い繰延税金資産又は繰延税金負債に
影響が生じる場合の取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
遡及適用及び修正再表示により繰延税金資産又は繰延税金負 債を変更する場合の取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 遡及適用により繰延税金資産又は繰延税金負債を変更する場合の取 扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 開 示・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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決算日後に税率が変更された場合の取扱い・・・・・・・・・・・・・
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適用時期等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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設 例 [設例 1] 繰延税金資産及び繰延税金負債の計算 [設例 2] 租税特別措置法上の諸準備金等に係る将来加算一時差異の取扱い(償却資
産)
[設例 3] 子会社の資産及び負債の時価評価による評価差額に係る一時差異の取扱い [設例 4] 子会社に対する投資に係る一時差異の取扱い
[設例 4-1] 子会社に対する投資の一部売却(投資の一部売却後も親会社と子会社の支
配関係が継続している場合)
[設例 4-2] 子会社に対する投資の全部売却(追加取得がない場合)
[設例 4-3] 子会社に対する投資の全部売却(追加取得がある場合)
[設例 4-4] 子会社に対する投資の全部売却(追加取得があり、かつ、子会社株式の売
却の意思決定と同一の事業年度に売却が行われる場合) [設例 5] 在外子会社の留保利益及び為替換算調整勘定に係る繰延税金資産及び繰延税
金負債
[設例 6] 債権と債務の相殺消去に伴い修正される貸倒引当金に係る一時差異の取扱い
[設例 7] 未実現損益の消去に係る一時差異の取扱い
[設例 7-1] 未実現利益の消去に係る一時差異の取扱い
- 4 -
[設例 7-2] 未実現利益の消去に係る一時差異の取扱い(売却元の売却年度における課
税所得が未実現利益の消去額を下回る場合)
[設例 8] 連結会社間における子会社株式の売却に伴い生じた売却損益を税務上繰り延 [設例 9] 子会社が保有する親会社株式を当該親会社に売却した場合の連結財務諸表に
べる場合の取扱い
おける法人税等に関する取扱い
[設例 10] 法定実効税率の算定 [設例 11] 改正地方税法等が決算日以前に成立し、当該改正地方税法等を受けた改正条 例が当該決算日に成立していない場合の法定実効税率の算定
[設例 12] 遡及適用及び修正再表示による繰延税金資産の取扱い
[設例 12-1] 会計方針の変更に伴う遡及適用による繰延税金資産の取扱い
[設例 12-2] 修正再表示による繰延税金資産の取扱い
2018 年適用指針の公表による他の会計基準等についての 修正 2022 年改正適用指針の公表による他の会計基準等につい ての修正
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目 的
1. 本適用指針は、企業会計審議会が 1998 年(平成 10 年)10 月に公表した「税効果会 計に係る会計基準」(以下「税効果会計基準」という。)を適用する際の指針を定めるも
のである。
適用指針
範 囲
2. 本適用指針は、税効果会計基準が適用される連結財務諸表及び個別財務諸表に適用
する。
3. 次に示す企業会計基準、企業会計基準適用指針、実務対応報告及び実務指針において 定められている税効果会計基準を適用する際の具体的な取扱いは、本適用指針におけ
る取扱いにかかわらず適用される。
(1) 企業会計基準第 12 号「四半期財務諸表に関する会計基準」及び企業会計基準適
用指針第 14 号「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針」に定められた四半
期連結財務諸表及び四半期個別財務諸表における税効果会計の適用に係る取扱い
(2) 企業会計基準第 25 号「包括利益の表示に関する会計基準」に定められたその他
の包括利益の内訳の開示に係る取扱い
(3) 企業会計基準適用指針第 9 号「株主資本等変動計算書に関する会計基準の適用
指針」に定められた株主資本等変動計算書における変動事由の表示に係る取扱い
(4) 企業会計基準適用指針第 10 号「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関
する適用指針」(以下「結合分離適用指針」という。)に定められた企業結合及び事
業分離等に関連する税効果会計の適用に係る取扱い
(5) 企業会計基準適用指針第 26 号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」
(以下「回収可能性適用指針」という。)に定められた繰延税金資産の回収可能性
に係る取扱い
(6) 企業会計基準適用指針第 29 号「中間財務諸表等における税効果会計に関する適
用指針」に定められた中間連結財務諸表及び中間財務諸表における税効果会計の
適用に係る取扱い
(7) 実務対応報告第 42 号「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に
関する取扱い」に定められたグループ通算制度を適用する場合の税効果会計の適
用に係る取扱い
(8) 移管指針第 2 号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」に定められた子会
社持分に係るヘッジ取引に関する税効果会計の適用に係る取扱い
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(9) 移管指針第 7 号「持分法会計に関する実務指針」(以下「持分法実務指針」とい
う。)に定められた持分法会計に関する税効果会計の適用に係る取扱い
用語の定義
4. 本適用指針における用語の定義は、次のとおりとする。
(1) 「納税主体」とは、納税申告書の作成主体をいい、通常は企業が納税主体となる。
(2) 「法人税等」とは、法人税その他利益に関連する金額を課税標準とする税金をい
う。
(3) 「一時差異」とは、連結貸借対照表及び個別貸借対照表に計上されている資産及
び負債の金額と課税所得計算上の資産及び負債の金額との差額をいう。
なお、一時差異及び税務上の繰越欠損金等を総称して「一時差異等」という。税
務上の繰越欠損金等には、繰越外国税額控除や繰越可能な租税特別措置法(昭和 32
年法律第 26 号)上の法人税額の特別控除等が含まれる。
(4) 「財務諸表上の一時差異」とは、個別財務諸表において生じる一時差異のことを
いい、将来減算一時差異又は将来加算一時差異に分類される。
① 「将来減算一時差異」とは、財務諸表上の一時差異のうち、当該一時差異が解
消する時にその期の課税所得を減額する効果を持つものをいう。
② 「将来加算一時差異」とは、財務諸表上の一時差異のうち、当該一時差異が解
消する時にその期の課税所得を増額する効果を持つものをいう。
(5) 「連結財務諸表固有の一時差異」とは、連結決算手続の結果として生じる一時差
異のことをいい、課税所得計算には関係しない。当該一時差異は、連結財務諸表固
有の将来減算一時差異又は連結財務諸表固有の将来加算一時差異に分類される。
① 「連結財務諸表固有の将来減算一時差異」とは、連結財務諸表固有の一時差異
のうち、連結決算手続の結果として連結貸借対照表上の資産の金額(又は負債の
金額)が、連結会社の個別貸借対照表上の資産の金額(又は負債の金額)を下回
る(又は上回る)場合に、当該連結貸借対照表上の資産(又は負債)が回収(又
は決済)される等により、当該一時差異が解消する時に、連結財務諸表における
利益が減額されることによって当該減額後の利益の額が当該連結会社の個別財
務諸表における利益の額と一致する関係を持つものをいう。
② 「連結財務諸表固有の将来加算一時差異」とは、連結財務諸表固有の一時差異
のうち、連結決算手続の結果として連結貸借対照表上の資産の金額(又は負債の
金額)が、連結会社の個別貸借対照表上の資産の金額(又は負債の金額)を上回
る(又は下回る)場合に、当該連結貸借対照表上の資産(又は負債)が回収(又
は決済)される等により、当該一時差異が解消する時に、連結財務諸表における
利益が増額されることによって当該増額後の利益の額が当該連結会社の個別財
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務諸表における利益の額と一致する関係を持つものをいう。
なお、企業会計基準適用指針第 2 号「自己株式及び準備金の額の減少等に関する
会計基準の適用指針」(以下「自己株式等会計適用指針」という。)第 10 項(2-2)で
定める場合において、連結決算手続の結果として生じる一時差異については、連結
財務諸表固有の将来減算一時差異又は連結財務諸表固有の将来加算一時差異に準
ずるものとして同様の取扱いをすることとする。
(6) 「課税所得」とは、法人税等に係る法令の規定に基づき算定した各事業年度の所
得の金額の計算上、当該事業年度の益金の額が損金の額を超える場合におけるそ
の超える部分の金額をいう。
(7) 「税務上の欠損金」とは、法人税等に係る法令の規定に基づき算定した各事業年
度の所得の金額の計算上、当該事業年度の損金の額が益金の額を超える場合にお
けるその超える部分の金額をいう。
(8) 「標準税率」とは、地方公共団体が課税する場合に地方税法(昭和 25 年法律第
226 号)で通常よるべきとされている税率をいう。
(9) 「超過課税による税率」とは、標準税率を超える税率で、地方公共団体が課税す
ることが地方税法で認められているものをいう。
(10) 「制限税率」とは、地方公共団体が超過課税による税率で課税する場合において
も超えることのできない税率で、地方税法に規定されているものをいう。
(11) 「法定実効税率」とは、グループ通算制度を適用する場合を除き、次の算式によ
るものをいう([設例 10])。
法定実効税率 =
法人税率×(1+地方法人税率+住民税率)+事業税率 +事業税率(標準税率)×特別法人事業税率 1+事業税率+事業税率(標準税率)×特別法人事業税率
5. 本適用指針に、企業会計基準第 27 号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基 準」(以下「法人税等会計基準」という。)第 4 項に定義されている用語が使われている
場合、当該用語の定義に従う。
会計処理
税効果会計の目的
6. 税効果会計は、企業会計上の資産又は負債の額と課税所得計算上の資産又は負債の 額に相違がある場合において、法人税等の額を適切に期間配分することにより、法人税
等を控除する前の当期純利益と法人税等を合理的に対応させることを目的とする手続
であるとされている(税効果会計基準 第一)。
繰延税金資産及び繰延税金負債の計上
7. 繰延税金資産又は繰延税金負債は、一時差異等に係る税金の額から将来の会計期間
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において回収又は支払が見込まれない税金の額を控除して計上しなければならないと
されている(税効果会計基準 第二 二 1)。
8. 繰延税金資産及び繰延税金負債は、次のとおり計上する。
(1) 個別財務諸表における繰延税金資産は、将来の会計期間における将来減算一時
差異の解消、税務上の繰越欠損金と課税所得(税務上の繰越欠損金控除前)との相
殺及び繰越外国税額控除の余裕額の発生等に係る減額税金の見積額について、回
収可能性適用指針に従って、その回収可能性を判断し計上する。
ただし、組織再編に伴い受け取った子会社株式又は関連会社株式(以下「子会社
株式等」という。)(事業分離に伴い分離元企業が受け取った子会社株式等を除く
(結合分離適用指針第 108 項)。)に係る将来減算一時差異のうち、当該株式の受取
時に生じていたものについては、予測可能な将来の期間に、その売却等を行う意思
決定又は実施計画が存在する場合を除き、繰延税金資産を計上しない。
(2) 個別財務諸表における繰延税金負債は、将来の会計期間における将来加算一時
差異の解消に係る増額税金の見積額について、次の場合を除き、計上する。
① 企業が清算するまでに課税所得が生じないことが合理的に見込まれる場合
② 子会社株式等(事業分離に伴い分離元企業が受け取った子会社株式等を除く
(結合分離適用指針第 108 項)。)に係る将来加算一時差異について、親会社又は
投資会社(以下「親会社等」という。)がその投資の売却等を当該会社自身で決
めることができ、かつ、予測可能な将来の期間に、その売却等を行う意思がない
場合
(3) 連結決算手続においては、連結財務諸表における繰延税金資産及び繰延税金負
債として、連結財務諸表固有の一時差異が生じた納税主体ごとに、当該連結財務諸
表固有の一時差異に係る税金の見積額を計上する。
連結財務諸表固有の将来減算一時差異(未実現利益の消去に係る将来減算一時
差異を除く。)に係る繰延税金資産は、納税主体ごとに個別財務諸表における繰延
税金資産(繰越外国税額控除に係る繰延税金資産を除く。)と合算し、回収可能性
適用指針第 9 項に従って計上する。
9. 本適用指針第 8 項に従って繰延税金資産又は繰延税金負債を計上するときは、次の 場合を除き、年度の期首における繰延税金資産の額と繰延税金負債の額の差額と期末
における当該差額の増減額を、法人税等調整額を相手勘定として計上する。
(1) 資産又は負債の評価替えにより生じた評価差額等(企業会計基準第 5 号「貸借対
照表の純資産の部の表示に関する会計基準」第 8 項に定める評価・換算差額等をい
う。以下同じ。)を直接純資産の部に計上する場合、当該評価差額等に係る一時差
異に関する繰延税金資産及び繰延税金負債の差額について、年度の期首における
当該差額と期末における当該差額の増減額を、純資産の部の評価・換算差額等を相
手勘定として計上する。
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(2) 資産又は負債の評価替えにより生じた評価差額等をその他の包括利益で認識し
た上で純資産の部のその他の包括利益累計額に計上する場合、当該評価差額等に
係る一時差異に関する繰延税金資産及び繰延税金負債の差額について、年度の期
首における当該差額と期末における当該差額の増減額を、その他の包括利益を相
手勘定として計上する。
(3) 連結財務諸表において、子会社に対する投資について、親会社の持分が変動する
ことにより生じた差額(親会社持分相当額の変動額と売却価額又は取得価額の差
額をいう。以下「親会社の持分変動による差額」という。)を直接資本剰余金に計
上する場合、当該親会社の持分変動による差額に係る一時差異に関する繰延税金
資産又は繰延税金負債の差額について、年度の期首における当該差額と期末にお
ける当該差額の増減額を、資本剰余金を相手勘定として計上する。
10. 第 9 項に従って連結財務諸表固有の一時差異に対して法人税等調整額を計上する場 合、当該連結財務諸表固有の一時差異が生じた子会社に非支配株主が存在するときに
は、親会社持分と非支配株主持分に配分する。
財務諸表上の一時差異等の取扱い
その他有価証券の評価差額に係る一時差異の取扱い
11. その他有価証券の評価差額に係る一時差異については、本適用指針第 8 項の定めに かかわらず、回収可能性適用指針第 38 項から第 41 項に従って繰延税金資産又は繰延
税金負債を計上する。当該繰延税金資産又は繰延税金負債については、純資産の部の評
価・換算差額等を相手勘定として計上する(本適用指針第 9 項(1)参照)。
繰延ヘッジ損益に係る一時差異の取扱い
12. 繰延ヘッジ損益に係る一時差異については、回収可能性適用指針第 46 項に従って繰 延税金資産又は繰延税金負債を計上する。当該繰延税金資産又は繰延税金負債につい
ては、純資産の部の評価・換算差額等を相手勘定として計上する(本適用指針第 9 項
(1)参照)。
土地再評価差額金に係る一時差異の取扱い
13. 「土地の再評価に関する法律」(平成 10 年法律第 34 号)に基づき事業用土地を再評 価したことにより生じた差額(以下「土地再評価差額金」という。)に係る一時差異に
ついては、第 8 項に従って繰延税金資産又は繰延税金負債を計上する。当該繰延税金資
産又は繰延税金負債については、純資産の部の評価・換算差額等を相手勘定として計上
する(第 9 項(1)参照)。
14. 第 13 項に従って計上した繰延税金資産又は繰延税金負債について、再評価を行った 事業用土地の売却等により土地再評価差額金に係る一時差異が解消した場合、当該解
- 10 -
消した一時差異に係る繰延税金資産又は繰延税金負債を取り崩す。当該繰延税金資産
又は繰延税金負債については、法人税等調整額を相手勘定として取り崩す。
租税特別措置法上の諸準備金等に係る将来加算一時差異の取扱い
15. 圧縮積立金、特別償却準備金、その他租税特別措置法上の諸準備金等(以下「諸準備 金等」という。)の積立額(又は取崩額)に係る将来加算一時差異については、第 8 項
(2)に従って繰延税金負債を計上する(又は取り崩す)。当該繰延税金負債については、
法人税等調整額を相手勘定として計上する(又は取り崩す)(第 9 項参照)。諸準備金等
の積立額(又は取崩額)は、当該繰延税金負債の計上額(又は取崩額)を控除した額と
なる([設例 1]及び[設例 2])。
連結会社間における資産(子会社株式等を除く。)の売却に伴い生じた売却損益を税務上繰
り延べる場合の個別財務諸表における取扱い
16. 連結会社間における資産(子会社株式等を除く。第 38 項及び第 142 項において同じ。) の売却に伴い生じた売却損益について、税務上の要件を満たし課税所得計算において
当該売却損益を繰り延べる場合(法人税法(昭和 40 年法律第 34 号)第 61 条の 11(完
全支配関係がある法人の間の取引の損益))、当該資産を売却した企業の個別財務諸表
における当該売却損益に係る一時差異について、第 8 項及び第 9 項に従って繰延税金
資産又は繰延税金負債を計上する。
連結会社間における子会社株式等の売却に伴い生じた売却損益を税務上繰り延べる場合の
個別財務諸表における取扱い
17. 連結会社間における子会社株式等の売却に伴い生じた売却損益について、税務上の 要件を満たし課税所得計算において当該売却損益を繰り延べる場合(法人税法第 61 条
の 11)、当該子会社株式等を売却した企業の個別財務諸表における当該売却損益に係る
一時差異について、第 16 項と同様に取り扱う([設例 8])。
連結財務諸表固有の一時差異の取扱い
子会社の資産及び負債の時価評価による評価差額に係る一時差異の取扱い
18. 資本連結手続において、子会社の資産(又は負債)を時価評価し、評価減(又は評価 増)が生じた場合、当該評価減(又は評価増)に係る連結財務諸表固有の将来減算一時
差異について、第 8 項(3)に従って回収可能性を判断し繰延税金資産を計上する([設例
3])。
また、資本連結手続において、子会社の資産(又は負債)を時価評価し、評価増(又
は評価減)が生じた場合、当該評価増(又は評価減)に係る連結財務諸表固有の将来加
算一時差異について、繰延税金負債を計上する([設例 3])。
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19. 資本連結手続において、時価評価した子会社の資産(又は負債)を償却又は売却(又 は決済)した場合、当該資産を償却した年度又は売却した年度(又は当該負債を決済し
た年度)に、資産及び負債の時価評価による評価差額に係る一時差異の解消に応じて繰
延税金資産又は繰延税金負債を取り崩す。当該繰延税金資産又は繰延税金負債につい
ては、法人税等調整額を相手勘定として取り崩す。
個別財務諸表において子会社株式の評価損を計上した場合の連結財務諸表における取扱い
20. 個別財務諸表において子会社株式の評価損を計上し、当該評価損について税務上の 損金算入の要件を満たしていない場合であって、当該評価損に係る将来減算一時差異
の全部又は一部に対して繰延税金資産が計上されているときは、資本連結手続に伴い
生じた当該評価損の消去に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異に対して、当該
繰延税金資産と同額の繰延税金負債を計上する。当該繰延税金負債については、個別財
務諸表において計上した子会社株式の評価損に係る将来減算一時差異に対する繰延税
金資産と相殺する。
また、個別財務諸表において子会社株式の評価損を計上し、当該評価損について税務
上の損金算入の要件を満たしていない場合であって、当該評価損に係る将来減算一時
差異に対して繰延税金資産が計上されていないときは、資本連結手続に伴い生じた当
該評価損の消去に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異に対して繰延税金負債を
計上しない。
21. 個別財務諸表において子会社株式の評価損を計上し、当該評価損について税務上の 損金算入の要件を満たしている場合(過去に税務上の損金に算入された場合を含む。)、
資本連結手続に伴い生じた当該評価損の消去に係る連結財務諸表固有の将来加算一時
差異に対して繰延税金負債を計上しない。
子会社に対する投資に係る一時差異の取扱い
(子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の将来減算一時差異の取扱い)
22. 子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の将来減算一時差異については、原則 として、連結決算手続上、繰延税金資産を計上しない。ただし、次のいずれも満たす場
合、繰延税金資産を計上する。
(1) 当該将来減算一時差異が、次のいずれかの場合により解消される可能性が高い。
① 予測可能な将来の期間に、子会社に対する投資の売却等(他の子会社への売却
の場合を含む。ただし、税務上の要件を満たし課税所得計算において売却損益を
繰り延べる場合(法人税法第 61 条の 11)を除く。)を行う意思決定又は実施計
画が存在する場合
② 個別財務諸表において計上した子会社株式の評価損について、予測可能な将
来の期間に、税務上の損金に算入される場合
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(2) 第 8 項(3)に従って当該将来減算一時差異に係る繰延税金資産に回収可能性があ
ると判断される。
(子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異の取扱い)
23. 子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異のうち、第 24 項に 定めた解消事由以外により解消されるものについては、次の(1)及び(2)のいずれも満
たす場合を除き、将来の会計期間において追加で納付が見込まれる税金の額を繰延税
金負債として計上する([設例 4-2])。
(1) 親会社が子会社に対する投資の売却等を当該親会社自身で決めることができる。
(2) 次の①又は②のいずれかを満たす。
① 予測可能な将来の期間に、子会社に対する投資の売却等(他の子会社への売却
の場合を含む。)を行う意思がない場合
② 予測可能な将来の期間に、子会社に対する投資の売却等を行う意思があるが、
当該子会社に対する投資の売却等に伴い生じる売却損益について、税務上の要
件を満たし課税所得計算において当該売却損益を繰り延べる場合(法人税法第
61 条の 11)
24. 子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異のうち、子会社の 留保利益(親会社の投資後に増加した子会社の利益剰余金をいう。このうち親会社持分
相当額に限る。以下同じ。)に係るもので、親会社が当該留保利益を配当金として受け
取ることにより解消されるものについては、次のいずれかに該当する場合、将来の会計
期間において追加で納付が見込まれる税金の額を繰延税金負債として計上する。
(1) 親会社が国内子会社の留保利益を配当金として受け取るときに、当該配当金の
一部又は全部が税務上の益金に算入される場合
(2) 親会社が在外子会社の留保利益を配当金として受け取るときに、次のいずれか
又はその両方が見込まれる場合([設例 5])
① 当該配当金の一部又は全部が税務上の益金に算入される。
② 当該配当金に対する外国源泉所得税について、税務上の損金に算入されない
ことにより追加で納付する税金が生じる。
一方で、親会社が当該子会社の利益を配当しない方針を採用している場合又は子会
社の利益を配当しない方針について他の株主等との間に合意がある場合等、将来の会
計期間において追加で納付する税金が見込まれない可能性が高いときは、繰延税金負
債を計上しない。
25. 本適用指針第 24 項(2)①における親会社が在外子会社の留保利益を配当金として受 け取るときに税務上の益金に算入されることにより追加で納付が見込まれる税金の額
を算定する場合、当該在外子会社の外貨表示財務諸表に示された留保利益を基に、当該
子会社の決算日(子会社の決算日が連結決算日と異なる場合で、かつ、当該子会社が連
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結決算日に正規の決算に準ずる合理的な手続により決算を行う場合(企業会計基準第
22 号「連結財務諸表に関する会計基準」(以下「連結会計基準」という。)第 16 項)は、
当該連結決算日)における為替相場を用いて算定する。
26. 第 24 項(2)②における外国源泉所得税の額について追加で納付が見込まれる税額を 算定する場合、配当金を支払った在外子会社の所在地国の法令(又は我が国と当該所在
地国で租税条約等が締結されている場合には法令及び当該租税条約等)に規定されて
いる税率を用いて計算する。また、当該法令が改正される場合(又は当該租税条約等が
締結される若しくは改正される場合)、第 44 項に準じて、当該外国源泉所得税の額を計
算する。
(子会社等に対する投資に係る連結財務諸表固有の一時差異の各項目の取扱い)
27. 第 22 項から第 24 項に従って繰延税金資産又は繰延税金負債を計上する場合、当該 繰延税金資産又は繰延税金負債は、次の場合を除き、法人税等調整額を相手勘定として
計上する。
(1) 次の子会社又は関連会社(以下「子会社等」という。)に対する投資に係る連結
財務諸表固有の一時差異に関する繰延税金資産又は繰延税金負債については、そ
の他の包括利益を相手勘定として計上する(第 9 項(2)参照)。
① 親会社等の投資後に子会社等が計上したその他有価証券評価差額金に係る連
結財務諸表固有の一時差異
② 親会社等の投資後に子会社等が計上した繰延ヘッジ損益に係る連結財務諸表
固有の一時差異
③ 親会社等の投資後に子会社等が計上した退職給付に係る負債又は退職給付に
係る資産に関する連結財務諸表固有の一時差異
④ 為替換算調整勘定に係る連結財務諸表固有の一時差異
(2) 次の子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の一時差異に関する繰延税金
資産又は繰延税金負債については、資本剰余金を相手勘定として計上する(第 9 項
(3)参照)。
① 子会社に対する投資について追加取得に伴い生じた親会社の持分変動による
差額に係る連結財務諸表固有の一時差異([設例 4-3])
② 子会社に対する投資について当該子会社の時価発行増資等に伴い生じた親会
社の持分変動による差額に係る連結財務諸表固有の一時差異
子会社に対する投資を一部売却した場合の取扱い
(子会社に対する投資の一部売却後も親会社と子会社の支配関係が継続している場合にお
ける親会社の持分変動による差額に対応する法人税等相当額についての売却時の取扱い)
28. 子会社に対する投資を一部売却した後も親会社と子会社の支配関係が継続している
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場合、連結財務諸表上、当該売却に伴い生じた親会社の持分変動による差額に対応する
法人税等に相当する額(子会社への投資に係る税効果の調整を含む。)(以下「法人税等
相当額」という。)については、売却時に、法人税、住民税及び事業税などその内容を
示す科目を相手勘定として資本剰余金から控除する([設例 4-1])。
資本剰余金から控除する法人税等相当額は、売却元の課税所得や税金の納付額にか
かわらず、原則として、親会社の持分変動による差額に法定実効税率を乗じて計算する。
(子会社に対する投資を一部売却したことにより親会社と子会社の支配関係が継続してい
ない場合における残存する投資に係る一時差異に関する繰延税金資産又は繰延税金負債
についての売却時の取扱い)
29. 子会社に対する投資の一部売却により当該被投資会社が子会社等に該当しなくなっ た場合、連結財務諸表上、残存する当該被投資会社に対する投資は個別貸借対照表上の
帳簿価額をもって評価するとされている(連結会計基準第 29 項なお書き)。
この場合、本適用指針第 27 項に従って法人税等調整額を相手勘定として計上した当
該子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の一時差異に関する繰延税金資産又は
繰延税金負債のうち、当該売却に伴い投資の帳簿価額を修正したことにより解消した
一時差異に係る繰延税金資産又は繰延税金負債を、利益剰余金を相手勘定として取り
崩す。
子会社に対する投資を売却した時の親会社の持分変動による差額に対する法人税等及び税
効果についての取扱い
(親会社の持分変動による差額に対して繰延税金資産又は繰延税金負債を計上していた場
合の子会社に対する投資を売却した時の取扱い)
30. 子会社に対する投資の追加取得や子会社の時価発行増資等に伴い生じた親会社の持 分変動による差額に係る連結財務諸表固有の一時差異について、第 27 項(2)に従って
資本剰余金を相手勘定として繰延税金資産又は繰延税金負債を計上していた場合、当
該子会社に対する投資を売却した時に当該売却により解消した一時差異に係る繰延税
金資産又は繰延税金負債を取り崩す。当該繰延税金資産又は繰延税金負債については、
資本剰余金を相手勘定として取り崩す([設例 4-3])。
(親会社の持分変動による差額が生じている場合に子会社に対する投資を売却した時の法
人税等についての取扱い)
31. 子会社に対する投資の追加取得や子会社の時価発行増資等に伴い生じた親会社の持 分変動による差額を資本剰余金としている場合、当該子会社に対する投資を売却した
時に、当該資本剰余金に対応する法人税等相当額について、法人税、住民税及び事業税
などその内容を示す科目を相手勘定として資本剰余金から控除する([設例 4-4])。
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債権と債務の相殺消去に伴い修正される貸倒引当金に係る一時差異の取扱い
32. 個別財務諸表において連結会社に対する債権に貸倒引当金を計上し、当該貸倒引当 金繰入額について税務上の損金算入の要件を満たしていない場合であって、当該貸倒
引当金繰入額に係る将来減算一時差異の全部又は一部に対して繰延税金資産が計上さ
れているときは、連結決算手続上、債権と債務の相殺消去に伴い当該貸倒引当金が修正
されたことにより生じた当該貸倒引当金に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異
に対して、当該繰延税金資産と同額の繰延税金負債を計上する。当該繰延税金負債につ
いては、個別財務諸表において計上した貸倒引当金繰入額に係る将来減算一時差異に
対する繰延税金資産と相殺する([設例 6])。
また、個別財務諸表において連結会社に対する債権に貸倒引当金を計上し、当該貸倒
引当金繰入額について税務上の損金算入の要件を満たしていない場合であって、当該
貸倒引当金繰入額に係る将来減算一時差異に対して繰延税金資産が計上されていない
ときは、連結決算手続上、債権と債務の相殺消去に伴い当該貸倒引当金が修正されたこ
とにより生じた当該貸倒引当金に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異に対して
繰延税金負債を計上しない。
33. 個別財務諸表において連結会社に対する債権に貸倒引当金を計上し、当該貸倒引当 金繰入額について税務上の損金算入の要件を満たしている場合(過去に税務上の損金
に算入された場合を含む。)、連結決算手続上、債権と債務の相殺消去に伴い当該貸倒引
当金が修正されたことにより生じた当該貸倒引当金に係る連結財務諸表固有の将来加
算一時差異に対して、原則として、繰延税金負債を計上する。この場合、債権者側の連
結会社に適用される法定実効税率を用いて計算する。ただし、債務者である連結会社の
業績が悪化している等、将来において当該将来加算一時差異に係る税金を納付する見
込みが極めて低いときは、当該連結財務諸表固有の将来加算一時差異に係る繰延税金
負債を計上しない。
未実現損益の消去に係る一時差異の取扱い
34. 未実現利益の消去に係る連結財務諸表固有の将来減算一時差異については、売却元 の連結会社において売却年度に納付した当該未実現利益に係る税金の額を繰延税金資
産として計上する。計上した繰延税金資産については、当該未実現利益の実現に応じて
取り崩す([設例 7-1])。
また、未実現損失の消去に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異については、売
却元の連結会社において売却年度に軽減された当該未実現損失に係る税金の額を繰延
税金負債として計上する。計上した繰延税金負債については、当該未実現損失の実現に
応じて取り崩す。
35. 未実現利益の消去に係る繰延税金資産を計上するにあたっては、回収可能性適用指
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針第 6 項の定めを適用せず、その回収可能性を判断しない。また、繰延税金資産の計上
対象となる当該未実現利益の消去に係る将来減算一時差異の額については、売却元の
連結会社の売却年度における課税所得の額を上限とする([設例 7-2])。
36. 未実現損失の消去に係る繰延税金負債を計上するにあたって、繰延税金負債の計上 対象となる当該未実現損失の消去に係る将来加算一時差異の額については、売却元の
連結会社の売却年度における当該未実現損失に係る税務上の損金を算入する前の課税
所得の額を上限とする。
37. 子会社の決算日が連結決算日と異なることから生じる連結会社間の取引に係る会計 記録の重要な不一致について必要な整理を行い、未実現損益が消去された場合、当該未
実現損益の消去に係る繰延税金資産又は繰延税金負債については第 34 項から第 36 項
に従って計上する。
連結会社間における資産(子会社株式等を除く。)の売却に伴い生じた売却損益を税務上繰
り延べる場合の連結財務諸表における取扱い
38. 連結会社間における資産の売却に伴い生じた売却損益について、税務上の要件を満 たし課税所得計算において当該売却損益を繰り延べる場合(法人税法第 61 条の 11)で
あって、当該資産を売却した企業の個別財務諸表において、第 16 項に従って当該売却
損益に係る一時差異に対して繰延税金資産又は繰延税金負債が計上されているときは、
連結決算手続上、当該売却損益が消去されたことに伴い生じた当該売却損益の消去に
係る連結財務諸表固有の一時差異に対して、個別財務諸表において計上した繰延税金
資産又は繰延税金負債と同額の繰延税金負債又は繰延税金資産を計上する。当該繰延
税金負債又は繰延税金資産については、個別財務諸表において計上した当該売却損益
に係る一時差異に対する繰延税金資産又は繰延税金負債と相殺する。
連結会社間における子会社株式等の売却に伴い生じた売却損益を税務上繰り延べる場合の
連結財務諸表における取扱い
39. 連結会社間における子会社株式等の売却に伴い生じた売却損益について、税務上の 要件を満たし課税所得計算において当該売却損益を繰り延べる場合(法人税法第 61 条
の 11)であって、当該子会社株式等を売却した企業の個別財務諸表において、第 17 項
に従って当該売却損益に係る一時差異に対して繰延税金資産又は繰延税金負債が計上
されているときは、連結決算手続上、当該一時差異に係る繰延税金資産又は繰延税金負
債を取り崩し、購入側の企業による当該子会社株式等の再売却等、法人税法第 61 条の
11 に規定されている、課税所得計算上、繰り延べられた損益を計上することとなる事
由についての意思決定がなされた時点において、当該取崩額を戻し入れる([設例 8])。
また、当該子会社株式等の売却に伴い、追加的に又は新たに生じる一時差異について
は、第 22 項又は第 23 項に従って処理する。
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子会社等が保有する親会社株式等を当該親会社等に売却した場合の連結財務諸表における
法人税等に関する取扱い
40. 連結子会社が保有する親会社株式を当該親会社に売却した場合(親会社が連結子会 社から自己株式を取得した場合)に当該子会社に生じる売却損益に対応する法人税等
のうち親会社持分相当額は、自己株式等会計適用指針第 16 項に準じて、資本剰余金か
ら控除する([設例 9])。
41. 持分法の適用対象となっている子会社等が保有する親会社の株式又は投資会社の株 式(以下「親会社株式等」という。)を当該親会社等に売却した場合についても、第 40
項と同様に処理する。
退職給付に係る負債又は退職給付に係る資産に関する一時差異の取扱い
42. 連結財務諸表における退職給付に係る負債に関する繰延税金資産又は退職給付に係 る資産に関する繰延税金負債については、個別財務諸表における退職給付引当金に係
る将来減算一時差異に関する繰延税金資産の額又は前払年金費用に係る将来加算一時
差異に関する繰延税金負債の額に、連結修正項目である未認識数理計算上の差異及び
未認識過去勤務費用(以下合わせて「未認識項目」という。)の会計処理により生じる
将来減算一時差異に係る繰延税金資産の額又は将来加算一時差異に係る繰延税金負債
の額を合算し、当該合算額について次のとおり処理する。
(1) 当該合算により純額で繰延税金資産が生じる場合、当該合算額について回収可
能性適用指針第 43 項及び第 45 項に従って回収可能性を判断し、未認識項目の一
時差異に係る繰延税金資産又は繰延税金負債について、その他の包括利益を相手
勘定として計上する(回収可能性適用指針第 10 項(1))(本適用指針第 9 項(2)参
照)。
(2) 当該合算により純額で繰延税金負債が生じる場合、未認識項目の一時差異に係
る繰延税金資産又は繰延税金負債について、その他の包括利益を相手勘定として
計上する(本適用指針第 9 項(2)参照)。
子会社株式等の取得に伴い認識したのれん又は負ののれんに係る繰延税金負債又は繰延税
金資産の取扱い
43. 子会社株式等の取得に伴い、資本連結手続上、認識したのれん又は負ののれんについ
て、繰延税金負債又は繰延税金資産を計上しない。
繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法及び税率
繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法
44. 繰延税金資産及び繰延税金負債の額は、決算日において国会で成立している税法(以
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下、法人税等の納付税額の計算方法が規定されている我が国の法律を総称して「税法」
という。)に規定されている方法に基づき第 8 項に定める将来の会計期間における減額
税金又は増額税金の見積額を計算する。なお、決算日において国会で成立している税法
とは、決算日以前に成立した税法を改正するための法律を反映した後の税法をいう。
ただし、税法に規定されている納付税額の計算方法のうち、税率については、第 45
項から第 49 項に従う。
繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税率
45. 税効果会計基準では、繰延税金資産又は繰延税金負債の金額は、回収又は支払が行わ れると見込まれる期の税率に基づいて計算するものとされている(税効果会計基準 第
二 二 2)。
46. 法人税、地方法人税及び特別法人事業税(基準法人所得割)について、繰延税金資産 及び繰延税金負債の計算に用いる税率は、決算日において国会で成立している法人税
法等(法人税、地方法人税及び特別法人事業税(基準法人所得割)の税率が規定されて
いる税法をいう。以下同じ。)に規定されている税率による。
47. 住民税(法人税割)及び事業税(所得割)(以下合わせて「住民税等」という。)につ いて、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税率は、決算日において国会で成
立している地方税法等(住民税等の税率が規定されている税法をいう。以下同じ。)に
基づく税率による。
48. 第 47 項における決算日において国会で成立している地方税法等に基づく税率とは、
次の税率をいう。
(1) 当事業年度において地方税法等を改正するための法律が成立していない場合
(地方税法等を改正するための法案が国会に提出されていない場合を含む。)
決算日において国会で成立している地方税法等を受けた条例に規定されている
税率(標準税率又は超過課税による税率)
(2) 当事業年度において地方税法等を改正するための法律が成立している場合
① 改正された地方税法等(以下「改正地方税法等」という。)を受けて改正され
た条例(以下「改正条例」という。)が決算日以前に各地方公共団体の議会等で
成立している場合
決算日において成立している条例に規定されている税率(標準税率又は超過
課税による税率)
なお、決算日において成立している条例とは、決算日以前に成立した条例を改
正するための条例を反映した後の条例をいう。
② 改正地方税法等を受けた改正条例が決算日以前に各地方公共団体の議会等で
成立していない場合
ア 決算日において成立している条例に標準税率で課税することが規定されて
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いるとき
改正地方税法等に規定されている標準税率
イ 決算日において成立している条例に超過課税による税率で課税することが
規定されているとき
改正地方税法等に規定されている標準税率に、決算日において成立してい
る条例に規定されている超過課税による税率が改正直前の地方税法等の標準
税率を超える差分を考慮する税率
49. 第 48 項(2)②イに定める差分を考慮する税率を算定するにあたっては、例えば、次の
方法がある([設例 11])。
(1) 改正地方税法等に規定されている標準税率に、決算日において成立している条
例に規定されている超過課税による税率が改正直前の地方税法等の標準税率を超
える数値を加えて算定する。なお、この結果として得られた税率が、改正地方税法
等に規定されている制限税率を超える場合は、当該制限税率とする。
(2) 改正地方税法等に規定されている標準税率に、決算日において成立している条
例に規定されている超過課税による税率における改正直前の地方税法等の標準税
率に対する割合を乗じて算定する。なお、この結果として得られた税率が、改正地
方税法等に規定されている制限税率を超える場合は、当該制限税率とする。
子会社の決算日が連結決算日と異なる場合の税法又は税率の取扱い
50. 連結財務諸表を作成するにあたって、子会社の決算日が連結決算日と異なる場合で、 かつ、当該子会社が連結決算日に正規の決算に準ずる合理的な手続により決算を行う
場合(連結会計基準第 16 項)、当該子会社の繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に
用いる税法又は税率は、本適用指針第 44 項から第 49 項の「決算日」を「連結決算日」
と読み替えた税法又は税率によるものとする。
また、子会社の正規の決算を基礎として連結決算を行う場合(連結会計基準(注 4))、
当該子会社の繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法又は税率は、本適用
指針第 44 項から第 49 項の「決算日」を「子会社の決算日」と読み替えた税法又は税率
によるものとする。
繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法が改正された場合の取扱い
51. 繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法の改正に伴い税率が変更された こと等により繰延税金資産及び繰延税金負債の額が修正された場合、次の場合を除き、
当該修正差額を当該税率が変更された年度において、法人税等調整額を相手勘定とし
て計上する。
(1) 資産又は負債の評価替えにより生じた評価差額等を直接純資産の部に計上する
場合、当該評価差額等に係る一時差異に関する繰延税金資産及び繰延税金負債の
- 20 -
差額について、税率が変更されたことによる修正差額を当該税率が変更された年
度において純資産の部の評価・換算差額等を相手勘定として計上する。
(2) 資産又は負債の評価替えにより生じた評価差額等をその他の包括利益で認識し
た上で純資産の部のその他の包括利益累計額に計上する場合、当該評価差額等に
係る一時差異に関する繰延税金資産及び繰延税金負債の差額について、税率が変
更されたことによる修正差額を当該税率が変更された年度においてその他の包括
利益を相手勘定として計上する。
(3) 連結財務諸表において、子会社に対する投資について親会社の持分変動による
差額を直接資本剰余金に計上する場合、当該親会社の持分変動による差額に係る
一時差異に関する繰延税金資産又は繰延税金負債の差額について、税率が変更さ
れたことによる修正差額を当該税率が変更された年度において資本剰余金を相手
勘定として計上する。
52. 子会社の資産及び負債の時価評価により生じた評価差額に係る一時差異について、 子会社において税率が変更されたことによる繰延税金資産及び繰延税金負債の修正差
額は、当該税率が変更された連結会計年度において、法人税等調整額を相手勘定として
計上する。
53. 繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法の改正に伴い税率以外の納付税 額の計算方法が変更されたことにより、繰延税金資産及び繰延税金負債の額が修正さ
れた場合、第 51 項及び第 52 項の定めと同様に処理する。
(税法が改正された場合の一時差異の取扱い)
54. 税法が改正されたことにより土地再評価差額金に係る繰延税金資産又は繰延税金負 債の額が修正された場合、当該修正差額は第 51 項(1)又は(2)に従って当該税法が改正
された年度において、純資産の部の評価・換算差額等(土地再評価差額金)又はその他
の包括利益を相手勘定として計上する。
55. 税法が改正されたことにより諸準備金等に係る繰延税金負債の額が修正された場合、 当該修正差額は当該税法が改正された年度において、法人税等調整額を相手勘定とし
て処理するとともに、同額の諸準備金等を計上する(又は取り崩す)([設例 1]及び[設
例 2])。
56. 未実現損益の消去に係る繰延税金資産又は繰延税金負債の額については、税法の改
正に伴い税率等が変更されても修正しない。
遡及適用及び修正再表示により繰延税金資産又は繰延税金負債を変 更する場合の取扱い
遡及適用により繰延税金資産又は繰延税金負債を変更する場合の取扱い
57. 会計方針の変更により遡及適用した連結会計年度及び事業年度の連結財務諸表及び
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個別財務諸表(以下「遡及適用した年度の比較情報」という。)において、資産又は負
債の額が変更される場合であって、当該変更に伴い一時差異が生じるときは、当該一時
差異に係る繰延税金資産又は繰延税金負債の額を遡及適用した年度の比較情報に反映
させる。
58. 子会社等が会計方針を変更し当該会社の留保利益が変更されることにより、遡及適 用した年度の比較情報において子会社等に対する投資に係る連結財務諸表固有の一時
差異の額が変更される場合で、当該一時差異に係る繰延税金資産又は繰延税金負債を
計上しているときは、当該一時差異の額の変更に係る繰延税金資産又は繰延税金負債
の額を遡及適用した年度の比較情報に反映させる。
59. 遡及適用に伴い、将来の利益の額が変更されることに対応して、繰延税金資産の回収
可能性の判断における将来の一時差異等加減算前課税所得の見積額が変更される場合、
企業会計基準第 24 号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基
準」(以下「企業会計基準第 24 号」という。)第 17 項(会計上の見積りの変更に関する
原則的な取扱い)に従って会計方針の変更を行った年度以降において、変更後の将来の
一時差異等加減算前課税所得を前提として、繰延税金資産の回収可能性を判断する。ま
た、遡及適用により過年度において回収可能性適用指針第 15 項から第 32 項に従って
判断した企業の分類を見直す場合、当該見直しに伴う影響は、会計方針の変更を行った
年度の財務諸表に反映させる([設例 12-1])。
修正再表示により繰延税金資産又は繰延税金負債を変更する場合の取扱い
60. 過去の誤謬により修正再表示した連結会計年度及び事業年度の連結財務諸表及び個 別財務諸表(以下「修正再表示した年度の比較情報」という。)において、資産又は負
債の額が変更される場合、当該変更に伴い一時差異が生じるときは、当該一時差異に係
る繰延税金資産又は繰延税金負債の額を修正再表示した年度の比較情報に反映させる。
61. 子会社等において過去の誤謬により当該会社の留保利益が変更され修正再表示が行 われた場合で、かつ、当該修正再表示した年度の比較情報において子会社等に対する投
資に係る連結財務諸表固有の一時差異の額が変更される場合、当該一時差異に係る繰
延税金資産又は繰延税金負債を計上しているときは、当該一時差異の額の変更に係る
繰延税金資産又は繰延税金負債の額を修正再表示した年度の比較情報に反映させる。
62. 修正再表示した年度の比較情報における将来の一時差異等加減算前課税所得の見積 額や過年度において回収可能性適用指針第 15 項から第 32 項に従って判断した企業の
分類を見直す場合、当該見直しに伴う影響は、当該修正再表示した年度の比較情報に反
映させる([設例 12-2])。
開 示
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表 示
63. 土地再評価差額金に係る繰延税金資産又は繰延税金負債は、他の繰延税金資産又は 繰延税金負債とは区別して、貸借対照表の投資その他の資産又は固定負債の区分に、再
評価に係る繰延税金資産など又は再評価に係る繰延税金負債など、その内容を示す科
目をもって表示する。
注記事項
64. 第 45 項から第 52 項による税率を用いて決算を行い、かつ、決算日後に当該税率の 変更を伴う法律が成立した場合、税効果会計基準 第四 4.に従って、その内容及び影響
を注記する。
適用時期等
65. 2018 年に公表した本適用指針(以下「2018 年適用指針」という。)の適用時期等に関
する取扱いは、次のとおりとする。
(1) 2018 年(平成 30 年)4 月 1 日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首か
ら適用する。
(2) 2018 年適用指針の適用初年度において、第 8 項(2)及び第 24 項を適用すること
によりこれまでの会計処理と異なることとなる場合、会計基準等の改正に伴う会
計方針の変更として取り扱う。
65-2. 2022 年に改正した本適用指針(以下「2022 年改正適用指針」という。)の適用時期等
に関する取扱いは、次のとおりとする。
(1) 2024 年 4 月 1 日以後開始する連結会計年度の期首から適用する。ただし、2023
年 4 月 1 日以後開始する連結会計年度の期首から適用することができる。
(2) 2022 年改正適用指針の適用初年度において、2022 年改正適用指針を適用するこ
とによりこれまでの会計処理と異なることとなる場合、会計基準等の改正に伴う
会計方針の変更として取り扱い、原則として、新たな会計方針を過去の期間のすべ
てに遡及適用する。
ただし、2022 年改正適用指針のうち、子会社に対する投資を売却した時の親会
社の持分変動による差額に対する法人税等及び税効果(第 9 項(3)、第 30 項、第
31 項及び第 51 項(3)参照)の改正については、適用初年度の期首より前に新たな
会計方針を遡及適用した場合の適用初年度の累積的影響額を、適用初年度の期首
の利益剰余金に加減するとともに、対応する金額を期首の資本剰余金に加減し、当
該期首から新たな会計方針を適用することができる。
65-3. 2024 年に改正した本適用指針(以下「2024 年改正適用指針」という。)の適用時期等
は、2024 年に改正された自己株式等会計適用指針(以下「2024 年改正自己株式等会計
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適用指針」という。)と同様とする。
65-4. 2025 年に改正した本適用指針(以下「2025 年改正適用指針」という。)の適用時期
は、2025 年に改正された法人税等会計基準(以下「2025 年改正法人税等会計基準」と
いう。)の適用時期と同様とする。
2025 年改正法人税等会計基準第 20-4 項ただし書きを適用する場合、2025 年 3 月 31
日以後最初に終了する連結会計年度及び事業年度の中間連結財務諸表及び中間個別財
務諸表並びに四半期連結財務諸表及び四半期個別財務諸表については、2025 年改正適
用指針を適用しない。
65-5. 2025 年改正適用指針の適用初年度において、2025 年改正適用指針を適用することに
よりこれまでの会計処理と異なることとなる場合、会計基準等の改正に伴う会計方針
の変更として取り扱い、原則として、新たな会計方針を過去の期間のすべてに遡及適用
する。
ただし、適用初年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の適用初年
度の累積的影響額を適用初年度の期首の資本剰余金、利益剰余金及び評価・換算差額等
又はその他の包括利益累計額に加減し、当該期首から新たな会計方針を適用すること
ができる。この場合、2025 年改正法人税等会計基準第 20-5 項ただし書きについても適
用する必要がある。
66. 2018 年適用指針の適用により、企業会計基準適用指針第 27 号「税効果会計に適用す
る税率に関する適用指針」(以下「税率適用指針」という。)は廃止する。
67. 当委員会は、日本公認会計士協会に、次の実務指針等の改廃を検討することを依頼す
る。
(1) 会計制度委員会報告第 6 号「連結財務諸表における税効果会計に関する実務指
針」(以下「連結税効果実務指針」という。)
(2) 会計制度委員会報告第 10 号「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指
針」(以下「個別税効果実務指針」という。)
(3) 会計制度委員会「税効果会計に関する Q&A」(以下「税効果 Q&A」という。)
(4) 会計制度委員会「土地再評価差額金の会計処理に関する Q&A」
議 決
68. 2018 年適用指針は、第 378 回企業会計基準委員会に出席した委員 14 名全員の賛成に
より承認された。
68-2. 2022 年改正適用指針は、第 489 回企業会計基準委員会に出席した委員 14 名全員の賛
成により承認された。
68-3. 2024 年改正適用指針は、第 522 回企業会計基準委員会に出席した委員 12 名全員の賛
成により承認された。
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68-4. 2025 年改正適用指針は、第 542 回企業会計基準委員会に出席した委員 13 名全員の賛
成により承認された。
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結論の背景
経 緯
69. 2013 年(平成 25 年)12 月に開催された第 277 回企業会計基準委員会において、公益 財団法人財務会計基準機構内に設けられている基準諮問会議より、日本公認会計士協
会における税効果会計に関する実務指針(会計に関する部分)について当委員会で審議
を行うことが提言された。この提言を受けて、当委員会は、税効果会計専門委員会を設
置して、2014 年(平成 26 年)2 月から審議を開始した。
70. 審議を進めていく中で、日本公認会計士協会 監査委員会報告第 66 号「繰延税金資産 の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」に対する問題意識が特に強く聞かれた
ことから、2015 年(平成 27 年)12 月に回収可能性適用指針を先行して公表した。ま
た、税効果会計に適用する税率の取扱いについては実務上の課題があるため、先行して
対応を図るべきとの意見が聞かれたことから、2016 年(平成 28 年)3 月に税率適用指
針を公表した。
71. 2018 年適用指針は、連結税効果実務指針及び個別税効果実務指針を改正するもので あり、主にこれらの実務指針のうち繰延税金資産の回収可能性に関する定め以外の税
効果会計に関する定めについて、基本的にその内容を 2018 年適用指針に踏襲した上で、
必要と考えられる次の会計処理について見直しを行い、2017 年(平成 29 年)6 月に企
業会計基準適用指針公開草案第 58 号「税効果会計に係る会計基準の適用指針(案)」を
公表して広く意見を求めた。2018 年適用指針は、公開草案に対して寄せられた意見を
踏まえて検討を行い、公開草案の内容を一部修正した上で公表するに至ったものであ
る。2018 年適用指針では、次の会計処理以外の定めについては、表現の見直しを行っ
ているが、実質的な内容の変更は意図していない。
(1) 個別財務諸表における子会社株式等に係る将来加算一時差異の取扱いを連結財
務諸表における子会社等に対する投資に関連する一時差異の取扱いに平仄を合わ
せた(第 8 項(2)②及び第 94 項から第 97 項参照)。
(2) 子会社の利益のうち投資時に留保しているものに関する繰延税金負債の取扱い
を削除した(第 24 項、第 113 項及び第 114 項参照)。
72. なお、開示(表示及び注記事項)に関連する定めについては、2018 年適用指針の公 表に併せて企業会計基準第 28 号「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」を公表し
ている。
73. また、税率適用指針については、その内容を本適用指針に統合し、廃止することとし
ている(第 66 項参照)。
73-2. 当委員会では、2018 年 2 月に 2018 年適用指針等を公表し、日本公認会計士協会にお
ける税効果会計に関する実務指針の当委員会への移管を完了した。当該審議の過程で
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は、税金費用の計上区分(その他の包括利益に対する課税)及びグループ法人税制が適
用される場合の子会社株式等の売却に係る税効果については、2018 年適用指針等の公
表後に改めて検討を行うこととしていた。審議の結果、両論点について、2022 年改正
適用指針において所要の改正を行っている。
73-3. 2024 年改正適用指針においては、2024 年改正自己株式等会計適用指針において令和
5 年度税制改正を契機に子会社株式を配当する場合の会計処理に関する改正を行った
ことを受け、所要の改正を行っている。
73-4. 2025 年改正適用指針では、2024 年年次改善プロジェクトにおいて法人税等会計基準
における特別法人事業税の取扱いの明確化を行うための改正を行ったことを受け、所
要の改正を行っている。
用語の定義
74. 本適用指針では、必要と考えられる用語の定義を定めるにあたって、税効果会計基準 における定義をそのまま引き継ぐか又は連結税効果実務指針、個別税効果実務指針若
しくは税率適用指針等における記載を踏襲している(第 4 項参照)。
74-2. 2025 年改正適用指針では、2025 年改正法人税等会計基準において特別法人事業税(基
準法人所得割)について事業税(所得割)と同様の取扱いが要求されることを明確化し
たことに伴い、法定実効税率の算式に特別法人事業税率が含まれることを明確化する
こととした(本適用指針第 4 項(11)参照)。
財務諸表上の一時差異等
75. 財務諸表上の一時差異(第 4 項(4)参照)は、個別財務諸表において次のような場合
に生じるとされている(税効果会計基準 第二 一 2 (1))。
(1) 収益又は費用の帰属年度が税務上の益金又は損金の算入時期と相違する場合
(2) 資産又は負債の評価替えにより生じた評価差額等が直接純資産の部に計上され、
かつ、課税所得計算に含まれていない場合
76. 一時差異等には、税務上の繰越欠損金のほか、繰越外国税額控除や繰越可能な租税特 別措置法上の法人税額の特別控除等が含まれる(第 4 項(3)参照)。これは、個別税効果
実務指針において次のとおり記載されていたものである。
(1) 「税務上の繰越欠損金は一時差異ではないが、一時差異と同様の税効果を有する。
つまり、税務上の繰越欠損金は、その発生年度の翌期以降で繰越期限切れとなるま
での期間(以下「繰越期間」という。)に課税所得が生じた場合には、課税所得を
減額することができる。その結果、課税所得が生じた年度の法人税等として納付す
べき額は、税務上の繰越欠損金が存在しない場合に比べて軽減されるため、一時差
異に準ずるものとして取り扱う。」
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(2) 「税務上の繰越外国税額控除が発生した場合(控除対象となる外国法人税等の額
が外国税額控除限度額を超える場合)には、翌期以降の繰越可能な期間に発生する
外国税額控除余裕額(控除対象となる外国法人税等の額があるときはその金額を
外国税額控除限度額から控除後)を限度として税額を控除することが認められる
ことから、繰越外国税額控除についても一時差異に準ずるものとする。」
77. 一方で、次の項目のように、税引前当期純利益の計算においては収益又は費用として 計上されるが、課税所得計算においては永久に税務上の益金又は損金に算入されない
ものは、将来において、課税所得を増額又は減額させる効果を有さないため、一時差異
等には該当しない。
(1) 会計上、収益として計上された受取配当金のうち、課税所得計算において永久に
税務上の益金に算入されないもの
(2) 会計上、費用として計上された交際費のうち、課税所得計算において永久に税務
上の損金に算入されないもの
78. 第 77 項に関連し、役員賞与に係る引当金について、会計上、費用処理された役員賞 与のうち将来にわたって税務上の損金に算入されないものも、一時差異等には該当し
ない。これは、税効果 Q&A では、役員賞与に係る引当金の取扱いについて、次のとおり
記載されていたものである。
(1) 「役員賞与は、発生した会計期間の費用として処理されることとされ、当事業年
度の職務に係る役員賞与を期末後に開催される株主総会の決議事項とする場合に
は、当該支給は株主総会の決議が前提となるので、当該決議事項とする額又はその
見込額(当事業年度の職務に係る額に限る。)は、原則として、引当金に計上する
こととされています(企業会計基準第 4 号「役員賞与に関する会計基準」第 3 項及
び第 13 項)。」
(2) 「税務上、役員給与のうち損金に算入される額は、一定の要件を満たしたものに
限られていますので(法人税法第 34 条から第 36 条まで)、会計上、費用処理され
た役員賞与のうち将来にわたって損金算入されないものは、将来減算一時差異に
該当しないので、税効果会計の対象とはなりません。」
79. 第 78 項に記載した税効果 Q&A での取扱いのように、財務諸表上の一時差異は、将来 減算一時差異又は将来加算一時差異のいずれかに分類されると整理されていたと考え
られる。このため、当該事項を第 4 項(4)に記載した。
80. 審議の過程では、完全支配関係(法人税法第 2 条第 12 号の 7 の 6)にある国内の子 会社株式の評価損のように、当該子会社株式を売却したときには税務上の損金に算入
されるが、当該子会社を清算したときには税務上の損金に算入されないこととされて
いるものについて、当該子会社株式を将来売却するか、当該子会社を清算するか等が判
明していないときに、一時差異(将来減算一時差異)として取り扱うか否かが明確では
ないとの意見が聞かれた。
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81. これについては、当該子会社株式を将来売却するか、当該子会社を清算するか等が判 明していない場合であっても、個別貸借対照表に計上されている資産の額と課税所得
計算上の資産の額との差額は、当該差額が解消する時にその期の課税所得を減額する
効果を有する可能性があることから、第 4 項(4)①に定める一時差異が解消する時にそ
の期の課税所得を減額する効果を持つものに含め、一時差異(将来減算一時差異)に該
当するものと整理することとした。
82. 新株予約権については、一時差異等には該当しないものとして取り扱う。この取扱い は、企業会計基準適用指針第 8 号「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準等
の適用指針」(以下「純資産の部適用指針」という。)において、「新株予約権は、失効
時に課税所得を増額する効果をもつ課税所得計算上の負債に該当するため、税効果会
計の対象になるという考え方もあるが、権利行使の有無が確定するまでの間は、その性
格が確定しないことから、貸借対照表に計上されている負債に該当しないのみならず、
税効果会計の適用において、課税所得計算上の負債にも該当しないと考えられる。この
ため、本適用指針では、新株予約権については、税効果会計の対象としないものとして
いる。」と整理されていたものである。
83. 企業会計基準第 8 号「ストック・オプション等に関する会計基準」に従って計上した ストック・オプションに係る費用は、税効果 Q&A に記載されていたように、次のとおり
取り扱う。
(1) 「いわゆる税制適格ストック・オプション(租税特別措置法第 29 条の 2)につ
いては、従業員等の個人において給与所得等が非課税となり、法人において当該役
務提供に係る費用の額が損金に算入されませんので(法人税法第 54 条第 2 項)、
将来減算一時差異に該当せず、税効果会計の対象とはなりません。」
(2) 「いわゆる税制非適格ストック・オプションについては、従業員等の個人が給与
所得等として課税されるときは、給与等課税事由が生じた日(権利行使日)に、法
人において、当該役務提供に係る費用の額が損金に算入されますので(法人税法第
54 条第 1 項)、ストック・オプションの付与時において将来減算一時差異に該当し、
税効果会計の対象となります。」
将来減算一時差異
84. 将来減算一時差異(第 4 項(4)①参照)の例示として次のものが挙げられる([設例
1])。
(1) 会計上、費用として計上された棚卸資産の評価損のうち、税務上の損金として認
められないもの
(2) 未払事業税
(3) 貸倒引当金の損金算入限度超過額
(4) 賞与引当金
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(5) 退職給付引当金
(6) 資産又は負債の評価替えにより生じた評価差損
(7) 連結会社間における資産の売却に伴い生じた売却損を税務上繰り延べる場合
(法人税法第 61 条の 11)の当該売却損
(8) 連結子会社間で寄附金の授受を行い、親会社が当該寄附金を受領した子会社の
株式の簿価を税務上増額修正する場合(法人税法施行令第 9 条第 1 項第 7 号)の
当該簿価修正額
将来加算一時差異
85. 将来加算一時差異(第 4 項(4)②参照)の例示として次のものが挙げられる([設例
1])。
(1) 積立金方式による租税特別措置法上の諸準備金
(2) 税務上の特別償却により生じた個別貸借対照表上の資産の額と課税所得計算上
の資産の額の差額
(3) 資産又は負債の評価替えにより生じた評価差益
(4) 連結会社間における資産の売却に伴い生じた売却益を税務上繰り延べる場合
(法人税法第 61 条の 11)の当該売却益
(5) 連結子会社間で寄附金の授受を行い、親会社が当該寄附金を支出した子会社の
株式の簿価を税務上減額修正する場合(法人税法施行令第 9 条第 1 項第 7 号)の
当該簿価修正額
連結財務諸表固有の一時差異
86. 連結財務諸表固有の一時差異(第 4 項(5)参照)の例示として次のものが挙げられる。 (1) 連結決算手続において、親会社及び子会社が採用する会計方針を統一した場合
に、連結貸借対照表上の資産の額及び負債の額と個別貸借対照表上の当該資産の
額及び負債の額に差異が生じているときの当該差額
(2) 資本連結手続において、子会社の資産及び負債を時価評価した場合に生じた評
価差額
(3) 子会社の資本(子会社の純資産の部における株主資本及び評価・換算差額等(子
会社の資産及び負債の時価評価による評価差額を考慮した額))に対する親会社持
分相当額及びのれんの未償却額の合計額(以下「投資の連結貸借対照表上の価額」
という。)と親会社の個別貸借対照表上の投資簿価(課税所得計算上の子会社株式
の価額をいう。以下同じ。)との差額
(4) 連結会社間の取引から生じる未実現損益の消去額
(5) 連結会社間の債権と債務の相殺消去による貸倒引当金の修正額
87. 非支配株主持分は、連結財務諸表固有の一時差異に該当しない。この取扱いは、純資
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産の部適用指針において、非支配株主持分について、「連結貸借対照表に計上されてい
る負債でも課税所得計算上の負債でもないため、税効果会計の対象とはならないもの
と考えられる。」とされていたものである。
会計処理
税効果会計の目的
税効果会計の方法
88. 税効果会計基準では、税効果会計の方法として資産負債法によることとされ、会計上 の資産又は負債の額と課税所得計算上の資産又は負債の額に差異が生じている場合に
おいて、法人税等の額を適切に期間配分することが定められている(第 6 項参照)。
89. 税効果会計の方法には、資産負債法のほかに繰延法がある。
(1) 資産負債法
資産負債法とは、会計上の資産又は負債の額と課税所得計算上の資産又は負債
の額との間に差異が生じており、当該差異が解消する時にその期の課税所得を減
額又は増額する効果を有する場合に、当該差異(一時差異)が生じた年度にそれに
係る繰延税金資産又は繰延税金負債を計上する方法である。
したがって、資産負債法により計上する繰延税金資産又は繰延税金負債の計算
に用いる税率は、一時差異の解消見込年度に適用される税率である。
(2) 繰延法
繰延法とは、会計上の収益又は費用の額と税務上の益金又は損金の額との間に
差異が生じており、当該差異のうち損益の期間帰属の相違に基づくもの(期間差異)
について、当該差異が生じた年度に当該差異による税金の納付額又は軽減額を当
該差異が解消する年度まで、繰延税金資産又は繰延税金負債として計上する方法
である。
したがって、繰延法により計上する繰延税金資産又は繰延税金負債の計算に用
いる税率は、期間差異が生じた年度の課税所得計算に適用された税率である。
90. 資産負債法における一時差異と繰延法における期間差異の範囲はほぼ一致するが、
有価証券等の資産又は負債の評価替えにより直接純資産の部に計上された評価差額は、
一時差異ではあるが期間差異ではない。なお、期間差異に該当する項目は、すべて一時
差異に含まれる。
税効果会計の対象となる税金
91. 本適用指針は、税効果会計の対象となる税金について、「利益に関連する金額を課税 標準とする税金」とする税効果会計基準の取扱いを引き継いでいる(第 4 項(2)及び第
6 項参照)。
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したがって、例えば、収入金額その他利益以外のものを課税標準とする事業税(付加
価値割及び資本割)及び住民税の均等割は、税効果会計の計算に含まれる税金ではない。
また、特定同族会社に適用される留保金課税は、各事業年度の留保金額が一定の額を超
える場合に追加して課される税金(法人税法第 67 条)であるため、税効果会計の計算
には含まれない。
繰延税金資産及び繰延税金負債の計上
92. 本適用指針では、「繰延税金資産又は繰延税金負債として計上すべき金額は、将来の 会計期間における一時差異の解消又は税務上の繰越欠損金の課税所得との相殺及び繰
越外国税額控除の余裕額の発生に係る減額税金又は増額税金の見積額である。」とする
個別税効果実務指針の定めの内容に基づき、第 8 項(1)及び(2)を定めている。
93. また、繰延税金負債の計上に関して、税効果会計基準では支払が見込まれない税金の 額を控除することとされている点について(第 7 項参照)、個別税効果実務指針では、
「支払が見込まれない」場合を「事業休止等により、会社が清算するまでに明らかに将
来加算一時差異を上回る損失が発生し、課税所得が発生しないことが合理的に見込ま
れる場合に限られる。」とされている内容についても、基本的に踏襲している。
ただし、個別税効果実務指針においては、「支払が見込まれない場合」として「事業
休止等」が例示されていたが、税金の支払が見込まれない場合は必ずしも事業休止に限
られないため、当該表現については踏襲していない(第 8 項(2)①参照)。
連結財務諸表及び個別財務諸表における子会社等に対する投資に関連する一時差異の取扱
い
(連結財務諸表及び個別財務諸表における子会社等に対する投資に関連する一時差異の取
扱いの整合性)
94. 連結税効果実務指針では、連結財務諸表における子会社に対する投資に係る将来加 算一時差異について、原則として、繰延税金負債を計上するが、「親会社がその投資の
売却を親会社自身で決めることができ、かつ、予測可能な将来の期間に、その売却を行
う意思がない場合には、当該将来加算一時差異に対して」、繰延税金負債を計上しない
こととされていた。一方で、個別税効果実務指針では、個別財務諸表における子会社株
式に係る将来加算一時差異について、第 93 項に記載した「支払が見込まれない場合」
と「組織再編に伴い受け取った子会社株式等に係る一時差異」のうち一定の要件を満た
す場合を除き、一律に繰延税金負債を計上することとされていた。
95. この点について、連結財務諸表における子会社に対する投資に係る将来加算一時差 異(留保利益に係るものが配当により解消される場合を除く。)と、個別財務諸表にお
ける子会社株式に係る将来加算一時差異は、いずれも投資の売却又は子会社の清算に
より解消される点で共通していることから、これらの取扱いについて整合性を図るべ
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きとの意見が聞かれた。
96. 審議の結果、個別財務諸表における子会社株式に係る将来加算一時差異の取扱いを、 連結財務諸表における子会社に対する投資に係る将来加算一時差異の取扱いに合わせ
る記載に見直すこととした。
また、関連会社に対する投資に関連する繰延税金負債についても、連結税効果実務指
針において「本報告の示した方法に準じて処理するものとする。」とされていたこと、
及び関連会社株式は子会社株式と同様に一般的に事業投資としての性格を有すること
から、子会社に対する投資に関連する繰延税金負債の取扱いに合わせることとした。な
お、関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異のうち留保利益に係るものが配当
により解消される場合の取扱いについては、持分法実務指針に具体的に定められてい
るため、当該定めに従って処理することとなる。
具体的には、個別財務諸表における子会社株式等に係る将来加算一時差異について、
親会社等がその投資の売却等を当該会社自身で決めることができ、かつ、予測可能な将
来の期間に、その売却等を行う意思がない場合、当該将来加算一時差異に係る繰延税金
負債を計上しない定めを設けることとした(第 8 項(2)②参照)。
97. この定めを設けたことにより、個別税効果実務指針に記載されていた組織再編に伴 い受け取った子会社株式等に係る将来加算一時差異の取扱い(第 98 項参照)は、子会
社株式等に関する将来加算一時差異の取扱い(第 8 項(2)②参照)に含まれることから、
第 8 項(2)②の定め以外に特別な定めを設けないこととした。
一方で、組織再編に伴い受け取った子会社株式等に係る将来減算一時差異の取扱い
(第 98 項参照)は、従来と変わらないことから、第 8 項(1)に当該取扱いに関する定め
を設けることとした。
(組織再編に伴い受け取った子会社株式等に係る一時差異の取扱い)
98. 結合分離適用指針第 115 項及び第 123 項では、株式交換又は株式移転が取得と判定 された場合、株式交換完全親会社又は株式移転設立完全親会社が取得した子会社株式
(株式交換完全子会社の株式又は株式移転完全子会社の株式)に係る一時差異(取得の
ときから生じていた一時差異に限る。)に関する税効果は、予測可能な将来の期間に、
当該子会社株式を売却する予定があるとき等を除き、認識しない取扱いが示されてい
る。
個別税効果実務指針では、当該取扱いとの整合性から、例えば、次の取引について結
合当事企業又は結合当事企業の株主は、組織再編に伴い受け取った子会社株式等に係
る一時差異(当該株式の受取時に生じていたものに限る。)に関する繰延税金資産又は
繰延税金負債は計上しないこととなるとされていた。本適用指針では、この取扱いを踏
襲している。
(1) 取得と判定された合併等において、取得企業が被取得企業から受け入れた子会
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社株式等に係る一時差異
(2) 共通支配下の取引において、株式交換完全親会社又は株式移転設立完全親会社
が受け取った子会社株式に係る一時差異
(3) 共通支配下の取引として行われる分割型会社分割において、分割会社の親会社
等が受け取った子会社株式等(新設会社(又は承継会社)の株式)に係る一時差異
ただし、当該一時差異について、個別税効果実務指針では「当該株式の受取時に発生
していたもので、かつ、受取時に会計上の損益及び課税所得(又は税務上の繰越欠損金)
に影響を与えないものについては税効果を認識しない。」とされていたが、このうち、
「受取時に会計上の損益及び課税所得(又は税務上の繰越欠損金)に影響を与えないも
の」との記載については、結合分離適用指針第 115 項及び第 123 項の定めに当該記載
がないこととの整合性を図るため、本適用指針では削除することとした。
99. なお、事業分離が行われた場合、分離元企業にとって分離先企業に移転された事業に 対する投資が継続しているとみるときは、結合分離適用指針第 108 項(2)により、事業
分離日において移転する繰延税金資産及び繰延税金負債の額を、分離先企業の株式の
取得原価に含めずに、分離先企業の株式等に係る一時差異に関する繰延税金資産及び
繰延税金負債として計上することとされているため、当該定めによることとなる。
財務諸表上の一時差異等の取扱い
連結会社間における資産の売却に伴い生じた売却損益を税務上繰り延べる場合の個別財務
諸表における取扱い
100. 第 16 項又は第 17 項に従って連結会社間における資産の売却に伴い生じた売却損益
に係る一時差異について繰延税金資産又は繰延税金負債を計上する場合、当該一時差
異に係る繰延税金資産又は繰延税金負債の額は、当該資産を売却した企業において当
該一時差異の解消が見込まれる期における法定実効税率に基づき計算する。
連結財務諸表固有の一時差異の取扱い
子会社の資産及び負債の時価評価による評価差額に係る一時差異の取扱い
101. 資本連結手続において、子会社の資産及び負債は、支配獲得日の時価をもって評価さ
れ、その評価差額(個別財務諸表において資本又は損益に計上されたものを除く。)は
資本として処理されることとなる。当該評価差額は親会社の投資と子会社の資本との
相殺消去及び非支配株主持分への振替により全額消去されるが、評価対象となった子
会社の資産及び負債の連結貸借対照表上の価額と個別貸借対照表上の価額との間に差
異が生じる。
当該差異は連結財務諸表固有の一時差異に該当し、第 18 項に従って繰延税金資産又
は繰延税金負債を計上し、第 19 項に従って計上した繰延税金資産又は繰延税金負債を
取り崩すこととなる。
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個別財務諸表において子会社株式の評価損を計上した場合の連結財務諸表における取扱い
102. 親会社の個別財務諸表において子会社株式の評価損が計上される場合、当該評価損
が資本連結手続によって消去されることにより、当該評価損の消去に伴う連結財務諸
表固有の将来加算一時差異が生じる。この将来加算一時差異については、子会社株式の
評価損に係る税務上の取扱いにより、第 20 項又は第 21 項に従って処理することとな
る。
この取扱いにより、子会社株式の評価損について税務上の損金算入の要件を満たし
ていない場合、連結決算手続において生じた当該評価損の消去に伴う将来加算一時差
異に対して計上される繰延税金負債の額は、個別貸借対照表において計上された繰延
税金資産の額と一致し、連結財務諸表上、子会社に対する投資について一時差異が生じ
ていないことと同様になる。
子会社に対する投資に係る一時差異の取扱い
(子会社に対する投資に係る一時差異)
103. 子会社に対し投資を行った時は、通常、親会社の個別貸借対照表上の投資簿価と当該
投資の連結貸借対照表上の価額とは一致し(当該子会社株式の取得原価に含まれる取
得関連費用を除く。)、連結財務諸表上、子会社に対する投資に係る一時差異は生じない。
104. しかし、投資後に子会社が計上した損益、為替換算調整勘定、のれんの償却等により、
子会社に対する投資の連結貸借対照表上の価額が変動する。その結果、親会社の個別貸
借対照表上の投資簿価と当該投資の連結貸借対照表上の価額の間に差額が生じる。当
該差額は、次の場合に親会社において納付する税金を増額又は減額する効果を有する。
(1) 子会社が親会社に配当を実施する場合
(2) 親会社が保有する投資を第三者に売却する又は保有する投資に対して個別財務
諸表上の評価損を計上することにより、税務上の損金に算入される場合
このように将来の会計期間に親会社において納付する税金を増額又は減額する効果
を有する場合、親会社の個別貸借対照表上の投資簿価と子会社に対する投資の連結貸
借対照表上の価額との差額は連結財務諸表固有の一時差異に該当する。
(子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の将来減算一時差異)
105. 子会社に対する投資の連結貸借対照表上の価額が親会社の個別貸借対照表上の投資
簿価を下回る場合、連結財務諸表固有の将来減算一時差異が生じることとなる。当該将
来減算一時差異については、第 22 項に従って処理する。
105-2.2022 年改正適用指針では、連結会社間における子会社株式等の売却に伴い生じた売
却損益について、税務上の要件を満たし課税所得計算において当該売却損益を繰り延
べる場合(法人税法第 61 条の 11)であって、当該子会社株式等を売却した企業の個別
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財務諸表において、第 17 項に従って当該売却損益に係る一時差異に対して繰延税金資
産又は繰延税金負債が計上されているときは、連結決算手続上、当該一時差異に係る繰
延税金資産又は繰延税金負債を取り崩すように見直しを行った(第 39 項及び第 143-2
項参照)。
これにあわせて、税務上の要件を満たし課税所得計算において売却損益を繰り延べ
る場合に該当する子会社株式の売却について、予測可能な将来の期間に当該子会社に
対する投資の売却を行う意思決定又は実施計画が存在しても、子会社に対する投資に
係る連結財務諸表固有の将来減算一時差異に対し繰延税金資産を計上しないこととし
た。そのため、第 22 項(1)①の子会社に対する投資の売却等から、税務上の要件を満た
し課税所得計算において売却損益を繰り延べる場合を除いている。
(子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異)
106. 子会社に対する投資の連結貸借対照表上の価額が親会社の個別貸借対照表上の投資
簿価を上回る場合、連結財務諸表固有の将来加算一時差異が生じることとなる。当該将
来加算一時差異については、第 23 項又は第 24 項に従って処理する。
106-2.2022 年改正適用指針では、第 105-2 項と同様の考え方により、税務上の要件を満た
し課税所得計算において売却損益を繰り延べる場合に該当する子会社株式の売却につ
いて、予測可能な将来の期間に当該子会社に対する投資の売却を行う意思があるとし
ても、子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異に対し繰延税
金負債を計上しないこととした。そのため、第 23 項(2)に、予測可能な将来の期間に、
子会社に対する投資の売却等を行う意思があるが、当該子会社に対する投資の売却等
に伴い生じる売却損益について、税務上の要件を満たし課税所得計算において売却損
益を繰り延べる場合を追加している。
子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の一時差異の各項目の取扱い
(子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の一時差異の例示)
107. 本適用指針第 22 項から第 27 項における子会社に対する投資に係る連結財務諸表固
有の一時差異の例示として、次のものが挙げられる。
(1) 子会社株式の取得原価に含まれる取得関連費用に係る連結財務諸表固有の将来
減算一時差異
子会社株式の取得原価に含まれる取得関連費用に係る連結財務諸表固有の将来
減算一時差異は、個別財務諸表において、子会社株式の取得原価を企業会計基準第
10 号「金融商品に関する会計基準」(以下「金融商品会計基準」という。)及び移管
指針第 9 号「金融商品会計に関する実務指針」に従って算定し、当該取得原価に取
得関連費用が含まれていた場合、連結決算手続上、発生した連結会計年度の費用と
して処理することにより(企業会計基準第 21 号「企業結合に関する会計基準」(以
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下「企業結合会計基準」という。)第 26 項)、子会社に対する投資の連結貸借対照
表上の価額と親会社の個別貸借対照表上の投資簿価との間に生じる差異である。
(2) 段階取得に係る損益に関する連結財務諸表固有の一時差異
段階取得に係る損益に関する連結財務諸表固有の将来減算一時差異又は将来加
算一時差異は、子会社株式の取得が複数の取引により達成された場合(段階取得)
において、子会社に対する投資の連結貸借対照表上の価額と親会社の個別貸借対
照表上の投資簿価が一致しないことにより生じる差異(連結会計基準第 62 項及び
企業結合会計基準第 25 項)である。
(3) のれんの償却額又は負ののれんの利益計上額に係る連結財務諸表固有の一時差
異
① のれんの償却額に係る連結財務諸表固有の将来減算一時差異は、子会社に対
する投資の連結貸借対照表上の価額が親会社の個別貸借対照表上の投資簿価を
下回ることによる差異であり、主に親会社による投資の売却によって解消する。
当該将来減算一時差異は、例えば、親会社が投資をすべて売却した場合、売却直
前の個別貸借対照表上の子会社株式の投資簿価が連結貸借対照表上の子会社に
対する投資の価額より大きくなるため、個別損益計算書上の子会社株式の売却
益(損)が小さく(大きく)なり、納付する税金を減額させる効果を有する。
したがって、稀ではあるが、のれんの償却年度において予測可能な将来の期間
に当該投資の売却を行う意思決定が行われた場合(本適用指針第 22 項(1)①参
照)、のれんの償却額に係る一時差異に関する繰延税金資産を本適用指針第 22
項(2)の要件を満たすときに計上する。
② 負ののれんの利益計上額に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異は、子
会社に対する投資の連結貸借対照表上の価額が親会社の個別貸借対照表上の投
資簿価を上回ることによる差異である。当該将来加算一時差異は、例えば、将来
において親会社が当該投資を第三者にすべて売却することにより納付する税金
を増額させる効果を有する。
したがって、負ののれんの利益計上額に係る繰延税金負債については本適用
指針第 23 項に従って処理する。
(留保利益に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異の取扱い)
108. 留保利益に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異については、通常、親会社は子
会社の留保利益を配当金として受け取ることにより解消されることから、原則として、
当該将来加算一時差異に係る繰延税金負債を計上することとなる。このため、親会社が
当該子会社の利益を配当しない方針を採っているなど、将来の会計期間において追加
で納付する税金が見込まれない可能性が高い場合を除き、繰延税金負債を計上するこ
ととなる(第 24 項参照)。
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109. また、第 24 項における将来の会計期間において追加で納付が見込まれる税金の額に
は、例えば次のものが挙げられる。
(1) 親会社が配当金を受け取ったときに納付が見込まれる税金の額(当該配当金の
うち税務上の益金に算入される部分に、親会社における法定実効税率を乗じた額)
(2) 在外子会社から受け取る配当金の額に対して課される外国源泉所得税の額
110. 在外子会社から配当金を受け取る場合、親会社は在外子会社の所在地国の法令(又は
我が国と当該所在地国で租税条約等が締結されているときには法令や当該租税条約等)
に基づき、所在地国の税務当局に当該配当金に係る外国源泉所得税を納付することと
されている。したがって、所在地国の法令(又は租税条約等)に外国源泉所得税の税率
が規定されており、当該法令が改正される場合(又は当該租税条約等が締結される場合
若しくは改正される場合)、第 44 項に準じて、当該外国源泉所得税の額を計算すること
とした(第 26 項参照)。
111. 留保利益に係る連結財務諸表固有の一時差異については、税効果 Q&A に記載されて
いた次の事項に留意することが考えられる。
(1) 「内国法人が外国子会社から受け取る配当等の全部又は一部が外国子会社の本
店所在地国の法令において損金算入することとされている場合は、受け取る配当
等の額について、親会社の個別財務諸表における税負担額から、子会社の個別財務
諸表において損金算入され親会社の税負担額が軽減されると見積もられる税額を
控除した額を、連結財務諸表上、繰延税金負債として計上することになるものと考
えられます。」
(2) 「外国税額控除についても、源泉徴収税額のような直接納付外国税額のうち外国
税額控除限度額を超過する納付額を、期中において仮払税金等として資産計上し
ている場合には、期末決算においては、その科目から「法人税、住民税及び事業税」
に振替計上し、改めて繰延税金資産の計上の可否を検討することになります。この
ため、繰越外国税額控除については、在外支店の所得が合理的に見込まれるなど、
国外源泉所得を稼得する可能性が高いことにより、翌期以降に外国税額控除余裕
額が生じることが確実に見込まれるときに、繰越外国税額控除の実現が見込まれ
る額を繰延税金資産として計上することに留意が必要です。」
112. 子会社が損失を計上し、過去に計上した留保利益を減少させた場合、前期までに計上
した繰延税金負債のうち当該減少に対応する部分を修正する必要がある。
(投資時における子会社の留保利益の取扱い)
113. 連結税効果実務指針では、投資時における子会社の留保利益の取扱いについて、次の
内容が定められていた。
(1) 「子会社の利益のうち投資時に留保しているものについても、将来配当の可能性
がある場合で、配当受領時に親会社において受取配当金に係る追加の税金負担が
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生ずると見込まれるときには、親会社は投資時に税効果を認識し、繰延税金負債を
計上することができる。(中略)なお、税効果の認識に当たって、個別財務諸表上
の繰延税金負債の相手科目は子会社投資原価であり、資本連結手続を通じてのれ
ん又は負ののれんに影響を与えることになる。また、その後の税率の変更に伴う繰
延税金負債の増減や子会社からの配当受領又は損失計上に伴う繰延税金負債の取
崩しは、子会社投資原価若しくはのれん又は負ののれんを修正するのではなく、法
人税等調整額に計上する。」
(2) 「投資時まで留保していた子会社の利益が後日親会社に配当送金されると、投資
の連結貸借対照表上の価額は配当金額(源泉徴収税額控除前)だけ減額されるが、
個別財務諸表及び税務上は受取配当金として処理されるため、投資の連結貸借対
照表上の価額と個別貸借対照表上の投資簿価との間に新たに将来減算一時差異が
生じることに留意する必要がある。この将来減算一時差異は、第 32 項に従って資
産計上の要件を満たす場合に限り、親会社において繰延税金資産を計上する。」
114. しかしながら、本適用指針は、次の理由で第 113 項に記載した連結税効果実務指針の
内容を踏襲していない(本適用指針第 24 項参照)。
(1) 本適用指針第 113 項に記載した内容のうち、個別財務諸表における子会社株式
の取得原価についての記載は、当該事項が定められている金融商品会計基準第 17
項、企業結合会計基準第 23 項、連結会計基準第 23 項(1)等の定めと必ずしも整合
しない。
(2) 実務において本適用指針第 113 項に記載した会計処理を適用している事例は稀
であると考えられる。
(負の値である場合の留保利益に係る連結財務諸表固有の将来減算一時差異の取扱い)
115. 子会社の留保利益が負の値である場合、当該留保利益に係る連結財務諸表固有の将
来減算一時差異は、投資後に子会社が損失を計上し、投資の連結貸借対照表上の価額が
親会社の個別貸借対照表上の投資簿価を下回ることにより生じる。当該将来減算一時
差異については、第 22 項に従って処理する。稀ではあるが、第 22 項(1)の要件を満た
す場合、子会社の損失の発生は、親会社にとって、予測可能な将来の期間に納付する税
金を減額させる効果を有することとなる。
例えば、子会社の資産の状態が著しく悪化し、税務上の要件を満たす場合、子会社株
式の評価損について、一定の金額を限度として税務上の損金に算入することができる。
親会社にとっては、当該子会社株式の評価損について税務上の損金に算入することが
できる要件を満たすことが確実に見込まれる場合、将来において納付する税金を減額
させる効果を有するため、負の値である子会社の留保利益のうち、税務上の損金に算入
される可能性が高い金額に係る繰延税金資産を、第 22 項(2)の要件を満たすときに計
上する。この繰延税金資産は、親会社に適用される法定実効税率により計上する。
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(為替換算調整勘定に係る連結財務諸表固有の一時差異の取扱い)
116. 第 27 項(1)④に定める為替換算調整勘定に係る連結財務諸表固有の一時差異の取扱
いについては、連結税効果実務指針に示されていた次の内容を踏襲している。
(1) 「在外子会社等の財務諸表の換算において発生する為替換算調整勘定により、子
会社等への投資の連結貸借対照表上の価額が親会社の個別貸借対照表上の投資簿
価を下回ることがある。この差額は将来減算一時差異である。」
(2) 「在外子会社等の財務諸表の換算において発生する為替換算調整勘定により、子
会社等への投資の連結貸借対照表上の価額が親会社の個別貸借対照表上の投資簿
価を上回ることがある。この差額は将来加算一時差異である。」
(3) 「為替換算調整勘定に対する税効果は、主に投資会社が株式を売却することによ
って実現するものであるため、第 30 項の要件に従い、子会社等の株式の売却の意
思が明確な場合に税効果を認識し、それ以外の場合には認識しないものとする。」
(4) 「税効果を認識する場合には、連結貸借対照表の純資産の部に計上される為替換
算調整勘定は、それに対応して認識された繰延税金資産又は繰延税金負債に見合
う額を加減して計上する。」
(5) 「為替換算調整勘定は、発生時に連結上損益計上されていないが、当該為替換算
調整勘定の実現額は、子会社等の株式の売却時に個別決算上の売却損益に含めて
計上される(親会社と子会社の支配関係が継続している場合を除く。)ことになる」
([設例 5])
子会社に対する投資を一部売却した場合の取扱い
(子会社に対する投資を一部売却した後も親会社と子会社の支配関係が継続している場合
における親会社の持分変動による差額に対応する法人税等相当額についての売却時の取
扱い)
117. 子会社に対する投資を一部売却した後も親会社と子会社の支配関係が継続している
場合、連結財務諸表上、当該売却に伴い生じた親会社の持分変動による差額は、資本剰
余金として計上し、関連する法人税等相当額は、資本剰余金から控除することとされて
いる(連結会計基準第 29 項及び(注 9)(2))。
このため、子会社に対する投資を一部売却した場合、売却に伴い生じた親会社の持分
変動による差額に対応する法人税等相当額について、連結財務諸表上、法人税、住民税
及び事業税などその内容を示す科目を相手勘定として資本剰余金から控除することと
した(本適用指針第 28 項参照)。
118. なお、資本剰余金から控除する法人税等相当額は、売却元の課税所得の額や税金の納
付額にかかわらず、原則として、売却に伴い生じた親会社の持分変動による差額に法定
実効税率を乗じて計算する。ただし、税金の納付が生じていない場合に資本剰余金から
- 40 -
控除する額をゼロとするなど他の合理的な計算方法によることを妨げるものではない。
(子会社に対する投資を一部売却したことにより親会社と子会社の支配関係が継続してい
ない場合における残存する投資の額に係る一時差異に関する繰延税金資産又は繰延税金
負債についての売却時の取扱い)
119. 子会社に対する投資を一部売却したことにより当該被投資会社が子会社等に該当し
なくなった場合、利益剰余金に計上されていた当該被投資会社の留保利益(又は負の値
である場合の留保利益)の親会社持分相当額とのれんの償却累計額又は負ののれんの
利益計上額との合計額(差引額)のうち、残存する当該被投資会社に対する投資に相当
する部分は連結株主資本等変動計算書上の利益剰余金の区分に、連結除外に伴う利益
剰余金減少高(又は増加高)等その内容を示す適当な名称をもって計上するとされてい
る(移管指針第 4 号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」(以下「資
本連結実務指針」という。)第 46 項)。
120. 第 119 項の処理に伴い当該投資の帳簿価額への修正により解消した一時差異につい
て第 27 項に従って計上した繰延税金資産又は繰延税金負債は、売却時に取り崩し、当
該取崩額を法人税等調整額に計上するのではなく、利益剰余金から直接控除する(第 29
項参照)。
子会社に対する投資を売却した時の親会社の持分変動による差額に対する法人税等及び税
効果についての取扱い
(親会社の持分変動による差額に対して繰延税金資産又は繰延税金負債を計上していた場
合の子会社に対する投資を売却した時の取扱い)
121. 連結会計基準第 28 項では、子会社に対する投資の追加取得に伴う親会社の持分変動
による差額は、資本剰余金として計上するとされている。親会社の持分変動による差額
は、連結財務諸表固有の一時差異に該当し、本適用指針第 27 項(2)①に従って当該親会
社の持分変動による差額に係る繰延税金資産又は繰延税金負債を計上する場合、資本
剰余金を相手勘定として計上する。
なお、追加取得を行った子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の一時差異は、
上記の資本剰余金に関連する部分の他、当該子会社の留保利益など利益剰余金に関連
する部分を含むこととなる。
122. 連結会計基準第 30 項では、親会社と子会社の支配関係が継続している場合、子会社
の時価発行増資等に伴う親会社の持分変動による差額は、資本剰余金として計上する
とされている。親会社の持分変動による差額は、連結財務諸表固有の一時差異に該当し、
本適用指針第 27 項(2)②に従って当該親会社の持分変動による差額に係る繰延税金資
産又は繰延税金負債を計上する場合、資本剰余金を相手勘定として計上する。
なお、時価発行増資等を行った子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の一時
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差異は、上記の資本剰余金に関連する部分の他、当該子会社の留保利益など利益剰余金
に関連する部分を含むこととなる。
123. 2018 年適用指針では、第 121 項及び第 122 項に記載した親会社の持分変動による差
額に係る連結財務諸表固有の一時差異について繰延税金資産又は繰延税金負債を計上
していた場合、資本剰余金を相手勘定としている一方で、子会社に対する投資の売却時
に当該親会社の持分変動による差額に係る一時差異が解消することにより繰延税金資
産又は繰延税金負債を取り崩すときは、対応する額を法人税等調整額に計上すること
としていた。
この会計処理は、連結税効果実務指針の「連結財務諸表上、追加取得や子会社の時価
発行増資等により生じた資本剰余金の額について、法人税等調整額に相当する額を控
除した後の額で計上し、売却時に繰延税金資産又は繰延税金負債の取崩額を法人税等
調整額に計上することにより、適切な額を税金費用として計上するためである。」とい
う考えを踏襲したものである。
123-2.2022 年に改正された法人税等会計基準(以下「2022 年改正法人税等会計基準」とい
う。)では、企業の純資産に対する持分所有者との直接的な取引のうち、損益に反映さ
れないものに対して課される当事業年度の所得に対する法人税、住民税及び事業税等
について、純資産の部の株主資本の区分に計上することとした(2022 年改正法人税等
会計基準第 5 項(1)及び第 5-2 項(1))が、これに伴って、前項の会計処理を見直すか否
かが論点となった。
前項の会計処理は、法人税、住民税及び事業税等を原則として損益に計上することと
していたことを前提として定められたものと考えられる。しかしながら、上記のような
法人税、住民税及び事業税等について、純資産の部の株主資本の区分に計上することを
定めたことにより、前項の会計処理を求める必要性は乏しくなったものと考えられる。
そのため、2022 年改正適用指針では、前項の場合における繰延税金資産又は繰延税金
負債の取崩しは、資本剰余金を相手勘定として行うこととした(本適用指針第 30 項参
照)。
(親会社の持分変動による差額が生じている場合に子会社に対する投資を売却した時の法
人税等についての取扱い)
124. 2018 年適用指針では、追加取得や子会社の時価発行増資等に伴い親会社の持分変動
による差額が生じている子会社に対する投資について、当該子会社に対する投資の売
却の意思決定とその売却時期が同一の事業年度となったことなどにより、資本剰余金
を相手勘定として当該親会社の持分変動による差額に係る繰延税金資産又は繰延税金
負債を計上していなかった場合、資本剰余金の額が、売却前に繰延税金資産又は繰延税
金負債を計上した場合と同じ結果になるように、当該子会社に対する投資を売却した
時に、資本剰余金とした親会社の持分変動による差額に対応する法人税等調整額に相
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当する額を、資本剰余金から控除することとしていた。
2022 年改正法人税等会計基準では、上記のような、持分変動による差額に対する法
人税、住民税及び事業税等を、純資産の部の株主資本の区分に計上することとしたこと
から(2022 年改正法人税等会計基準第 5 項(1)及び第 5-2 項(1))、2022 年改正適用指
針では、繰延税金資産又は繰延税金負債を計上していたか否かにかかわらず、親会社の
持分変動による差額に対応する法人税等相当額について、法人税、住民税及び事業税な
どその内容を示す科目を相手勘定として資本剰余金から控除することとした(本適用
指針第 31 項参照)。
保有する完全子会社株式を株式数に応じて比例的に配当(按分型の配当)し子会社に該当
しなくなった場合の取扱い
124-2. 2024 年に改正された資本連結実務指針では、保有する完全子会社株式を株式数に応
じて比例的に配当(按分型の配当)し子会社に該当しなくなった場合の会計処理につい
て、連結財務諸表においても現物配当に係る損益を計上しないこととした(資本連結実
務指針第 46-3 項、第 46-4 項、第 66-8 項及び第 66-9 項)。このため、当該取引につい
て本適用指針第 4 項の定義に従って検討した場合、連結決算手続の結果として生じる
一時差異のうち、自己株式等会計適用指針第 10 項(2-2)で定められた取引において解
消する部分が解消する時に連結財務諸表における利益が減額又は増額されないことか
ら、連結財務諸表固有の一時差異は生じているものの連結財務諸表固有の将来減算一
時差異又は連結財務諸表固有の将来加算一時差異の定義に直接的には該当しないと考
えられる。しかしながら、税制非適格の場合に連結財務諸表上の税金等調整前当期純利
益と税金費用との対応関係を図ることを考えた場合、当該一時差異についても本適用
指針が定める連結財務諸表固有の将来減算一時差異又は連結財務諸表固有の将来加算
一時差異に係る定め(本適用指針第 18 項から第 27 項参照)を適用するのが適切と考
えられることから、連結財務諸表固有の将来減算一時差異又は連結財務諸表固有の将
来加算一時差異の定義に準ずるものとして同様の取扱いをすることとした(本適用指
針第 4 項(5)なお書き参照)。
124-3. この場合、自己株式等会計適用指針第 10 項(2-2)で定められた取引に関して、本適
用指針第 8 項(3)の定めに従って、税金の見積額を繰延税金資産及び繰延税金負債とし
て計上することになる。ここで、いわゆるパーシャルスピンオフ税制において税制適格
となる場合には子会社株式の配当時に税金は発生しない一方、いわゆるパーシャルス
ピンオフ税制において税制非適格となる場合には時価で配当されたとして取り扱われ
ることから税額に影響を与える。このため、税制適格となる場合には将来の税金の見積
額はゼロとなる一方、税制非適格となる場合には配当により解消する連結財務諸表固
有の一時差異に係る税金の額が税金の見積額となる。
124-4. 子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の将来減算一時差異に係る繰延税金
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資産又は子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の将来加算一時差異に係る繰延
税金負債を計上する場合について、本適用指針第 22 項及び第 23 項において定められ
ている。これらの定めで用いられている「子会社に対する投資の売却等」の「等」には
子会社株式の配当が含まれていると考えられるため、自己株式等会計適用指針第 10 項
(2-2)で定められた取引に関してもこれらの定めに基づいて繰延税金資産又は繰延税
金負債の計上時期を判断することとなる。
なお、本適用指針第 24 項は、子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の将来加
算一時差異のうち、子会社の留保利益について親会社が当該留保利益を配当金として
受け取ることにより解消されるものを取り扱っており、株式配当の実施会社がその株
主に対して子会社株式を配当する自己株式等会計適用指針第 10 項(2-2)で定められた
取引とは取り扱っている局面が異なることに留意する必要がある。
124-5. 2024 年改正適用指針の審議の過程において、自己株式等会計適用指針第 10 項(2-2) で定められた取引において当期税金が生じる場合、法人税等会計基準第 5 項に従い当
該取引に係る法人税、住民税及び事業税等を損益に計上すべきか否かについて検討を
行った。この点、自己株式等会計適用指針第 10 項の柱書に基づき、配当の効力発生日
における配当財産の時価と適正な帳簿価額との差額を損益に計上し、当該損益が課税
対象となる場合には、損益計算書において当該損益に対応する税金を計上した上で、株
主資本等変動計算書において配当財産の時価をもってその他資本剰余金又はその他利
益剰余金(繰越利益剰余金)を減額する。これに対して、自己株式等会計適用指針第 10
項(2-2)で定められた取引では、適正な帳簿価額をもってその他資本剰余金又はその他
利益剰余金(繰越利益剰余金)を減額するため損益を計上しないが、まず損益計算書に
おいて配当財産の時価と適正な帳簿価額との差額及び当該差額に係る税金に関する会
計処理を行い、この会計処理を踏まえて、株主資本等変動計算書において配当財産の価
額をもって配当の会計処理を行うという考え方は自己株式等会計適用指針第 10 項の柱
書の場合と同じであるべきと考えられる。また、配当によるその他資本剰余金又はその
他利益剰余金(繰越利益剰余金)の減額処理に対して課税されるものではない。これら
を踏まえると、当該取引に係る法人税、住民税及び事業税等は損益に計上すると考えら
れる。
債権と債務の相殺消去に伴い修正される貸倒引当金に係る一時差異の取扱い
125. 第 32 項及び第 33 項に定める債権と債務の相殺消去に伴い修正される貸倒引当金に
係る連結財務諸表固有の一時差異の取扱いについては、連結税効果実務指針に示され
ていた次の考えに基づいている。
(1) 「連結手続において、連結会社相互間の債権債務の相殺消去が行われ、相殺され
た債権に対応する貸倒引当金が減額修正される。その結果、減額修正される貸倒引
当金が税務上損金として認められたものである場合、個別貸借対照表上の貸倒引
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当金と税務上の貸倒引当金との間に差異はないが、連結貸借対照表上の貸倒引当
金は税務上の貸倒引当金より小さくなり、将来加算一時差異が生ずる。」
(2) 「本報告では、この将来加算一時差異に対して連結手続上、原則として繰延税金
負債を計上することとしたが、債務者である連結子会社の業績悪化に伴い、債権者
が個別財務諸表上で貸倒引当金を計上し、税務上損金算入した場合には、当該将来
加算一時差異につき税効果を認識しないことになる。すなわち、税務上の損金算入
が認められる貸倒引当金が、債権債務の相殺消去に伴い減額修正されても、将来加
算一時差異に係る税金は将来においてその支払が見込まれないと考えられるから
である。」
(3) 「減額修正される貸倒引当金が税務上損金として認められず所得に加算されて
いる場合には、個別貸借対照表上の貸倒引当金は税務上の貸倒引当金より大きく
なるため、個別財務諸表上、将来減算一時差異が発生する。しかし、連結手続上、
貸倒引当金の減額修正が行われると、連結貸借対照表上の貸倒引当金は当該修正
額だけ小さくなり、結果として税務上の貸倒引当金に一致し、個別財務諸表上で発
生した将来減算一時差異は消滅することになる。」
未実現損益の消去に係る一時差異の取扱い
(未実現損益の消去に係る一時差異)
126. 連結会社間の取引に伴い生じた未実現損益について、連結決算手続上、当該未実現損
益は連結会計基準第 36 項に従って消去されるが、売却元の連結会社において、売却年
度に資産に係る売却益(又は資産に係る売却損)に対して課税され、当該会社の個別財
務諸表上、当該税金の納付額(又は当該税金の軽減額)が法人税等に計上されているこ
ととなる。
一方で、連結財務諸表において、当該未実現損益が実現した時には、売却元の連結会
社において、当該資産に係る売却益(又は資産に係る売却損)に対して課税されないこ
ととなる。
127. また、連結決算手続上、未実現損益が消去されると、売却された資産の連結貸借対照
表上の額と購入側の連結会社における個別貸借対照表上の当該資産の額との間に一時
差異が生じる。
128. このように、未実現損益の消去に係る一時差異については、個別財務諸表において未
実現損益(資産に係る売却損益)が発生した連結会社と、一時差異の対象となった資産
を保有している連結会社が相違しており、この点で他の一時差異とは性質が異なる。
129. すなわち、売却元の連結会社の個別財務諸表においては、未実現損益の発生年度に当
該未実現損益(資産に係る売却損益)に対して課税されており、将来において未実現損
益の消去に係る税金を減額又は増額させる効果は有さないこととなる。同様に、購入側
の連結会社においては、個別貸借対照表上に計上されている購入した資産の額と課税
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所得計算上の資産の額とは原則として一致しており、一時差異は生じていない。
しかしながら、連結決算手続上、消去された未実現損益は、連結財務諸表固有の一時
差異に該当するため、繰延税金資産又は繰延税金負債を計上することとなる。
(未実現損益の消去に係る一時差異の会計処理)
130. 連結税効果実務指針では、連結決算手続上、消去された未実現損益に関する一時差異
については、未実現損益が発生した連結会社と一時差異の対象となった資産を保有す
る連結会社が異なるという特殊性を考慮し、かつ、従来からの実務慣行を勘案し、売却
元の連結会社における税金の納付額又は軽減額を繰延税金資産又は繰延税金負債とし
て計上し、当該未実現損益の実現に対応させて取り崩すこととされていた。
この売却元の連結会社における税金の納付額又は軽減額は確定した金額であるため、
繰延税金資産又は繰延税金負債の額は、売却元の連結会社における未実現損益(資産に
係る売却損益)の額に対して売却年度の課税所得計算に適用される税率に基づく法定
実効税率を用いて計算した税金の額である。
また、未実現損益の消去に係る一時差異に関する繰延税金資産又は繰延税金負債は、
土地、建物等であって、その未実現損益の実現が長期間にわたることになっても計上す
るものとされていた。
131. このように、未実現損益の消去に係る税効果会計については、資産負債法(第 89 項
(1)参照)の例外として繰延法(第 89 項(2)参照)が採用されている。
審議の過程では、国際財務報告基準(IFRS)では資産負債法が採用されており、また、
米国会計基準においても棚卸資産以外の資産の未実現損益の消去に係る税効果会計に
ついては資産負債法が採用されることから、連結税効果実務指針における繰延法の取
扱いについて国際的な会計基準と整合性を図り、資産負債法に変更すべきとの意見が
聞かれた。
132. この意見に関し、まず、繰延法と資産負債法の論拠については、次のとおりと考えら
れる。
繰延法については、未実現利益を消去する時に当該利益に対して納付した税金相当
額を繰延税金資産として計上し税金費用を消去することにより、実際に税金を納付し
た時点において利益と税金費用が対応する点で一定の論拠があると考えられる。
一方、資産負債法についても、未実現利益が実現した時に当該利益に対して納付する
と仮定した場合の税金相当額を税金費用として計上することにより、実際に資産が売
却された時点において利益と税金費用が対応する点で一定の論拠があると考えられる。
133. 次に、繰延法も資産負債法も一定の論拠があることを前提に、未実現損益の消去に係
る税効果会計について資産負債法に変更するかどうかについて審議を行ったが、当該
審議の過程で、次の意見が聞かれた。
(1) 資産負債法に変更する場合、連結決算手続上、購入側の企業で繰延税金資産の回
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収可能性を検討する必要が生じることにより、企業によっては多大なコストが生
じる可能性がある。
例えば、ある企業集団において、ある地域を統括する連結子会社が当該連結子会
社グループにおける連結財務諸表を作成し親会社に報告している場合、まず当該
連結財務諸表の作成においては、当該連結子会社グループ内の連結子会社間の取
引から生じた未実現利益に係る繰延税金資産の回収可能性を、購入側の企業にお
ける将来の課税所得の見積額により判断し計上することとなる。
その後、当該企業集団の連結財務諸表の作成においては、地域を統括する連結子
会社グループ内の連結子会社と当該連結子会社グループ外の連結子会社の間の取
引から生じた未実現利益に係る繰延税金資産の回収可能性を購入側の企業におい
て判断する必要があるが、この判断にあたって、当該未実現利益に、当該連結子会
社グループにおいて消去された未実現利益も考慮する必要が生じることとなる。
このように、企業によっては決算財務報告プロセスが複雑になり、当該プロセス
及びシステムを変更することによって、多大なコストが生じる可能性がある。
(2) 米国会計基準のように棚卸資産以外の資産の未実現損益の消去に係る税効果会
計についてのみ資産負債法に変更することも考えられるが、その場合、未実現損益
の消去に係る一時差異をシステムで管理しているときは、棚卸資産か棚卸資産以
外の資産かによりシステム上の計算テーブルが異なることとなり、実務が煩雑と
なる。また、棚卸資産か棚卸資産以外の資産かにより未実現損益の消去に係る税効
果会計に関する会計処理を変えることは理論的な根拠が乏しい。
(3) 一般に、棚卸資産に係る未実現損益は短期に実現することや、連結会社間で棚卸
資産以外の資産を取引している頻度は、棚卸資産に比べて高くはないと考えられ
ることを勘案すると、我が国の会計基準において繰延法を採用することにより、国
際的な会計基準との比較可能性を必ずしも損なうことにはならないと考えられる。
(4) 未実現損益の消去に係る一時差異に関する繰延税金資産について、国内企業に
おいては回収可能性適用指針に基づき、スケジューリングの可否や企業の分類に
よって当該繰延税金資産の計上額が決定されることを踏まえると、結果として
IFRS に基づく計上額と異なる可能性があるため、必ずしも両者を整合させる必要
はないと考えられる。
134. 他方、公開草案に寄せられたコメントでは、未実現損益の消去に係る税効果会計につ
いて繰延法を採用すると、例えば、IFRS を任意適用して連結財務諸表を作成している
企業(親会社)の企業集団内に我が国の会計基準に基づき連結財務諸表を作成している
子会社が存在する場合、未実現損益の税効果会計について、子会社の連結財務諸表上は
繰延法により処理したものを、親会社の連結財務諸表上で IFRS の定めに従い資産負債
法により処理する場合があるため、実務上の負担を考慮し、資産負債法の選択適用を認
めるべきとの意見や、同様の理由により資産負債法へ変更すべきとの意見があった。
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135. この点、比較可能性の観点から、一定の使い分けを行わない限りは選択適用を認める
ことは適切ではないと考えられる。また、第 134 項のような事例が生じるケースは限定
的であると考えられるため、第 133 項の意見を踏まえると、繰延法から資産負債法へ変
更するには至らないと考えられる。
136. したがって、未実現損益の消去に係る税効果会計については、繰延法の採用を継続す
ることとした(第 34 項参照)。
(未実現損益の消去に係る一時差異に関する繰延税金資産又は繰延税金負債の計算に用い
る税率)
137. 未実現損益の消去に係る一時差異に関する繰延税金資産又は繰延税金負債の計算に
用いる税率は、繰延法が採用されるため、未実現損益が発生した売却元の連結会社に適
用された税率による。
138. このため、次のとおり取り扱う。
(1) 未実現損益の消去に係る一時差異は、購入側の連結会社の保有する資産に関連
しているが、当該連結会社における税効果の計算には影響させない。
(2) 売却元の連結会社に適用されている税率が変更されても、売却元の連結会社に
おいて売却年度に未実現損益(資産に係る売却損益)に対して課税されているため、
当該税率の変更に伴う繰延税金負債又は繰延税金資産の額の見直しは行わない。
(未実現損益の消去に係る一時差異の上限)
139. 本適用指針では、第 35 項及び第 36 項において、未実現損益の消去に係る一時差異
は、必ずしも連結決算手続上の未実現損益の消去額によるのではなく、売却元の連結会
社における売却年度の課税所得の額(未実現損益に関連する一時差異の解消額を除く。)
を上限とする制限を設定している連結税効果実務指針の取扱いを踏襲している。
連結税効果実務指針においては、この制限について、次の 2 つの金額の合計額又は差
引額を限度としなければならないという考えに基づいているとされている。
(1) 売却元における税金の納付額又は軽減額
(2) 未実現損益に関連する一時差異の解消に係る税効果
140. 第 139 項(1)について、売却元の連結会社における税金の納付額又は軽減額の計算に
あたって、売却元の連結会社での未実現損益に係る税務上の益金又は損金の算入は、課
税所得(税務上の繰越欠損金控除後)計算上、最後に行われたと仮定している。
141. 第 139 項(2)について、未実現損益の消去に関連する一時差異の解消に係る税効果と
は、例えば、売却元の連結会社で過年度において、会計上、棚卸資産の評価損として計
上されるが、税務上の損金に算入されなかったことにより生じた将来減算一時差異が、
当該棚卸資産を連結会社に売却することにより解消される場合を想定している。
この場合、売却元の連結会社の個別財務諸表上、当該棚卸資産の売却年度に当該将来
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減算一時差異が解消されることから、これに係る繰延税金資産が法人税等調整額を相
手勘定として取り崩される。この取崩額は、棚卸資産の売却に伴う未実現損益に係る税
金の納付額又は軽減額に加減され、その結果得られた税金の合計額又は差引額が未実
現損益の消去に対して計上すべき繰延税金資産又は繰延税金負債となる。
連結会社間における資産(子会社株式等を除く。)の売却に伴い生じた売却損益を税務上繰
り延べる場合の連結財務諸表における取扱い
142. 連結会社間における資産の売却に伴い生じた売却損益について、税務上の要件を満
たし課税所得計算において当該売却損益を繰り延べる場合、繰り延べられた当該売却
損益は売却元の連結会社の財務諸表上の一時差異に該当する。連結決算手続上、当該売
却損益は消去されることから、売却元の連結会社の財務諸表上の一時差異(子会社株式
等の売却に伴い生じた一時差異(第 39 項参照)を除く。)に係る繰延税金資産又は繰延
税金負債を計上している場合、当該売却損益の消去に係る連結財務諸表固有の一時差
異に対して、個別財務諸表において計上した繰延税金資産又は繰延税金負債と同額の
繰延税金負債又は繰延税金資産を計上する。これらの繰延税金資産又は繰延税金負債
は相殺されるため、結果として、連結財務諸表において当該売却損益に関連する繰延税
金資産又は繰延税金負債は計上しないこととなる(第 38 項参照)。
連結会社間における子会社株式等の売却に伴い生じた売却損益を税務上繰り延べる場合の
連結財務諸表における取扱い
143. 2018 年適用指針では、連結会社間における子会社株式等の売却に伴い生じた売却損
益を税務上繰り延べる場合の取扱いについては、連結税効果実務指針に示されていた
次の考えを踏襲し、当該子会社株式等を売却した企業の個別財務諸表において、第 17
項に従って当該売却損益に係る一時差異に対して繰延税金資産又は繰延税金負債が計
上されているときは、連結決算手続上、当該一時差異に係る繰延税金資産又は繰延税金
負債の額は修正しないこととしていた。
(1) 「企業集団内における完全支配関係にある国内会社間において、投資を売却する
ことにより、売手側の個別貸借対照表上、完全支配関係にある国内会社間における
資産の移転による譲渡損益の繰延べに係る税務上の調整資産又は負債として、将
来減算一時差異又は将来加算一時差異(個別税効果実務指針第 8 項及び第 10 項参
照)が生じ、これに係る繰延税金資産又は繰延税金負債が認識されている場合には、
投資に係る一時差異とは性格が異なるものであるため、連結財務諸表上において
も、個別財務諸表上において認識された繰延税金資産又は繰延税金負債が計上さ
れることになる。」
(2) 「企業集団内の会社が企業集団内の他の会社に投資(子会社株式又は関連会社株
式。以下、同じ。)を売却した場合、通常の資産の取引等から生じる未実現損益に
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係る一時差異と同様に処理するのではなく、子会社への投資に係る一時差異の全
部又は一部が解消し、追加的に又は新たに発生する一時差異については、子会社へ
の投資に係る税効果(第 30 項参照)に従い会計処理する(第 30-2 項参照)。これ
は、企業集団内における投資の売却の結果、個別貸借対照表上の投資簿価が購入側
の取得原価(税務上の簿価)に置き換わることにより、投資の連結貸借対照表上の
簿価との差額である、連結財務諸表上の一時差異の全部又は一部が解消するため
である。」
143-2.2018 年適用指針等の審議の過程で、税引前当期純利益と税金費用を合理的に対応さ
せることが税効果会計の目的とされている中で、前項の取扱いは、連結決算手続上、消
去される取引に対して税金費用を計上するものであり、税引前当期純利益と税金費用
が必ずしも適切に対応していないとの意見が聞かれたことから、2018 年適用指針等の
公表後に当該取扱いについての検討を行うこととした。
審議の結果、連結会社間における子会社株式等の売却に伴い生じた売却損益を税務
上繰り延べる場合の取扱いについては、前項(1)に記載のとおり、当該売却損益に係る
一時差異が投資に係る一時差異とは性格が異なるものであるため、連結財務諸表上に
おいても、個別財務諸表上において認識された繰延税金資産又は繰延税金負債が計上
されることになるところ、当該売却に係る連結財務諸表上の税引前当期純利益と税金
費用との対応関係の改善を図る観点から、連結決算手続上、売却損益を消去するととも
に、当該売却損益に係る一時差異に対する繰延税金資産又は繰延税金負債についても
取り崩すように見直しを行うこととした。
具体的には、2022 年改正適用指針では、連結会社間における子会社株式等の売却に
伴い生じた売却損益を税務上繰り延べる場合であって、当該子会社株式等を売却した
企業の個別財務諸表において、売却損益に係る一時差異に対して繰延税金資産又は繰
延税金負債が計上されているときは、連結決算手続上、当該一時差異に係る繰延税金資
産又は繰延税金負債を取り崩し、購入側の企業による当該子会社株式等の再売却等、課
税所得計算上、繰り延べられた損益を計上することとなる事由についての意思決定が
なされた時点において、当該取崩額を戻し入れることとした(第 39 項参照)。
また、審議の過程では、個別財務諸表における取扱いについても見直すことが考えら
れるのではないかとの意見が聞かれた。しかしながら、次の理由から、個別財務諸表に
おける取扱いについては見直しを行わないこととした。
(1) 当該子会社株式等の売却により将来加算一時差異が生じているにもかかわらず
繰延税金負債を計上しない取扱いは、一部の場合を除き、一律に繰延税金負債を計
上する本適用指針の取扱い(第 8 項(2)参照)に対する例外的な取扱いとなるため、
その適用範囲は限定することが考えられる。
(2) 個別財務諸表においては、連結財務諸表とは異なり、売却損益が消去されないこ
とから、税金費用を計上しないこととした場合には税引前当期純利益と税金費用
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との対応関係が図られないこととなると考えられる。
子会社等が保有する親会社株式等を当該親会社等に売却した場合の連結財務諸表における
法人税等に関する取扱い
144. 連結子会社における親会社株式の売却損益(内部取引によるものを除いた親会社持
分相当額)の会計処理は、親会社における自己株式処分差額と同様にその他資本剰余金
を加減することとされている(企業会計基準第 1 号「自己株式及び準備金の額の減少等
に関する会計基準」第 16 項)。この会計処理に関連し、自己株式等会計適用指針第 16
項では、連結子会社における親会社株式の売却損益及び持分法の適用対象となってい
る子会社等における親会社株式等の売却損益は、関連する法人税、住民税及び事業税を
控除後のものとするとされている。
連結子会社が保有する親会社株式を当該親会社に売却した場合、この自己株式等会
計適用指針第 16 項に準じるとしている(本適用指針第 40 項参照)。
子会社株式等の取得に伴い認識したのれん又は負ののれんに係る繰延税金負債又は繰延税
金資産の取扱い
145. 第 43 項に定める子会社株式等の取得に伴い認識したのれん又は負ののれんに係る繰
延税金負債又は繰延税金資産の取扱いについては、連結税効果実務指針に示されてい
た次の考えを踏襲している。
(1) 「のれん又は負ののれんについては税務上の資産又は負債の計上もその償却額
の損金又は益金算入も認められておらず、また、子会社における個別貸借対照表上
の簿価は存在しないから一時差異が生ずる」
(2) 「のれん又は負ののれんが投資額と子会社の資産及び負債の時価評価の純額の
親会社持分額との差額であるため、のれん又は負ののれんに対して子会社が税効
果を認識すれば、のれん又は負ののれんが変動し、それに対してまた税効果を認識
するという循環が生じてしまう。例えば、子会社において資産の部に計上されたの
れんである将来加算一時差異に対して繰延税金負債を計上すると、親会社持分額
が減少するため、のれんが増加する。さらに、その増加額に対してまた繰延税金負
債が計上され、それがのれんの増額となるため、両勘定との間に際限のない循環が
生ずる結果となる。したがって、本報告においてはのれん又は負ののれんに対して
税効果を認識しない立場をとった。」
繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法及び税率
繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法
146. 税率適用指針を公表する過程では、税率に限らず、どの時点の税法に基づき繰延税金
資産及び繰延税金負債を計算するかを明確にすべきとの意見が寄せられた。
- 51 -
この点、税率は、納付税額を計算する要素の 1 つとして税法により規定されているた
め、どの時点の税法を税効果会計に適用するかについて、税率と他の納付税額を計算す
る要素は同様の取扱いとすることが適切であると考えられる。
また、これまで税制の改正に伴い税率以外の納付税額を計算する要素が改正された
場合、実務上、繰延税金資産及び繰延税金負債の額は、税率と同様に決算日において国
会で成立している税法に規定されている納付税額の計算方法に基づき計算されていた
と考えられる。
147. これらを踏まえ、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算にあたっては、決算日におい
て国会で成立している税法に規定されている納付税額の計算方法に基づくことを明記
することとした(第 44 項参照)。
繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税率
(法人税、地方法人税及び特別法人事業税に関する税率)
148. 税効果会計基準及び同注解では、「繰延税金資産又は繰延税金負債の金額は、回収又
は支払が行われると見込まれる期の税率に基づいて計算するものとする。」(税効果会
計基準 第二 二 2)と定められており、当該税率の変更があった場合の取扱いについて
「法人税等について税率の変更があった場合には、過年度に計上された繰延税金資産
及び繰延税金負債を新たな税率に基づき再計算するものとする。」(税効果会計基準 注
解(注 6))とされている。
この具体的な取扱いとして、2016 年(平成 28 年)3 月に改正される前の個別税効果
実務指針では、税効果会計に適用する税率は、決算日において公布されている税法に規
定されている税率によることとされていた。
149. この公布日を基準とする取扱いについては、3 月末日を決算日とする企業において、
当事業年度に税法を改正するための法律が当該決算日前までに国会で成立していても、
官報による公布が当該決算日間際までなされないことが多く、決算手続や業績予測等
の実務的な対応に困難を伴うなどの意見が聞かれた。このため、実務を安定的に行うこ
とができるようにする観点から、2016 年(平成 28 年)3 月に公表した税率適用指針で
は、法人税及び地方法人税について、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税
率は、決算日において国会で成立している法人税法等に規定されている税率によるこ
ととした(第 46 項参照)。
150. なお、税率適用指針においては、地方法人特別税についても言及されていたが、平成
28 年度税制改正において、地方法人特別税等に関する暫定措置法が廃止されることが
規定されたため(地方税法等の一部を改正する等の法律(平成 28 年法律第 13 号)第 9
条)、本適用指針においては、地方法人特別税に関する取扱いを踏襲していない。
150-2.2025 年改正適用指針では、特別法人事業税が 2019 年 3 月 27 日に成立した「特別法
人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律」(平成 31 年法律第 4 号)(以下「特別
- 52 -
法人事業税等法」という。)の規定に基づく国税であるため、繰延税金資産及び繰延税
金負債の計算に用いる税率に関する定めに関して、特別法人事業税(基準法人所得割)
について法人税及び地方法人税と同様の取扱いが行われることを明確化することとし
た(本適用指針第 46 項参照)。
(住民税等に関する税率)
151. 税率適用指針を公表する審議の過程では、当事業年度において地方税法等を改正す
るための法律が決算日以前に成立し、かつ、当該法律を含む改正地方税法等を受けた改
正条例が当該決算日以前に各地方公共団体の議会等で成立していない場合の取扱いを
明確にすべきとの意見が聞かれた。このため、税率適用指針では、当事業年度において
地方税法等を改正するための法律が成立している場合の取扱いを明らかにした。本適
用指針ではこの取扱いを踏襲している(第 48 項(2)①参照)。
152. 一方で、改正地方税法等が決算日以前に国会で成立し、かつ、当該改正地方税法等を
受けた改正条例が当該決算日以前に各地方公共団体の議会等で成立していない場合、
仮に当該決算日において成立している条例に規定されている税率(標準税率又は超過
課税による税率)によるとすれば、改正直前の地方税法等に規定されていた標準税率及
び制限税率に基づいて決定された税率を用いることとなる。この場合、毎年度の税制改
正において、通常、法人税法等を改正するための法律及び地方税法等を改正するための
法律が同日に成立していることを踏まえると、当該税制改正の内容の一部しか繰延税
金資産及び繰延税金負債の額に反映されず、結果として税制改正の趣旨が反映されな
い可能性がある。
このため、税率適用指針では、決算日において成立している条例に標準税率で課税す
ることが規定されている場合、税制改正の趣旨を反映させる観点から、繰延税金資産及
び繰延税金負債の計算に用いる住民税等の税率は、改正地方税法等に規定されている
標準税率によることとした。
また、税率適用指針では、決算日において成立している条例に超過課税による税率で
課税することが規定されている場合、従来から行われている実務を踏まえ、改正地方税
法等に規定されている標準税率に、当該決算日において成立している条例に規定され
ている超過課税による税率が改正直前の地方税法等の標準税率を超える差分を考慮す
る税率によることとした。本適用指針ではこれらの取扱いを踏襲している(第 48 項(2)
②参照)。
153. 税率適用指針では、本適用指針第 48 項(2)②イに定める差分を考慮する税率を算定
する方法として、本適用指針第 49 項において 2 つの方法を示しているが、税制改正の
趣旨等を勘案して、他の合理的な方法があれば当該方法により算定することを妨げる
ものではないため、「例えば」としていた。本適用指針は、この取扱いを踏襲している。
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更正等による追徴又は還付に伴い繰延税金資産又は繰延税金負債に影響が生じ
る場合の取扱い 154. 個別税効果実務指針では、更正等による追徴又は還付に伴い繰延税金資産又は繰延
税金負債に影響が生じる場合、当該影響額は、法人税等の追徴税額及び還付税額を損益
計算書に計上した年度の法人税等調整額に含めて処理するとされていた。本適用指針
では、この取扱いを踏襲している。ただし、本適用指針第 9 項(1)から(3)の繰延税金資
産又は繰延税金負債に影響が生じる場合は、同項と同様の区分を相手勘定として計上
することとなる。
遡及適用及び修正再表示により繰延税金資産又は繰延税金負債を変 更する場合の取扱い
遡及適用により繰延税金資産又は繰延税金負債を変更する場合の取扱い
155. 税効果 Q&A では、繰延税金資産の回収可能性の判断は、企業会計基準第 24 号に定め
る会計上の見積りに該当する事項として取り扱い、過去の財務諸表の作成時において
入手可能な情報に基づき最善の見積りを行った場合、過去に遡って処理せず、その影響
を当事業年度以降の財務諸表において認識する企業会計基準第 24 号第 17 項及び第 55
項の定めを参照していた。
156. 過去の財務諸表の作成時において、回収可能性適用指針第 15 項から第 32 項に従っ
て要件に基づき企業を分類し、当該分類に応じて回収が見込まれる繰延税金資産を計
上した場合、当該繰延税金資産は、当該財務諸表の作成時において最善の見積りを行い
計上されたものである。
したがって、会計方針の変更に伴い、新たな会計方針を過年度に遡及適用した結果、
当該過年度において回収可能性適用指針第 15 項から第 32 項に従って判断した分類が
変更される可能性がある場合でも、過年度において繰延税金資産の回収が見込まれる
とした判断には影響させず、企業会計基準第 24 号第 17 項に従って将来にわたりその
影響を反映させることが適切であり、会計方針の変更を行った年度の損益に反映する
ことになると考えられる(本適用指針第 57 項から第 59 項参照)。
開 示
決算日後に税率が変更された場合の取扱い
157. 税効果会計基準では、「決算日後に税率の変更があった場合には、その内容及びその
影響」を注記するとされており(税効果会計基準 第四 4)、決算日後に税率が変更さ
れた場合、当該変更された税率により計算した繰延税金資産及び繰延税金負債の額を
当該決算日における財務諸表に反映しないこととされている。
税率適用指針を公表する審議の過程では、税効果会計に適用する税率は繰延税金資
- 54 -
産及び繰延税金負債の見積りの一部であると考えられることから、決算日後に税率の
変更を伴う法律又は条例が成立した場合には財務諸表を修正すべき後発事象(以下「修
正後発事象」という。)として取り扱い、改正された税法又は改正条例に規定された税
率により計算した繰延税金資産及び繰延税金負債を当該決算日における財務諸表に反
映することが情報としてより有用であるとの意見が聞かれた。
この点、仮に決算日後の税率の変更を修正後発事象として取り扱う場合、決算発表日
や監査報告書日等の直前に税率の変更を伴う法律又は条例が成立するときには実務上
の手続が煩雑となり、例えば 2 月末日を決算日とする企業においては、実務を安定的に
行うことが難しくなるものと考えられる。
また、例えば、上場株式の減損において用いられる株価や固定資産の減損会計におい
て使用価値を算定する際に用いられる割引率のように、既存の会計基準では見積計算
に用いる情報は期末日現在のものが用いられ、期末日後の変更は必ずしも財務諸表に
反映されていない。
なお、IFRS においても、決算日後の税率の変更は、当該変更された税率により計算
した繰延税金資産及び繰延税金負債の額を当該決算日における財務諸表に反映しない
ことを前提としているものと考えられる。
158. 第 157 項を踏まえ、決算日後に税率が変更された場合、当該変更された税率により計
算した繰延税金資産及び繰延税金負債の額を当該決算日における財務諸表に反映しな
い従来の取扱いを踏襲した結果、第 45 項から第 52 項による税率を用いて決算を行い、
かつ、決算日後に当該税率の変更を伴う法律が成立した場合、税効果会計基準に従って、
その内容及び影響を注記することとした(第 64 項参照)。
なお、改正地方税法等が決算日以前に成立し、かつ、決算日後に当該改正地方税法等
を受けた改正条例が成立し超過課税による税率が変更された場合であっても、第 48 項
(2)②イ及び第 49 項に定める差分を考慮する税率を用いて繰延税金資産及び繰延税金
負債が計算されていることを踏まえると、通常、その影響は質的及び金額的な重要性が
乏しいと考えられる。そのため、第 64 項では、決算日後に税率の変更を伴う条例が成
立した場合は含めないこととしている。
適用時期等
159. 2018 年適用指針において見直しを行った会計処理は、第 8 項(2)及び第 24 項の定め
であり、これら以外の定めについては表現の見直しを行っているが、実質的な内容の変
更は意図していない(第 71 項参照)。このため、第 8 項(2)及び第 24 項を適用すること
によりこれまでの会計処理と異なることとなる場合、会計基準等の改正に伴う会計方
針の変更として取り扱うこととした(第 65 項(2)参照)。
160. 2018 年適用指針において見直した個別財務諸表における子会社株式等に係る将来加
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算一時差異の取扱い(本適用指針第 8 項(2)②参照)については、連結財務諸表におい
ては金額的な影響が生じないため、経営管理の対応に多くの時間を要しないと考えら
れ、また特段のシステム対応の必要性は低く長期の準備期間を必要としないと考えら
れる。
また、本適用指針第 114 項に記載しているとおり、従来、連結税効果実務指針で定め
られていた子会社の利益のうち投資時に留保しているものに対して繰延税金負債を計
上する取扱いを適用している事例は稀であると考えられるため、本適用指針第 24 項の
定めを適用することによりこれまでの会計処理と異なることとなる事例は稀であると
考えられる。
これらに加え、本適用指針は連結税効果実務指針、個別税効果実務指針等の従来の取
扱いを基本的に踏襲するものであり、財務諸表利用者、財務諸表作成者及び監査人に対
する長期の周知期間は要しないと考えられること、及び回収可能性適用指針が公表さ
れる過程において、回収可能性適用指針が適用された時期(2016 年(平成 28 年)4 月
1 日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用)とあまり離れず 2018 年
適用指針等を適用すべきとの意見が強く聞かれていた経緯を踏まえ、2018 年(平成 30
年)4 月 1 日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することとした。
なお、適用初年度における連結会計年度又は事業年度の会計処理の首尾一貫性を保
持する観点から、早期適用を認めていない。
161. 2018 年適用指針の適用にあたって、経過的な取扱いを定めるか否かについて検討を
行ったが、2018 年適用指針において見直した個別財務諸表における子会社株式等に係
る将来加算一時差異の取扱いについては、連結財務諸表における子会社等に対する投
資に係る将来加算一時差異との整合性の観点から変更されたものであることから、過
去の連結財務諸表において子会社株式等の売却等の意思について一定の判断がなされ
ていると考えられるため、経過的な取扱いを定めないこととした。
162. 2022 年改正適用指針では、法人税等の計上区分(その他の包括利益に対する課税)
とグループ法人税制が適用される場合の子会社株式等の売却に係る税効果の論点を取
り扱っているが、このうち法人税等の計上区分(その他の包括利益に対する課税)に関
して、2022 年改正法人税等会計基準では、一定の周知期間又は準備期間が必要となる
ことから、2024 年 4 月 1 日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用す
ることとし、また、早期適用への一定のニーズがあると考えられることから、2023 年 4
月 1 日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首からの早期適用を認めることと
している(2022 年改正法人税等会計基準第 20-2 項)。
そのため、2022 年改正適用指針の適用時期については、グループ法人税制が適用さ
れる場合の子会社株式等の売却に係る税効果も含めて、2022 年改正法人税等会計基準
と同様とした(本適用指針第 65-2 項(1)参照)。
163. 2022 年改正適用指針において改正した取扱いは、いずれも、企業会計基準第 24 号第
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6 項(1)の会計基準等の改正に伴う会計方針の変更に該当し、原則として、過去の期間
のすべてに遡及適用する(本適用指針第 65-2 項(2)参照)こととなるが、以下の 2 つの
論点については、対象となる取引等が異なり、遡及適用に関連する状況が異なると考え
られることから、それぞれの定めについて経過的な取扱いを定めるか否かの検討を行
った。
(1) 子会社に対する投資を売却した時の親会社の持分変動による差額に対する法人
税等及び税効果(本適用指針第 9 項(3)、第 30 項、第 31 項及び第 51 項(3)参照)
の改正については、法人税等の計上区分(その他の包括利益に対する課税)に関す
る改正であり、2022 年改正法人税等会計基準と同様の経過措置を設けることとし
た(本適用指針第 65-2 項(2)ただし書き参照)。
(2) 連結会社間における子会社株式等の売却に伴い生じた売却損益を税務上繰り延
べる場合の連結財務諸表における取扱いの見直しに関連する改正(本適用指針第
22 項、第 23 項及び第 39 項参照)は、適用される取引について、売却元企業の税
務申告書において譲渡損益調整勘定等として記載されているため、遡及適用が必
要となる過去の期間における対象取引の把握は可能であると考えられる。また、そ
の会計処理については、購入側の企業における再売却等についての意思の有無に
より判断することになるが、この点についても、過去の連結財務諸表における子会
社等に対する投資に係る一時差異への税効果会計の適用において、当該意思につ
いて一定の判断がなされていたと考えられる。したがって、過去の期間への遡及適
用が困難となる可能性は低いと考えられることから、2022 年改正適用指針の適用
においては、特段の経過的な取扱いを定めないこととした。
164. 2025 年の本適用指針の改正は、2025 年の法人税等会計基準の改正に伴うものである
ため、2025 年改正法人税等会計基準の適用時期と同様とした(本適用指針第 65-4 項参
照)。
165. 2025 年改正適用指針を適用することによりこれまでの会計処理と異なることとなる
場合であって、2025 年改正適用指針が定める新たな会計方針の遡及適用を求めたとき、
過年度に計上された繰延税金資産及び繰延税金負債を変更後の法定実効税率を用いて
再計算するための一定の負荷が生じる可能性があると考えられる。この点、2025 年の
本適用指針の改正による影響を受ける企業の数は限定的と考えられることを考慮し、
経過的な取扱いとして、適用初年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場
合の適用初年度の累積的影響額を適用初年度の期首の資本剰余金、利益剰余金及び評
価・換算差額等又はその他の包括利益累計額に加減し、当該期首から新たな会計方針を
適用することができることとした。この場合、2025 年の本適用指針の改正は、2025 年
の法人税等会計基準の改正に伴うものであるため、2025 年改正法人税等会計基準第 20-
5 項ただし書きについて併せて適用することとした(本適用指針第 65-5 項参照)。
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設 例
次の設例は、税効果会計基準及び本適用指針で示された内容についての理解を深めるた
めに参考として示されたものであり、仮定として示された前提条件の記載内容は、経済環境
や各企業の実情等に応じて異なることに留意する必要がある。
[設例 1] 繰延税金資産及び繰延税金負債の計算
1. 前提条件
(1) A 社の決算日は、3 月 31 日である。
(2) A 社では、X0 年 3 月期以前に納税申告書における調整項目はないものと仮定する。
(3) A 社の X1 年 3 月期及び X2 年 3 月期の課税所得の見積額は、次のとおりである。
X1 年 3 月期 X2 年 3 月期
備 考
税引前当期純利益
加算: 貸倒引当金繰入限度超過額
賞与引当金
棚卸資産評価損
退職給付引当金
交際費損金不算入額
加算 計
減算: 賞与引当金認容
棚卸資産評価損認容
固定資産圧縮積立金繰入額
未払事業税認容
減算 計
課税所得の見積額
9,670
1,000
400
800
2,000
200
4,400
-
-
1,000
-
11,648
500 一時差異
〃
〃
〃
300
-
1,000
100
1,900
400 一時差異
800
-
444
〃
〃
〃
1,000
1,644
13,070
11,904
(4) A 社は、X1 年 3 月 31 日に未払事業税を 444 計上する。また、X2 年 3 月 31 日に未払事
業税を 405 計上する。
(5) A 社は、回収可能性適用指針第 17 項に定める(分類 1)に該当する企業であり、繰延
税金資産の全額について回収可能性があるものとする。
(6) 法定実効税率は、X0 年 3 月期及び X1 年 3 月期については 30%であった。なお、X2 年
3 月期において税法を改正するための法律が国会で成立し、X2 年 4 月 1 日以後開始する
事業年度の法定実効税率は 25%となった。
2. 会計処理
(1) 貸倒引当金
① 貸倒引当金に関する前提条件
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A 社は、売掛金につき、貸倒見積高に基づき算定した貸倒引当金を控除している。
当該貸倒引当金の計上額のうち税務上の損金算入限度超過額(貸倒引当金繰入限度
超過額)は、X1 年 3 月期に 1,000、X2 年 3 月期に 500 生じている(貸倒引当金繰入
限度超過額の累計額は、X1 年 3 月期は 1,000、X2 年 3 月期は 1,500 である。)。X3 年
3 月期において当該貸倒引当金は、その全額について、税務上の損金に算入される
要件(法人税法第 52 条)を満たすものとする。
② 繰延税金資産の計上
A 社の X1 年 3 月期における貸倒引当金の計上額と課税所得計算上の資産(控除項
目)の金額との間には 1,000 の差額(貸倒引当金繰入限度超過額)がある。また、
X2 年 3 月期においては、1,500 の差額がある。当該貸倒引当金繰入限度超過額は、
貸倒引当金が税務上の損金に算入される事業年度の課税所得を減額する効果を有
するため、将来減算一時差異に該当する。したがって、A 社は、X1 年 3 月期におい
て、貸倒引当金繰入限度超過額に係る将来減算一時差異 1,000 について繰延税金資
産を計上する。
同様に、X2 年 3 月期においては、貸倒引当金繰入限度超過額に係る将来減算一時
差異 1,500 について繰延税金資産を計上する。
③ 会計処理
X1 年 3 月期
(借) 繰延税金資産(*1) (*1) 繰延税金資産(期首) 0=貸倒引当金に係る将来減算一時差異(期首) 0×30%
(貸) 法人税等調整額
300
300
繰延税金資産(期末)300=貸倒引当金に係る将来減算一時差異(期末)1,000×30%
繰延税金資産の増加額 300=繰延税金資産(期末)300-繰延税金資産(期首)0
X2 年 3 月期
(借) 繰延税金資産(*2)
75
(貸) 法人税等調整額
75
(*2) 繰延税金資産(期首)300=貸倒引当金に係る将来減算一時差異(期首)1,000×30%
繰延税金資産(期末)375=貸倒引当金に係る将来減算一時差異(期末)1,500×25% 繰延税金資産の増加額 75=繰延税金資産(期末)375-繰延税金資産(期首)300
(2) 賞与引当金
① 賞与引当金に関する前提条件
A 社は、X1 年 3 月期に賞与引当金を 400 計上し、X2 年 3 月期に同額の賞与の支給
を予定している(X2 年 3 月期に実際に同額支給された。)。また、X2 年 3 月期に賞与
引当金を 300 計上し、X3 年 3 月期に同額の賞与の支給を予定している(X3 年 3 月
期に実際に同額支給された。)。賞与については、賞与を支給する事業年度に、その
全額が税務上の損金に算入されるものとする。
- 59 -
② 繰延税金資産の計上及び取崩し
賞与引当金は、賞与を支給する事業年度の課税所得を減額する効果を有するため、
将来減算一時差異に該当する。したがって、A 社は、X1 年 3 月期に計上した賞与引
当金 400 に係る将来減算一時差異について繰延税金資産を計上する。
また、X2 年 3 月期においては、賞与の支給に伴い X1 年 3 月期に計上した賞与引
当金は税務上の損金に算入され、当該賞与引当金に係る将来減算一時差異 400 が解
消される一方、新たに賞与引当金を計上することに伴い将来減算一時差異が 300 生
じる。したがって、A 社は、X1 年 3 月期に計上した繰延税金資産を取り崩し、新た
に計上した賞与引当金に係る将来減算一時差異 300 について繰延税金資産を計上す
る。
③ 会計処理
X1 年 3 月期
(借) 繰延税金資産(*1) (*1) 繰延税金資産(期首) 0=賞与引当金に係る将来減算一時差異(期首) 0×30%
(貸) 法人税等調整額
120
120
繰延税金資産(期末)120=賞与引当金に係る将来減算一時差異(期末)400×30%
繰延税金資産の増加額 120=繰延税金資産(期末)120-繰延税金資産(期首)0
X2 年 3 月期
(借) 法人税等調整額
45
(貸) 繰延税金資産(*2)
45
(*2) 繰延税金資産(期首) 120=賞与引当金に係る将来減算一時差異(期首)400×30%
繰延税金資産(期末) 75=賞与引当金に係る将来減算一時差異(期末)300×25%
繰延税金資産の減少額△45=繰延税金資産(期末)75-繰延税金資産(期首)120
(3) 棚卸資産の評価損
① 棚卸資産の評価損に関する前提条件
A 社は、X1 年 3 月期に、営業循環過程から外れた棚卸資産について、一定の基準
により会計上 800 の評価損を計上し、X2 年 3 月期に当該棚卸資産をすべて処分す
る。棚卸資産の評価損については、当該棚卸資産を処分した事業年度に税務上の損
金に算入されるものとする。
② 繰延税金資産の計上及び取崩し
A 社は、X1 年 3 月期において棚卸資産の評価損を計上したことにより、貸借対照
表上の棚卸資産の金額が課税所得計算上の資産の金額を下回り、一時差異が生じる
こととなる。当該評価損は、当該棚卸資産を処分する事業年度に課税所得を減額す
る効果を有するため、将来減算一時差異に該当する。したがって、A 社は、X1 年 3
月期において、棚卸資産の評価損に係る将来減算一時差異 800 について繰延税金資
産を計上する。
- 60 -
また、X2 年 3 月期に当該棚卸資産をすべて処分することにより、当該評価損 800
が X2 年 3 月期に税務上の損金に算入され、当該棚卸資産の評価損に係る将来減算
一時差異が解消される。したがって、A 社は、X2 年 3 月期において、X1 年 3 月期に
計上した将来減算一時差異 800 に関する繰延税金資産を取り崩す。
③ 会計処理
X1 年 3 月期
(借) 繰延税金資産(*1) (*1) 繰延税金資産(期首) 0=棚卸資産の評価損に係る将来減算一時差異(期首) 0×30%
(貸) 法人税等調整額
240
240
繰延税金資産(期末)240=棚卸資産の評価損に係る将来減算一時差異(期末)800×30%
繰延税金資産の増加額 240=繰延税金資産(期末)240-繰延税金資産(期首)0
X2 年 3 月期
(借) 法人税等調整額
240
(貸) 繰延税金資産(*2)
240
(*2) 繰延税金資産(期首) 240=棚卸資産の評価損に係る将来減算一時差異(期首)800×30%
繰延税金資産(期末) 0=棚卸資産の評価損に係る将来減算一時差異(期末) 0×25%
繰延税金資産の減少額△240=繰延税金資産(期末)0-繰延税金資産(期首)240
(4) 退職給付引当金
① 退職給付引当金に関する前提条件
A 社は、退職一時金制度を有している。A 社は、当該制度に係る退職給付引当金を
X1 年 3 月期に 2,000、X2 年 3 月期に 1,000 計上しており、X2 年 3 月期の期末にお
ける退職給付引当金の残高は 3,000 である。A 社では、X1 年 3 月期及び X2 年 3 月
期に退職した従業員はいない。なお、退職給付引当金については、退職金の支給額
が確定した事業年度に税務上の損金に算入されるものとする。
② 繰延税金資産の計上
退職給付引当金は、税務上、退職金の支給額が確定する事業年度に課税所得を減
額する効果を有するため、将来減算一時差異に該当する。したがって、A 社は、X1
年 3 月期において、退職給付引当金に係る将来減算一時差異 2,000 について繰延税
金資産を計上する。
また、X2 年 3 月期においては、退職給付引当金を追加で 1,000 計上することに伴
い将来減算一時差異が合計で 3,000 生じている。したがって、A 社は、退職給付引
当金に係る将来減算一時差異 3,000 について繰延税金資産を計上する。
③ 会計処理
X1 年 3 月期の会計処理
(借) 繰延税金資産(*1) (*1) 繰延税金資産(期首) 0=退職給付引当金に係る将来減算一時差異(期首) 0×30%
(貸) 法人税等調整額
600
600
繰延税金資産(期末)600=退職給付引当金に係る将来減算一時差異(期末)2,000×30%
- 61 -
繰延税金資産の増加額 600=繰延税金資産(期末)600-繰延税金資産(期首)0
X2 年 3 月期
(借) 繰延税金資産(*2)
150
(貸) 法人税等調整額
150
(*2) 繰延税金資産(期首)600=退職給付引当金に係る将来減算一時差異(期首)2,000×30%
繰延税金資産(期末)750=退職給付引当金に係る将来減算一時差異(期末)3,000×25%
繰延税金資産の増加額 150=繰延税金資産(期末)750-繰延税金資産(期首)600
(5) 固定資産圧縮積立金
① 固定資産圧縮積立金に関する前提条件
A 社は、X1 年 3 月期の期末に、税法上の圧縮記帳の要件を満たす土地を取得し、
積立金方式により税法上の圧縮記帳を行った(税法上の圧縮記帳額は 1,000)。当該
土地については、工場の敷地の用に供し、当面の間、売却の可能性はない。なお、
税法上の圧縮記帳を行った資産については、売却が行われる場合、売却年度に土地
圧縮積立金を取り崩し、当該取崩額が税務上の益金に算入されるものとする。
② 繰延税金負債の計上
A 社は、X1 年 3 月期において、積立金方式により税法上の土地の圧縮記帳を行っ
たことにより、X1 年 3 月期の期末の貸借対照表上の土地の計上額は、課税所得計算
上の土地の金額を 1,000 上回ることとなる。このように、積立金方式による税法上
の圧縮記帳額(固定資産圧縮積立金繰入額)は、将来(例えば、土地の売却時)の
課税所得を増額する効果を有するため、将来加算一時差異に該当する。したがって、
A 社は、当該将来加算一時差異 1,000 について繰延税金負債を計上する。
③ 会計処理
X1 年 3 月期
(借) 法人税等調整額 (借) 繰越利益剰余金
300 700
(貸) 繰延税金負債(*1) (貸) 土地圧縮積立金(*2)
300 700
(*1) 税法上の土地圧縮記帳額(固定資産圧縮積立金繰入額)に係る繰延税金負債の計上
繰延税金負債 300=税法上の土地圧縮記帳額に係る将来加算一時差異 1,000×30%
(*2) 剰余金の処分による土地圧縮積立金の計上
土地圧縮積立金 700=税法上の土地圧縮記帳額 1,000-繰延税金負債 300
X2 年 3 月期
(借) 繰延税金負債(*3) (借) 繰越利益剰余金
50 50
(貸) 法人税等調整額 (貸) 土地圧縮積立金(*4)
50 50
(*3) 税法の改正に伴う税率の変更による繰延税金負債の修正
繰延税金負債の減少額△50=税法上の土地圧縮記帳額に係る将来加算一時差異 1,000×(25%
-30%)
(*4) 税率の変更による繰延税金負債の修正に伴う土地圧縮積立金の計上
土地圧縮積立金 50 は、繰延税金負債の減少額△50 と同額加算される。
- 62 -
(参考)
仮に、将来の事業年度において当該土地を売却した場合、売却時に次の会計処理を行
うこととなる(法定実効税率は 25%とする。)。
(借) 繰延税金負債(*5) (借) 土地圧縮積立金(*6)
250 750
(貸) 法人税等調整額 (貸) 繰越利益剰余金
250 750
(*5) 土地の売却に伴う繰延税金負債の取崩し。繰延税金負債の減少額△250 は、売却直前までに計
上された繰延税金負債の額(300-50)となる。
(*6) 土地の売却に伴う土地圧縮積立金の取崩し。土地圧縮積立金の取崩額 750 は、売却直前までに
計上された土地圧縮積立金の額(700+50)となる。
(6) 交際費
① 交際費に関する前提条件
A 社は、X1 年 3 月期に交際費を 200、X2 年 3 月期に 100 計上した。交際費は、税
務上、その全額が永久に損金に算入されないものとする。
② 繰延税金資産の計上
交際費は、永久に税務上の損金に算入されないことから、将来の課税所得を減額
する効果を有さないため、将来減算一時差異には該当せず、一時差異等に該当しな
い項目となる(第 77 項参照)。したがって、A 社は、繰延税金資産を計上しない。
③ 会計処理
X1 年 3 月期
仕訳なし
X2 年 3 月期
仕訳なし
(7) 未払事業税
① 未払事業税に関する前提条件
A 社は、未払事業税を X1 年 3 月期に 444、X2 年 3 月期に 405 計上している(中間
納付は行っていないものとする。)。X2 年 3 月期において、税務上、事業税の納付時
に X1 年 3 月期に計上した未払事業税が同額、損金に算入されるものとする。
② 繰延税金資産の計上及び取崩し
未払事業税は、事業税の納付時に課税所得を減額する効果を有するため、将来減
算一時差異に該当する。したがって、A 社は、X1 年 3 月期においては、未払事業税
に係る将来減算一時差異 444 について繰延税金資産を計上する。また、X2 年 3 月期
においては、事業税の納付に伴い当該未払事業税 444 が税務上の損金に算入され、
- 63 -
当該未払事業税に係る将来減算一時差異が解消される一方、新たに未払事業税を
405 計上することに伴い将来減算一時差異が生じる。したがって、A 社は、X1 年 3
月期に計上した繰延税金資産を取り崩し、新たに計上した未払事業税に係る将来減
算一時差異 405 について繰延税金資産を計上する。
③ 会計処理
X1 年 3 月期
(借) 繰延税金資産(*1) (*1) 繰延税金資産(期首) 0=未払事業税に係る将来減算一時差異(期首) 0×30%
(貸) 法人税等調整額
133
133
繰延税金資産(期末) 133=未払事業税に係る将来減算一時差異(期末)444×30%
繰延税金資産の増加額 133=繰延税金資産(期末)133-繰延税金資産(期首)0
X2 年 3 月期
(借) 法人税等調整額
32
(貸) 繰延税金資産(*2)
32
(*2) 繰延税金資産(期首) 133=未払事業税に係る将来減算一時差異(期首)444×30%
繰延税金資産(期末) 101=未払事業税に係る将来減算一時差異(期末)405×25%
繰延税金資産の減少額 △32=繰延税金資産(期末)101-繰延税金資産(期首)133
- 64 -
[設例 2] 租税特別措置法上の諸準備金等に係る将来加算一時差異の取扱い(償
却資産)
1. 前提条件
(1) A 社の決算日は、3 月 31 日である。
(2) A 社は、X1 年 3 月期の期末において、税法上の圧縮記帳の要件を満たす償却資産(固
定資産)を取得し、積立金方式により税法上の圧縮記帳を 1,000 行った。当該償却資産
について、売却の予定はない。
(3) 当該償却資産の耐用年数は 10 年で、定額法により減価償却を行っている。
(4) A 社は、X2 年 3 月期以降、10 年間にわたり償却資産の減価償却に応じて固定資産圧縮
積立金を毎期 100 ずつ取り崩す。
(5) 税法上の圧縮記帳による固定資産圧縮積立金繰入額は、圧縮記帳を行った事業年度に、
税務上の損金に算入され、固定資産圧縮積立金を取り崩した事業年度に当該固定資産圧
縮積立金取崩額が、税務上の益金に算入されるものとする。
(6) A 社の X1 年 3 月期の法定実効税率は 30%である。また、X2 年 3 月期に税法を改正す
るための法律が国会で成立し、X2 年 4 月 1 日以後開始する事業年度の法定実効税率は
25%となった。
2. 会計処理
(1) X1 年 3 月期
固定資産圧縮積立金及び繰延税金負債の計上(第 15 項参照)
(借) 法人税等調整額 (借) 繰越利益剰余金
300 700
(貸) 繰延税金負債(*1) (貸) 固定資産圧縮積立金(*2)
300 700
(*1) 繰延税金負債 300=税法上の固定資産圧縮記帳額に係る将来加算一時差異 1,000×30%
(*2) 固定資産圧縮積立金 700=税法上の圧縮記帳額 1,000-繰延税金負債 300
(2) X2 年 3 月期
税法の改正に伴う税率変更による繰延税金負債及び固定資産圧縮積立金の調整(第 55
項参照)
(借) 繰延税金負債(*3) (借) 繰越利益剰余金
50 50
(貸) 法人税等調整額 (貸) 固定資産圧縮積立金(*3)
50 50
(*3) 税率の変更による繰延税金負債及び固定資産圧縮積立金の調整額 50=税法上の固定資産圧縮
記帳額に係る将来加算一時差異(期首)1,000×(変更前の法定実効税率 30%-変更後の法定実
効税率 25%)
(3) X2 年 3 月期
減価償却に応じた固定資産圧縮積立金及び繰延税金負債の取崩し(第 15 項参照)
(借) 繰延税金負債(*4)
25
(貸) 法人税等調整額
25
- 65 -
(借) 固定資産圧縮積立金(*5)
75
(貸) 繰越利益剰余金
75
(*4) 繰延税金負債(税率変更後の期首)250=税法上の圧縮記帳額に係る将来加算一時差異 1,000×
25%
繰延税金負債(期末)225=固定資産圧縮積立金の残高(期末)に係る将来加算一時差異
(1,000-100)×25%
繰延税金負債の減少額△25=繰延税金負債(期末)225-繰延税金負債(期首)250
(*5) 固定資産圧縮積立金の取崩額 75=税法上の圧縮記帳額の取崩高 100-繰延税金負債の取崩高
25
3. 将来加算一時差異の金額と固定資産圧縮積立金との関係図及び表示例
(1) 関係図
A 社における X1 年 3 月期及び X2 年 3 月期の一時差異の金額と固定資産圧縮積立金と
の関係を図で示すと、次のとおりになる。
X1 年 3 月期
X2 年 3 月期
一時差異 1,000
一時差異 900
取崩し △100
税務上の
圧縮記帳額
1,000
法定実効税率 30%
税率変更
法定実効税率 25%
繰延税金負債(期末)
繰延税金負債(期首)
1,000×30%=300
1,000×25%=250
繰延税金負債(期末) 900×25%=225
税率変更調整額 50
固定資産圧縮積立金
固定資産圧縮積立金
(期末)
1,000-300=700
(期首)
700
固定資産圧縮積立金
(期末)
900-225=675
:当該年度の積立金の繰入れ又は取崩しを要する項目を示す
△100×25%=△25
△100×(1-25%)
=△75
- 66 -
(2) 表示例
本設例における処理を前提として、A 社の①貸借対照表、②損益計算書及び③株主資
本等変動計算書を作成すると、次のとおりになる。
① 貸借対照表
資産の部
負債の部
固定負債
・・・
・・・
・・・
繰延税金負債
・・・
純資産の部
・・・ 固定資産圧縮積立金 繰越利益剰余金
② 損益計算書
・・・ ・・・ 税引前当期純利益 法人税、住民税及び事業税 法人税等調整額 法人税等合計 当期純利益
③ 株主資本等変動計算書
当期首残高 固定資産圧縮積立金取崩額 固定資産圧縮積立金繰入額 当期純利益 当期末残高
第 X1 期
第 X2 期
X1 年 3 月 31 日現在
X2 年 3 月 31 日現在
300
225
700 3,000
675 5,870
第 X1 期
自 X0 年 4 月 1 日 至 X1 年 3 月 31 日
第 X2 期 自 X1 年 4 月 1 日 至 X2 年 3 月 31 日
4,000 900 300 1,200 2,800
4,000 1,230 △ 75 1,155 2,845
第 X1 期
自 X0 年 4 月 1 日 至 X1 年 3 月 31 日
第 X2 期 自 X1 年 4 月 1 日 至 X2 年 3 月 31 日
繰越利益剰余金 900 - △ 700 2,800 3,000
繰越利益剰余金 3,000 75 △ 50 2,845 5,870
- 67 -
[設例 3] 子会社の資産及び負債の時価評価による評価差額に係る一時差異の
取扱い
1. 前提条件
(1) P 社及び S 社の決算日は、3 月 31 日である。
(2) P 社は、X1 年 3 月 31 日に S 社株式の発行済株式の 60%を 840 で取得し、子会社とし
た。
(3) P 社及び S 社の法定実効税率は 30%である。
(4) S 社は、回収可能性適用指針第 17 項に定める(分類 1)に該当する企業であり、繰延
税金資産の全額について回収可能性があるものとする。
(5) 取得日現在の S 社の資産及び負債の簿価と時価は、(表 1)のとおりである。
(表 1)S 社の資産及び負債の簿価と時価(X1 年 3 月 31 日)
( ):貸方
簿 価
時 価
差 額
相当額
左のうち、P 社の
持分比率(60%)
現金預金
売上債権
有形固定資産
その他有価証券
その他の資産
200
750
200
750
1,000
1,500
400
150
400
300
計
2,500
3,150
仕入債務
借入金
未払金
その他の負債
計
純資産の部
(400)
(500)
(100)
(500)
(400)
(500)
(100)
(600)
(1,500)
(1,000)
(1,600)
(1,550)
(2,500)
(3,150)
-
-
500
-
150
650
-
-
-
(100)
(100)
(550)
(650)
2. 会計処理(連結修正仕訳)
(1) S 社の資産及び負債の評価(評価差額の計上)
(借) 資産
650
(貸) 負債
純資産(評価差額)
-
-
300
-
90
390
-
-
-
(60)
(60)
(330)
(390)
100 550
(2) 評価差額に係る繰延税金資産及び繰延税金負債の計上(第 18 項参照)
(借) 繰延税金資産(*1)
純資産(評価差額)
30 165
(貸) 繰延税金負債(*1)
195
- 68 -
(*1) 資本連結手続において、子会社の資産及び負債を時価により評価した結果生じる評価差額は、
連結財務諸表固有の一時差異に該当する。当該一時差異並びにこれに係る繰延税金資産及び繰延
税金負債は、次の(表 2)のとおりとなる。
(表 2)
S 社の個別財務諸表における帳簿価
資産又は負債の
額に対する増減
増減(評価差額)
( ):貸方
評価差額に法定実効税率
(30%)を乗じた額
繰延税金資産
繰延税金負債
有形固定資産の増加
その他の資産の増加
その他の負債の増加
計
500
150
(100)
550
(150)
(45)
(195)
30
30
(3) 投資と資本の相殺消去
(借) 純資産(*2)
のれん
1,385 9
(貸) 子会社株式
非支配株主持分(*3)
840 554
(*2) 純資産 1,385=S 社の純資産簿価 1,000+評価差額(税効果考慮前)550-評価差額に係る繰延
税金資産及び繰延税金負債の純額 165
(*3) 非支配株主持分 554=純資産 1,385(*2)×非支配株主持分の比率(100%-P 社持分比率 60%)
- 69 -
[設例 4] 子会社に対する投資に係る一時差異の取扱い
[設例 4-1] 子会社に対する投資の一部売却(投資の一部売却後も親会社と子
会社の支配関係が継続している場合)
1. 前提条件
(1) P 社及び A 社の決算日は、3 月 31 日である。
(2) P 社は X1 年 3 月 31 日に A 社株式の 100%を 1,000 で取得した。取得時の A 社(国内
会社)の純資産(簿価)は 700(資本金 200 及び利益剰余金 500)であり、300 の含み益
(評価差額(繰延税金負債考慮前))を有している。当該含み益は、A 社株式の売却時ま
で実現しない。
(3) A 社株式の取得により生じたのれんの償却期間は 5 年とし、X2 年 3 月期から X6 年 3
月期にわたり全額が償却された。
(4) P 社が A 社の留保利益を配当金として受け取るときに、P 社では配当金のすべてが税
務上の益金に算入されないため、追加で納付する税金は見込まれない。
(5) P 社は X6 年 3 月に A 社株式の 20%を売却する意思決定を行い、X6 年 4 月 1 日(X7 年
3 月期)に 300 で売却する。
(6) P 社及び A 社の法定実効税率は 30%である。
(7) P 社の A 社株式に係る持分計算、のれんの額及びのれんの償却累計額の算定及び A 社
株式の売却に係る影響額の算定は、(表 1)から(表 3)のとおりである。
(8) 繰延税金資産及び繰延税金負債に関する仕訳以外の X2 年 3 月期から X7 年 3 月期の開
始仕訳等は省略している。
(表 1) P 社の A 社株式に係る持分計算
利益
資本金
剰余金
評価
差額
( ):貸方
持分額(持分比率)
非支配
親会社
株主
計
(100%)
(0%)
X1 年 3 月 31 日取得時における A 社の純資産
個別財務諸表上の帳簿価額
(200)
(500)
評価差額
評価差額に係る繰延税金負債
(300)
90
(700)
(300)
90
(700) -
(210) -
①時価による評価額
(200)
(500) (210)
(910)
(910) -
X2 年 3 月期から X6 年 3 月期における純資産の部の変動の合計額
利 益
配 当
②小 計
(400)
110
(290)
(400)
(400) -
110
110 -
(290)
(290) -
合 計(①+②)
(200)
(790)
(210) (1,200) (1,200) -
- 70 -
(表 2) のれんの額及びのれんの償却累計額の算定
・取得時に生じるのれんの額
A 社株式の取得原価
A 社株式取得時の A 社の純資産(時価)
のれん(差引)
1,000
910
90
・X2 年 3 月期から X6 年 3 月期におけるのれんの償却累計額
のれん償却累計額 90=のれん 90÷のれんの償却期間 5 年×5 年
(表 3)P 社の個別損益計算書における A 社株式の売却に係る影響額の算定
売却額
売却原価(取得原価)
売却益(税金費用控除前)
( ):貸方
X7 年 3 月期
(300)
200
(100)
法人税、住民税及び事業税(30%)
30 (*)
法人税等調整額
売却益(税金費用控除後)
-
(70)
(*) P 社の法人税、住民税及び事業税に係る税率は 30%とする。
2. 会計処理(連結修正仕訳)
(1) X1 年 3 月期(A 社株式の取得時)
① A 社の資産及び負債の時価評価による評価差額に係る一時差異に関する繰延税金資
産及び繰延税金負債の計上(第 18 項参照)
(借) 諸資産及び諸負債 (借) 純資産(評価差額)
300 (貸) 純資産(評価差額) 90 (貸) 繰延税金負債(*1)
300 90
(*1) 繰延税金負債 90=評価差額 300×法定実効税率 30%
② 取得時に生じるのれんに係る繰延税金負債の計上
(仕訳なし)(*2)
(*2) A 社株式の取得に伴い、資本連結手続上、認識したのれんについては繰延税金負債を計上しな
い(第 43 項参照)。
(2) X6 年 3 月期(A 社株式の売却の意思決定時)
留保利益等から生じる A 社株式に係る将来加算一時差異に関する繰延税金負債の計上
(第 23 項参照)
(借) 法人税等調整額
12 (貸) 繰延税金負債(*3)
12
- 71 -
(*3) 繰延税金負債 12=取得後の利益剰余金の増加額 200(*4)×売却持分比率 20%×法定実効税率
30%
(*4) 利益剰余金の増加額 200=X6 年 3 月期の期末における留保利益 290+X6 年 3 月期の期末におけ
るのれんの償却累計額△90
(3) X7 年 3 月期(A 社株式の売却時)
① 開始仕訳
(借) 利益剰余金期首残高
12 (貸) 繰延税金負債
② A 社株式の売却に伴う売却簿価と売却持分の相殺消去
(借)
A 社株式 株式売却益
200 (貸) 非支配株主持分 40
(参考 1) P 社の個別財務諸表における A 社株式の売却仕訳
(借) 現金及び預金
300 (貸) A 社株式
子会社株式売却益
12
240
200 100
③ A 社株式の売却による A 社株式に係る将来加算一時差異の解消に伴う繰延税金負債
の取崩し
(借) 繰延税金負債(*5)
12 (貸) 法人税等調整額
12
(*5) A 社株式の売却に伴って、(2)で計上した繰延税金負債を取崩す。
④ 株式売却益の資本剰余金への振替
(借) 株式売却益
60 (貸) 資本剰余金
60
⑤ A 社株式の売却に伴う親会社の持分変動による差額に係る法人税等相当額の計上
(第 28 項参照)
(借) 資本剰余金(*6)
18 (貸) 法人税、住民税及び事業税
18
(*6) 資本剰余金 18=親会社の持分変動による差額 60(*7)×法定実効税率 30%
(*7) 親会社の持分変動による差額は、次の(表 4)のとおり算定される。
(表 4)親会社の持分変動による差額の算定
売却額
売却原価
取得原価
利益剰余金の増加
親会社の持分変動による差額(法人税等及び税効
果考慮前)
( ):貸方
(300)
200 (a)
40 (b)
(60)
(a) 取得原価 200=A 社株式の個別貸借対照表上の投資簿価 1,000×売却に係る P 社持分比率
20%
- 72 -
(b) 利益剰余金の増加 40=利益剰余金の増加額 200(X6 年 3 月期の期末における留保利益
290+のれんの償却累計額△90 の合計)×売却に係る P 社持分比率 20%
(参考2) 売却直前の子会社に対する投資の個別貸借対照表上の投資簿価(以下の表では
「個別上の簿価」という。)及び連結貸借対照表上の価額(以下の表では「連結上
の価額」という。)並びに投資の売却価額との関係
売却直前の 個別上の簿価
売却直前の 連結上の価額
売却価額
子会社株式 売却益
100 (30)
留保利益及び のれんの償却 累計額 40 (12)
(※1)
親会社の
持分変動による 差額
(※2)
60 (18)
200
240
300
(注) 上記の( )内の金額は法人税等及び税効果である。
(※1) 当該差額は、支配獲得後の子会社の利益剰余金の変動及びのれんの償却額から生じるも
のである。投資を売却する意思決定が行われ、第22項又は第23項に従って当該差額に係る
一時差異(40)に関する繰延税金資産又は繰延税金負債(12)を計上するときの相手勘定
は、法人税等調整額になる(第27項参照)。また、投資の売却により当該一時差異が解消す
るときに繰延税金資産又は繰延税金負債を取り崩す場合の相手勘定は、法人税等調整額に
なる。
(※2) 当該差額は、親会社の持分変動による差額であり、投資の一部売却後も親会社と子会社
の支配関係が継続している場合、資本剰余金に計上し、関連する法人税等は資本剰余金か
ら控除する(連結会計基準第29項及び(注9)(2))。したがって、投資の売却時に、当該差
額に対応する法人税等相当額(18)について、法人税、住民税及び事業税を相手勘定とし て資本剰余金から控除することとなる(本適用指針第28項参照)。
- 73 -
[設例 4-2] 子会社に対する投資の全部売却(追加取得がない場合)
1. 前提条件
(1) P 社及び B 社の決算日は、3 月 31 日である。
(2) P 社は X1 年 3 月 31 日に B 社株式の発行済株式の 100%を 1,010 で取得した。取得時
の B 社(国内会社)の純資産(簿価)は 600(資本金 200 及び利益剰余金 400)であり、
300 の含み益(評価差額(繰延税金負債考慮前))を有している。当該含み益は、B 社株
式の売却時まで実現しない。
(3) B 社株式の取得により生じたのれんの償却期間は 10 年とし、X2 年 3 月期から償却し
ている。
(4) P 社が B 社の留保利益を配当金として受け取るときに、P 社では配当金のすべてが税
務上の益金に算入されないため、追加で納付する税金は見込まれない。
(5) P 社は X4 年 3 月に B 社株式のすべてを売却する意思決定を行い、X4 年 4 月 1 日(X5
年 3 月期)に 1,200 で売却する。
(6) P 社及び B 社の法定実効税率は 30%である。
(7) P 社の B 社株式に係る持分計算、のれんの額及びのれんの償却累計額の算定及び P 社
の個別財務諸表及び連結財務諸表における B 社株式の売却益の算定は、(表 1)から(表
3)のとおりである。
(8) 繰延税金資産及び繰延税金負債に関する仕訳以外の X2 年 3 月期から X5 年 3 月期の開
始仕訳等は省略している。
(表 1) P 社の B 社株式に係る持分計算
利益
資本金
剰余金
評価
差額
( ):貸方
持分額(持分比率)
非支配
親会社
株主
計
(100%)
(0%)
X1 年 3 月 31 日取得時における B 社の純資産
個別財務諸表上の帳簿価額
(200)
(400)
評価差額
評価差額に係る繰延税金負債
(300)
90
(600)
(300)
90
(600) -
(210) -
①時価による評価額
(200)
(400) (210)
(810)
(810) -
X2 年 3 月期から X4 年 3 月期における純資産の部の変動の合計額
利 益
配 当
②小 計
(200)
60
(140)
合 計(①+②)
(200)
(540)
(210)
(200)
(200) -
60
(140)
(950)
60 -
(140) -
(950) -
- 74 -
(表 2) のれんの額及びのれんの償却累計額の算定
・取得時に生じるのれんの額
B 社株式の取得原価
B 社株式取得時の B 社の純資産(時価)
のれん(差引)
1,010
810
200
・X2 年 3 月期から X4 年 3 月期におけるのれんの償却累計額
のれん償却累計額 60=のれん 200÷のれんの償却期間 10 年×3 年
(表 3) P 社の個別財務諸表及び連結財務諸表における B 社株式の売却益の算定
売却額
売却原価
取得原価(a)
利益剰余金の増加
売却益(税金費用控除前)
法人税、住民税及び事業税
法人税等調整額
売却益(税金費用控除後)
X5 年 3 月期 ( ):貸方
個別財務諸表
連結財務諸表
(1,200)
(1,200)
1,010
-
(190)
57 (b)
-
(133)
1,010
80
(110)
57
(24)
(77)
(a) 連結財務諸表においては、親会社の個別貸借対照表上の投資簿価(子会社株式の取得原価で、
個別財務諸表上、子会社株式の評価損を計上している場合(過去に計上した場合を含む。)、当該
評価損を計上する前の金額)
(b) P 社の法人税、住民税及び事業税に係る税率は 30%とする。
2. 会計処理(連結修正仕訳)
(1) X1 年 3 月期(B 社株式の取得時)
① B 社の資産及び負債の時価評価による評価差額に係る一時差異に関する繰延税金資
産及び繰延税金負債の計上(第 18 項参照)
(借) 諸資産及び諸負債 (借) 純資産(評価差額)
300 (貸) 純資産(評価差額) 90 (貸) 繰延税金負債(*1)
300 90
(*1) 繰延税金負債 90=評価差額 300×法定実効税率 30%
② 取得時に生じるのれんに係る繰延税金負債の計上
(仕訳なし)(*2)
(*2) B 社株式の取得に伴い、資本連結手続上、認識したのれんについて繰延税金負債を計上しない
(第 43 項参照)。
- 75 -
(2) X4 年 3 月期(B 社株式の売却の意思決定時)
留保利益等から生じる B 社株式に係る将来加算一時差異に関する繰延税金負債の計上
(第 23 項参照)
(借) 法人税等調整額
24 (貸) 繰延税金負債(*3)
24
(*3) 繰延税金負債 24=取得後の利益剰余金の増加額 80(*4)×法定実効税率 30%
(*4) 利益剰余金の増加額 80=X4 年 3 月期の期末における留保利益 140+X4 年 3 月期の期末におけ
るのれんの償却累計額△60
(3) X5 年 3 月期(B 社株式の売却時)
① 開始仕訳
(借) 利益剰余金期首残高
24 (貸) 繰延税金負債
24
② B 社株式の売却による B 社株式に係る将来加算一時差異の解消に伴う繰延税金負債
の取崩し
(借) 繰延税金負債(*5)
24 (貸) 法人税等調整額
24
(*5) B 社株式の売却に伴って、(2)で計上した繰延税金負債を取崩す。
(参考) B 社株式の売却に伴う連結修正仕訳(B 社の資産及び負債の連結範囲からの除
外及び B 社株式売却益の修正に関する仕訳)
(1) 前提条件
① P 社は、X5 年 3 月期において連結決算手続上、B 社の個別貸借対照表を取り込んで
いるものと仮定する。
② P 社における B 社の投資と資本の相殺消去に係る開始仕訳及びその振戻しに係る仕
訳は省略している。
(2) 仕訳
① B 社の資産及び負債の連結範囲からの除外
(借) 繰延税金負債(*1)
資本金 利益剰余金(期首残高) 純資産(評価差額)
90 (貸) 諸資産及び諸負債(*1) 200 540 210
1,040
(*1) B 社の X5 年 3 月期の期首における諸資産及び諸負債の合計額 950 のうち繰延税金負債 90 を別
掲している。
② B 社株式の売却直前の P 社における持分の評価
(借)
B 社株式(*2)
80 (貸) 利益剰余金(期首残高)
80
(*2) B 社株式 80=X4 年 3 月期の期末における留保利益 140+X4 年 3 月期の期末におけるのれんの
償却累計額△60
- 76 -
③ B 社株式売却益の修正
B 社株式売却益(*3)
(借) (*3) B 社株式のすべてを売却するため、上記(2)②の全額について修正を行う。
80 (貸) B 社株式
80
- 77 -
[設例 4-3] 子会社に対する投資の全部売却(追加取得がある場合)
1. 前提条件
(1) [設例 3]の S 社株式の発行済株式の 20%を、X2 年 3 月 31 日に 300 で追加取得した。
(2) S 社は、X2 年 3 月期において、X1 年 3 月 31 日に時価評価した資産のうちその他の資
産の一部を売却し、これに係る評価差益 50(繰延税金負債考慮前)が実現した。
(3) X1 年 3 月期に発行済株式数の 60%を取得した際に発生したのれん 9 については、X2
年 3 月期に全額償却した。また、X2 年 3 月期の S 社の当期純利益は 100 であった。
(4) X2 年 3 月期においては、S 社株式の売却の意思決定等は行われていない(第 22 項又
は第 23 項に定める繰延税金資産又は繰延税金負債を計上する要件を満たしていない。)。
また、P 社は、S 社の利益を配当しない方針を採用している(第 24 項第 2 段落参照)。
(5) X3 年 3 月期において、X4 年 3 月期に S 社株式を第三者へすべて売却する意思決定を
行った(第 22 項又は第 23 項に定める繰延税金資産又は繰延税金負債を計上する要件を
満たしている。)。また、X3 年 3 月期の S 社の当期純利益は 100 であった。
(6) X4 年 3 月期において、S 社株式を第三者に 1,340 ですべて売却した。
(7) P 社及び S 社の法定実効税率は 30%である。
(8) 繰延税金資産及び繰延税金負債に関する仕訳以外の X2 年 3 月期から X4 年 3 月期の開
始仕訳等は省略している。
2. 会計処理(連結修正仕訳)
(1) X2 年 3 月期(S 社株式の追加取得時)
① その他の資産の売却に伴う繰延税金負債の取崩し
(借) 繰延税金負債(*1)
15 (貸) 法人税等調整額
15
(*1) 繰延税金負債 15=その他の資産に係る評価差益 50×30%。なお、X1 年 3 月期におけるその他
の資産の評価差額に係る繰延税金負債の計上についての仕訳は[設例 3]2.(1)を参照。
② 追加取得した S 社株式と非支配株主持分の消去
(借) 非支配株主持分(*2) 資本剰余金
290 (貸) 子会社株式 10
300
(*2) X2 年 3 月期における非支配株主に帰属する当期純利益を計算するには、支配獲得日に時価評価
された資産及び負債の X2 年 3 月期における評価差額の実現額に対応する損益の調整が必要にな
る。なお、親会社の追加取得持分と追加投資額との差額として将来減算一時差異が生じるが、X2
年 3 月期では第 22 項の要件を満たしていないため、繰延税金資産を計上しない。
また、非支配株主持分の減少額は、(表 1)のとおり算定される。
- 78 -
(表 1) 非支配株主持分の変動の状況
非支配株主持分の X1 年 3 月期の期末残高 (A)
X2 年 3 月期の非支配株主持分に帰属する当期純利益
S 社の個別財務諸表上の当期純利益の非支配株主持分相当額
評価差額の実現額
評価差額の実現に係る法人税等調整額
小計 (B)
追加取得直前の非支配株主持分 (A)+(B)
非支配株主持分の減少
非支配株主持分の X2 年 3 月期の期末残高
554 (a)
40 (b)
△20 (c)
6 (d)
26
580
290 (e)
290
(a) [設例 3]2.(3)投資と資本の相殺消去の仕訳の(*3)を参照。
(b) S 社の個別財務諸表上の当期純利益の非支配株主持分相当額 40=S 社の個別財務諸表上
の当期純利益 100×追加取得直前の非支配株主持分比率 40%
(c) 評価差額の実現額△20=その他の資産△50×追加取得直前の非支配株主持分比率 40%
(d) 評価差額の実現に係る法人税等調整額 6=評価差額の実現額 20×法定実効税率 30%
(e) 非支配株主持分の減少 290=追加取得直前の非支配株主持分 580×非支配株主持分の減少
割合 50%(追加取得持分比率 20%÷追加取得直前の非支配株主持分比率 40%)
(2) X3 年 3 月期(S 社株式の売却の意思決定時)
① 追加取得により生じた親会社の持分変動による差額に係る繰延税金資産の計上
(借) 繰延税金資産(*3)
3 (貸) 資本剰余金
3
(*3) S 社株式の売却意思決定を行っており、第 22 項の要件を満たすため、追加取得に伴い生じた親
会社の持分変動による差額に係る連結財務諸表固有の将来減算一時差異について、資本剰余金を
相手勘定として繰延税金資産を計上する(本適用指針第 27 項(2)①参照)。
繰延税金資産 3=X2 年 3 月期の追加取得により生じた資本剰余金 10×法定実効税率 30%
② 留保利益等から生じる S 社株式に係る将来加算一時差異に関する繰延税金負債の計
上(本適用指針第 23 項及び第 27 項参照)
(借) 法人税等調整額
33 (貸) 繰延税金負債(*4)
33
(*4) 繰延税金負債 33=S 社に係る留保利益及びのれんの償却累計額の合計額 110×法定実効税率
30%
S 社に係る留保利益及びのれんの償却累計額の合計額は、(表 2)のとおり算定される。
(表 2) S 社に係る留保利益及びのれんの償却累計額
X2 年 3 月期の当期純利益に係る P 社持分相当額
X2 年 3 月期における評価差額の実現に係る P 社持分相当額
評価差額の実現額
評価差額の実現に係る法人税等調整額
のれんの償却累計額
X3 年 3 月期の当期純利益に係る P 社持分相当額
合計
60 (a)
△30 (b)
9 (c)
△9
80 (d)
110
(a) X2 年 3 月期の当期純利益に係る P 社持分相当額 60=X2 年 3 月期の当期純利益 100×X2 年
3 月期の P 社持分比率 60%
(b) 評価差額の実現額△30=その他の資産に係る評価差益△50×P 社持分比率 60%
- 79 -
(c) 評価差額の実現に係る法人税等調整額 9=評価差額の実現額 30×法定実効税率 30%
(d) X3 年 3 月期の当期純利益に係る P 社持分相当額 80=X3 年 3 月期の当期純利益 100×X3 年
3 月期の P 社持分比率 80%
(注) 上記①及び②は、理解に資するため、仕訳の便宜上、繰延税金資産及び繰延税金負債を両建てで
計上しているが、納税主体が同一である場合、両者を相殺して表示する。なお、同一の納税主体(P
社)における同一の子会社(S 社)に対する投資に係る一時差異であるため、繰延税金資産及び繰
延税金負債を相殺し、回収可能性又は支払可能性について判断する。
(3) X4 年 3 月期(S 社株式の売却時)
① 開始仕訳
(借) 利益剰余金期首残高
33 (貸) 資本剰余金
繰延税金負債(*5)
3 30
(*5) 同一の納税主体に係る繰延税金資産及び繰延税金負債であるため、2.(2)①及び②で計上した
繰延税金資産 3 及び繰延税金負債 33 を相殺した結果により表示している。
② S 社株式の売却に伴う子会社の投資に係る将来加算一時差異に関する繰延税金負債
の取崩し
(借) 繰延税金負債
資本剰余金(*6)
30 (貸) 法人税等調整額 3
33
(*6) ①の繰延税金資産及び繰延税金負債のうち、X3 年 3 月期に資本剰余金を相手勘定として計上し
た繰延税金資産 3(2.(2)①参照)については資本剰余金を相手勘定として取崩すこととなる(本
適用指針第 30 項参照)。
③ S 社株式の売却益に対する課税
(借) 法人税、住民税及び事業税
3 (貸) 資本剰余金(*7)
3
(*7) S 社株式の売却益に対する法人税、住民税及び事業税等について、追加取得に伴い生じた親会
社の持分変動による差額に対して課税された法人税、住民税及び事業税等は資本剰余金から控除
する(法人税等会計基準第 5-2 項(1))(本適用指針第 31 項参照)。
資本剰余金から控除する法人税、住民税及び事業税等の額 3=X2 年 3 月期の追加取得により生
じた資本剰余金 10×法定実効税率 30%(法人税等会計基準第 5-4 項)
なお、P 社の個別財務諸表及び連結財務諸表における S 社株式の売却益は(表 3)のと
おりとなる。
(表 3) P 社の個別財務諸表及び連結財務諸表における S 社株式の売却益の算定
売却額
売却原価
取得原価(a)
資本剰余金の減少
X4 年 3 月期 ( ):貸方
個別財務諸表
連結財務諸表
(1,340)
(1,340)
1,140
-
1,140
(10)
- 80 -
利益剰余金の増加
売却益(税金費用控除前)
-
(200)
法人税、住民税及び事業税
60 (b)
法人税等調整額
売却益(税金費用控除後)
-
(140)
110 (c)
(100)
63 (d)
(33) (e)
(70)
(a) 連結財務諸表においては、親会社の個別貸借対照表上の投資簿価(子会社株式の取得原価で、
個別財務諸表上、子会社株式の評価損を計上している場合(過去に計上した場合を含む。)、当
該評価損を計上する前の金額)
(b) P 社の法人税、住民税及び事業税に係る税率は 30%とする。
(c) 上記 2.(2)②(表 2)を参照。
(d) 連結財務諸表に計上される法人税、住民税及び事業税
=個別財務諸表に計上された法人税、住民税及び事業税 60+上記 2.(3)③で計上した法人
税、住民税及び事業税 3
(e) 上記 2.(3)②を参照。
(参考) 売却直前のP社の個別貸借対照表上の投資簿価(以下の表では「個別上の簿価」
という。)及び売却直前のS社に対する投資の連結貸借対照表上の価額(以下の表で
は「連結上の価額」という。)並びにS社株式の売却価額との関係
売却直前の 個別上の簿価
売却直前の 連結上の価額
売却価額
個別上の S社株式 売却益
200 (60)
連結上の S社株式 売却益
100 (30)
留保利益及び のれんの償却 累計額(※2)
親会社の 持分変動による 差額(※1)
△10 (△3)
110 (33)
1,140
1,340
1,240
(注) 上記の( )内の金額は法人税等及び税効果である。
(※1) S社に対する投資について、追加取得に伴い生じた親会社(P社)の持分変動による差額
に係る連結財務諸表固有の将来減算一時差異(10)は、S社株式を売却する意思決定が行わ
れ、回収可能と判断された場合、資本剰余金を相手勘定として繰延税金資産(3)を計上す
る(本適用指針第22項及び第27項(2)①参照)。なお、その後、S社株式の売却により当該一
時差異が解消する場合、資本剰余金を相手勘定として繰延税金資産を取り崩す(本適用指
針第30項参照)。
(※2) S社に対する投資について留保利益及びのれんの償却額から生じた連結財務諸表固有の
- 81 -
将来加算一時差異(110)は、S社株式を売却する意思決定が行われた場合、法人税等調整
額を相手勘定として繰延税金負債(33)を計上する(本適用指針第23項及び第27項参照)。
なお、その後、S社株式の売却により当該一時差異が解消する場合、法人税等調整額を相手
勘定として繰延税金負債を取り崩す。
- 82 -
[設例 4-4] 子会社に対する投資の全部売却(追加取得があり、かつ、子会社株
式の売却の意思決定と同一の事業年度に売却が行われる場合)
1. 前提条件
(1) [設例 4-3]の(1)から(4)及び(7)は、同じ条件とする。
(2) P 社は、X3 年 3 月期中に S 社株式を第三者に 1,340 ですべて売却した。
(3) X2 年 3 月期及び X3 年 3 月期の開始仕訳等は省略している。
2. 会計処理(連結修正仕訳)
(1) X2 年 3 月期(S 社株式の追加取得時)
追加取得した S 社株式と非支配株主持分の消去仕訳
(借) 非支配株主持分(*1) 資本剰余金
(*1) [設例 4-3]2.(1)②を参照。
290 (貸) 子会社株式 10
300
(2) X3 年 3 月期(S 社株式の売却の意思決定及び売却時)
追加取得により生じた親会社の持分変動による差額に対応する法人税等相当額の計上
(第 31 項参照)
(借) 法人税、住民税及び事業税
3 (貸) 資本剰余金(*2)
3
(*2) 資本剰余金 3=X2 年 3 月期の追加取得により生じた資本剰余金 10×法定実効税率 30%
第 31 項に従って、株式売却の仕訳に加えて当該仕訳を行う。S 社に対する投資について、資本
剰余金とした親会社の持分変動による差額に対応する法人税等相当額 3 を、資本剰余金から控除
する(第 124 項参照)。
- 83 -
[設例 5] 在外子会社の留保利益及び為替換算調整勘定に係る繰延税金資産及
び繰延税金負債
1. 前提条件
(1) 親会社(P 社)は、在外子会社(S 社)に対し、その設立時より資本金の全額(投資簿
価 100 千ドル×200 円/ドル)を出資している。
(2) P 社及び S 社の決算日は、3 月 31 日である。
(3) 法定実効税率は 30%である。
(4) X1 年 3 月期の期末に、P 社は S 社株式について、次の意思決定を行った。
① X3 年 3 月期の期首に、第三者に売却を行う。
② 売却にあたって、S 社の利益剰余金の全額を配当金として受け取り、その後 S 社株
式を第三者に引き渡す。
(5) X1 年 3 月期の期末日の S 社の貸借対照表は、次のとおりである。
外 貨
換算レート
円 貨
(千ドル)
(円/ドル)
(千円)
諸資産
資産合計
諸負債
資本金
期末利益剰余金
為替換算調整勘定
1,000
1,000
700
100
200
-
負債及び資本合計
1,000
100
100
200
150
100,000
100,000
70,000
20,000
30,000
△20,000
100,000
(6) S 社の利益剰余金の全額を配当金として受け取る場合、追加で納付が見込まれる税金
の額は、次のとおりである。
① P 社は配当金の額に対して 10%の外国源泉所得税が課される。当該外国源泉所得税
は、P 社においても、S 社においても、税務上の損金に算入されないものとする。
② P 社において当該配当金のうち税務上の益金に 5%算入される。
したがって、P 社が追加で納付すると見込まれる税金の額は、配当金の額に対する外
国源泉所得税 10%、及び税務上の益金に算入される額(配当金の額の 5%)に法定実効
税率 30%を乗じた 1.5%を合計したもの、すなわち、配当金の額に対して 11.5%と見込
まれる。
- 84 -
(7) X2 年 3 月期の期末日の S 社の貸借対照表は、次のとおりである。
外 貨
換算レート
円 貨
(千ドル)
(円/ドル)
(千円)
諸資産
資産合計
諸負債
資本金
期首利益剰余金
当期純利益
期末利益剰余金
為替換算調整勘定
1,300
1,300
900
100
200
100
300
-
負債及び資本合計
1,300
90
90
200
150
100
117,000
117,000
81,000
20,000
30,000
10,000
40,000
△24,000
117,000
(8) X3 年 3 月期の期首に親会社は S 社の利益剰余金 300 千ドルを全額配当金として受け取
り、その後に S 社株式をすべて 100 千ドルで第三者に売却した。配当金の受取時及び売
却時における為替レートは、90 円/ドル(X2 年 3 月期の期末日の為替レートと同一)で
あった。
2. 会計処理(連結修正仕訳)
(1) X1 年 3 月期
① 留保利益に係る繰延税金負債の計上(第 23 項から第 25 項参照)
(借) 法人税等調整額
5,300 (貸) 繰延税金負債(*1)
5,300
(*1) X1 年 3 月期の留保利益に係る一時差異に関する繰延税金負債 5,300
=配当金の受取りにより解消する将来加算一時差異に係る繰延税金負債 2,300(*2)
+S 社株式の売却により解消する将来加算一時差異に係る繰延税金負債 3,000(*3)
(*2) 配当金の受取りにより解消する将来加算一時差異に係る繰延税金負債 2,300
=(X1 年 3 月期における利益剰余金 200 千ドル×決算日レート 100 円/ドル)×11.5%
(*3) S 社株式の売却により解消する将来加算一時差異に係る繰延税金負債 3,000
=S 社株式の売却により解消する将来加算一時差異(X1 年 3 月期における利益剰余金円換算額
30,000-X1 年 3 月期における利益剰余金 200 千ドル×決算日レート 100 円/ドル)×30%
② 為替換算調整勘定に係る繰延税金資産の計上(第 27 項及び第 116 項参照)
(借) 繰延税金資産(*4)
6,000 (貸) 為替換算調整勘定
6,000
(*4) X1 年 3 月期の為替換算調整勘定に係る一時差異に関する繰延税金資産 6,000
=S 社株式の売却により解消する将来減算一時差異(為替換算調整勘定△20,000)×30%
(2) X2 年 3 月期
① 開始仕訳
(借) 利益剰余金期首残高 繰延税金資産
5,300 (貸) 繰延税金負債 6,000
為替換算調整勘定
5,300 6,000
- 85 -
② 留保利益に係る繰延税金負債の計上(第 23 項から第 25 項参照)
(借) 法人税等調整額
1,705 (貸) 繰延税金負債(*5)
1,705
(*5) X2 年 3 月期の繰延税金負債の増加額 1,705
=X2 年 3 月期の S 社の留保利益に係る一時差異に関する繰延税金負債 7,005(*6)
-X1 年 3 月期の S 社の留保利益に係る一時差異に関する繰延税金負債 5,300
(*6) X2 年 3 月期における S 社の留保利益に係る一時差異に関する繰延税金負債 7,005
=配当金の受取りにより解消する将来加算一時差異に係る繰延税金負債 3,105(*7)
+S 社株式の売却により解消する将来加算一時差異に係る繰延税金負債 3,900(*8)
(*7) 配当金の受取りにより解消する将来加算一時差異に係る繰延税金負債 3,105
=(X2 年 3 月期における利益剰余金 300 千ドル×決算日レート 90 円/ドル)×11.5%
(*8) S 社株式の売却により解消する将来加算一時差異に係る繰延税金負債 3,900
=S 社株式の売却により解消する将来加算一時差異(X2 年 3 月期における利益剰余金円換算額
40,000-X2 年 3 月期における利益剰余金 300 千ドル×決算日レート 90 円/ドル)×30%
③ 為替換算調整勘定に係る繰延税金資産の計上(第 27 項及び第 116 項参照)
(借) 繰延税金資産(*9)
1,200 (貸) 為替換算調整勘定
1,200
(*9) X2 年 3 月期の繰延税金資産の増加額 1,200
=X2 年 3 月期為替換算調整勘定に係る一時差異に関する繰延税金資産 7,200(*10)
-X1 年 3 月期の為替換算調整勘定に係る一時差異に関する繰延税金資産 6,000
(*10) X2 年 3 月期為替換算調整勘定に係る一時差異に関する繰延税金資産 7,200
=S 社株式の売却により解消する将来減算一時差異(為替換算調整勘定△24,000)×30%
(3) X3 年 3 月期
① 開始仕訳
(借) 利益剰余金期首残高 繰延税金資産
7,005 (貸) 繰延税金負債 7,200
為替換算調整勘定
7,005 7,200
② 配当金の受取りと S 社株式の売却
(借) 受取配当金(*11)
S 社株式売却損 繰延税金負債
27,000 (貸) 利益剰余金 13,000 7,005
法人税等調整額
40,000 7,005
(*11) 受取配当金 27,000=300 千ドル×配当金の受取時における為替レート 90 円/ドル
③ S 社株式の売却に伴う為替換算調整勘定の取崩し及び繰延税金資産の取崩し
(借) 為替換算調整勘定
7,200 (貸) 繰延税金資産(*12)
7,200
(*12) X3 年 3 月期の期首に、S 社株式の売却により、X2 年 3 月期の期末に計上されていた為替換算 調整勘定△24,000 が取り崩されるため、X2 年 3 月期に計上した為替換算調整勘定に係る繰延税 金資産 7,200 も取り崩すことになる。
- 86 -
(参考) X3 年 3 月期における配当金の受取り及び S 社株式の売却に関連する損益計算書
上の該当項目及び影響額
(単位:千円)
(P 社)
個別損益計算書
連結損益計算書
27,000
-
△11,000 (a)
△24,000 (c)
16,000
△24,000
195 (b)
-
195
195
7,005
7,200 (d)
受取配当金
S 社株式売却損
税引前当期純利益/税金等調整
前当期純利益(△純損失)
法人税、住民税及び事業税
法人税等調整額
法人税等合計
当期純利益/親会社株主に帰属
する当期純利益(△純損失)
16,195
△16,800
(注) △は借方。
(a) S 社株式売却損△11,000
=売却価額 9,000(100 千ドル×90 円/ドル)
-投資簿価 20,000(投資簿価 100 千ドル×200 円/ドル)
(b) 法人税、住民税及び事業税の金額は次のとおり算定される。
受取配当金 27,000×11.5%=
S 社株式売却損△11,000×30%=
△3,105
3,300
195
(c) S 社株式売却損△24,000
=個別財務諸表に計上された S 社株式売却損△11,000
+連結修正金額△13,000(S 社期首利益剰余金 40,000-受取配当金 27,000)
(d) 連結損益計算書上の法人税等調整後の法人税等合計 7,200(貸方)は、税金等調整前当期純損
失△24,000 に法定実効税率 30%を乗じた金額と一致する。
- 87 -
[設例 6] 債権と債務の相殺消去に伴い修正される貸倒引当金に係る一時差異
の取扱い
1. 前提条件
(1) P 社の期末日現在、100%子会社である S 社に対して 160 の債権がある。
(2) P 社の個別財務諸表上、当期に当該債権に対して 80 の貸倒引当金を計上している。
(3) P 社は、当期に計上した貸倒引当金繰入額 80 については税務上の損金算入の要件を満
たしておらず、貸倒引当金繰入限度超過額は 80 である。
(4) P 社は、回収可能性適用指針第 17 項に定める(分類 1)に該当する企業であり、繰延
税金資産の全額について回収可能性があるものとする。
(5) P 社の法定実効税率は 30%とする。
2. 会計処理
(1) P 社の個別財務諸表
① 貸倒引当金の計上
(借) 貸倒引当金繰入額
80 (貸) 貸倒引当金
② 貸倒引当金に係る繰延税金資産の計上
(借) 繰延税金資産(*1)
24 (貸) 法人税等調整額
(*1) 繰延税金資産 24=貸倒引当金に係る将来減算一時差異 80×法定実効税率 30%
80
24
(2) P 社の連結財務諸表
① 連結会社間の債権と債務の相殺消去に伴う貸倒引当金の修正(連結修正仕訳)
(借) 貸倒引当金
80 (貸) 貸倒引当金繰入額
80
② 貸倒引当金の修正により生じる将来加算一時差異に係る繰延税金負債の計上及び
個別財務諸表において計上した繰延税金資産との相殺
(借) 法人税等調整額
繰延税金負債
24 (貸) 繰延税金負債(*2) 繰延税金資産(*3) 24
24 24
(*2) (2)①の連結修正仕訳により、連結財務諸表上の貸倒引当金 0 が、個別財務諸表上の貸倒引当
金 80 を下回るため、両者の差額 80 は連結財務諸表固有の将来加算一時差異となる。
当該連結財務諸表固有の将来加算一時差異に関し、個別財務諸表において計上した貸倒引当金
繰入額 80 については税務上の損金算入の要件を満たしていないため、法定実効税率 30%を乗じ
て繰延税金負債 24 を計上する(第 32 項参照)。
(*3) 個別財務諸表において繰延税金資産が計上されているため(上記 2.(1)②参照)、(*2)で計上し
た繰延税金負債 24 については、繰延税金資産 24 と相殺する(第 32 項参照)。
- 88 -
[設例 7] 未実現損益の消去に係る一時差異の取扱い
[設例 7-1] 未実現利益の消去に係る一時差異の取扱い
1. 前提条件
(1) S 社は、P 社の子会社であり、P 社は S 社株式の 80%を保有している。
(2) P 社及び S 社の決算日は、3 月 31 日である。
(3) X1 年 3 月期に S 社は、P 社に製品 A を 1,000 で販売した。なお、当該製品の売上原価
は 600 である。また、P 社は、X1 年 3 月期の期末において当該製品 A を棚卸資産として
保有している。
(4) X2 年 3 月期に P 社は当該製品 A を企業集団外部の顧客に 1,300 で販売した。
(5) X1 年 3 月期における S 社の課税所得は 400、X2 年 3 月期における P 社の課税所得は
300 である。
(6) P 社及び S 社の法定実効税率は、それぞれ 30%、20%である。
(表 1)P 社及び S 社の損益計算書及び貸借対照表並びに連結財務諸表の一部
【財務諸表】
【損益計算書】
売上高
売上原価
売上総利益
(略)
(△:費用)
X1 年 3 月期
X2 年 3 月期
S 社
P 社
S 社
P 社
1,000
△600
400
1,300
△1,000
300
300
△90
210
税引前当期純利益
400
法人税、住民税及び事業税(*)
△80
当期純利益
【貸借対照表】
(略)
棚卸資産
(略)
320
1,000
(*)法人税、住民税及び事業税の税率は、P 社が 30%、S 社が 20%とする。
- 89 -
【連結財務諸表】
【連結損益計算書】
売上高
売上原価
売上総利益
(略)
税金等調整前当期純利益
(略)
【連結貸借対照表】
(略)
棚卸資産
(略)
X1 年 3 月期
X2 年 3 月期
(△:費用)
1,300
△600
700
700
600
2. 会計処理(連結修正仕訳)
(1) X1 年 3 月期
① 連結会社間の取引高の消去及び未実現利益の消去
(借) 売上高 (借) 売上原価 (借) 非支配株主持分(*1)
1,000 (貸) 売上原価 400 (貸) 棚卸資産 80 (貸) 非支配株主持分に帰属する
1,000 400 80
当期純利益
(*1) 非支配株主持分 80=未実現利益の消去額 400×非支配株主持分比率(100%-80%)
② 未実現利益の消去に伴う繰延税金資産の計上(第 34 項参照)
(借) 繰延税金資産(*2) (借) 非支配株主持分に帰属す
80 (貸) 法人税等調整額 16 (貸) 非支配株主持分(*3)
80 16
る当期純利益
(*2) 繰延税金資産 80=未実現利益の消去に係る将来減算一時差異 400×S 社(売却元)の売却年度
における法定実効税率 20%(第 137 項参照)
(*3) 非支配株主持分 16=繰延税金資産 80×非支配株主持分比率(100%-80%)
(2) X2 年 3 月期
① 開始仕訳
(借) 利益剰余金期首残高 (借) 非支配株主持分 (借) 繰延税金資産 (借) 利益剰余金期首残高
400 (貸) 棚卸資産 80 (貸) 利益剰余金期首残高 80 (貸) 利益剰余金期首残高 16 (貸) 非支配株主持分
400 80 80 16
- 90 -
② X1 年 3 月期における未実現利益の実現
(借) 棚卸資産 (借) 非支配株主持分に帰属す
400 (貸) 売上原価 80 (貸) 非支配株主持分
400 80
る当期純利益
③ 未実現利益の実現に伴う繰延税金資産の取崩し
(借) 法人税等調整額 (借) 非支配株主持分
80 (貸) 繰延税金資産 16 (貸) 非支配株主持分に帰属する
80 16
当期純利益
(参考)連結損益計算書(税金等調整前当期純利益以下)
<X1 年 3 月期>
(△:費用)
税金等調整前当期純利益
法人税、住民税及び事業税
法人税等調整額
法人税等合計
当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益
未実現利益消去前
未実現利益の
連結損益計算書
単純合算
消去仕訳
400
△80
-
△80
320
△64
256
△400
-
80
80
△320
64
△256
-
△80
80
-
-
-
-
(注) 連結財務諸表上、P 社が企業集団の外部に製品 A を販売した時点で利益が計上される。X1 年 3 月期
においては、S 社の個別財務諸表上では、利益が 400 及び法人税、住民税及び事業税は 80 生じてい
るが、企業集団としては、当該利益 400 は計上されずに未実現利益となるため(2.(1)①の仕訳参照)、
当該未実現利益に係る税金の額 80(利益 400×法定実効税率 20%)を繰延税金資産として計上する
(第 34 項参照)。なお、X1 年 3 月期において計上した繰延税金資産については、売却元である S 社
に適用されている税率が将来変更されても見直しは行わない(第 56 項参照)。また、X1 年 3 月期以
降、その回収可能性の判断を行わない(第 35 項参照)。
<X2 年 3 月期>
(△:費用)
未実現利益消去前
未 実 現 利 益 の
連結損益計算書
単純合算
消去仕訳
税金等調整前当期純利益
法人税、住民税及び事業税
法人税等調整額
法人税等合計
当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益
300
△90
-
△90
210
-
210
- 91 -
400
-
△80
△80
320
△64
256
700
△90
△80
△170
530
△64
466
(注) X2 年 3 月期においては、P 社の個別財務諸表上において利益が 300 及び法人税、住民税及び事業税
が 90 生じることに加えて、企業集団としては、未実現利益の実現に伴い利益が 400 生じ、当該未実
現利益の実現に応じて繰延税金資産が取り崩されることにより法人税等調整額 80 が生じる(第 34 項
参照)。したがって、連結損益計算書の税金等調整前当期純利益 700 に対する税金費用(法人税等調
整額を含む。)170 が計上されることとなる。
- 92 -
[設例 7-2] 未実現利益の消去に係る一時差異の取扱い(売却元の売却年度に
おける課税所得が未実現利益の消去額を下回る場合)
1. 前提条件
(1) S 社は、P 社の子会社であり、P 社は S 社株式の 100%を保有している。
(2) P 社及び S 社の決算日は、3 月 31 日である。
(3) X1 年 3 月期に S 社は、P 社に製品 B を販売し、P 社は当該製品 B を棚卸資産として保
有している。連結財務諸表上、製品 B に係る未実現利益を 100 消去した。
(4) X2 年 3 月期に P 社は、当該製品 B を企業集団の外部に販売したことに伴い、連結財務
諸表上、未実現利益 100 が実現した。
(5) X1 年 3 月期における S 社の課税所得は 80 である。
(6) P 社及び S 社の法定実効税率は、それぞれ 30%、20%である。
2. 会計処理(連結修正仕訳)
(1) X1 年 3 月期
① 未実現利益の消去
(借) 売上原価
100 (貸) 棚卸資産
② 未実現利益の消去に伴う繰延税金資産の計上
(借) 繰延税金資産(*1)
16 (貸) 法人税等調整額
(*1) 繰延税金資産 16=S 社の課税所得 80×税率 20%
100
16
未実現利益の消去は 100 となるが、S 社(売却元)における税金の納付額は課税所得 80 に対応
する税金相当分となる。すなわち、繰延税金資産の計上の対象となる未実現利益の消去に係る将
来減算一時差異は、課税所得の金額(80)が上限となるため、計上される繰延税金資産は 16 とな
る(第 35 項参照)。
(2) X2 年 3 月期
① 開始仕訳
(借) 利益剰余金期首残高 (借) 繰延税金資産
100 (貸) 棚卸資産 16 (貸) 利益剰余金期首残高
② X1 年 3 月期における未実現利益の実現
(借) 棚卸資産
100 (貸) 売上原価
③ 未実現利益の実現に伴う繰延税金資産の取崩し
(借) 法人税等調整額
16 (貸) 繰延税金資産
100 16
100
16
- 93 -
[設例 8] 連結会社間における子会社株式の売却に伴い生じた売却損益を税務
上繰り延べる場合の取扱い
1. 前提条件
(1) S1 社及び S2 社は、P 社の 100%子会社、S3 社は S1 社の 100%子会社であり、これら
の会社は、完全支配関係(法人税法第 2 条第 12 号の 7 の 6)にある。
(2) 各社の決算日は、3 月 31 日である。
(3) X1 年 3 月期から X6 年 3 月期の各期における P 社、S1 社、S2 社の企業の分類は、いず
れも回収可能性適用指針第 17 項に定める(分類 1)に該当するものとする。
(4) X1 年 3 月期及び X2 年 3 月期の S1 社における S3 社株式の個別貸借対照表上の投資簿
価(以下「個別上の簿価」という。)は 100、X1 年 3 月期から X6 年 3 月期までの S3 社株
式の連結貸借対照表上の価額(以下「連結上の価額」という。)は 120 であった。
(5) S1 社は、X1 年 3 月期に S2 社へ S3 社株式を売却する意思決定を行った(なお、当該意
思決定以前は第 23 項の要件を満たしていない。)。
(6) S1 社は、X2 年 3 月期の期中に S2 社へ S3 社株式を 130 で売却した。なお、当該売却
に伴い発生した S3 社株式売却益 30 は、税務上の要件を満たし課税所得計算において繰
り延べるものとする(法人税法第 61 条の 11)。
(7) S2 社は、X6 年 3 月期に S3 社株式を企業集団外の第三者に売却する意思決定を行った。
なお、連結財務諸表上、S2 社における S3 社株式に係る将来減算一時差異に関する繰延
税金資産の全額につき、第 8 項(3)に従って回収可能性があるものとする。
(8) X1 年 3 月期から X6 年 3 月期において、P 社では配当金のすべてが税務上の益金に算
入されない(S1 社及び S2 社から配当金を受領した場合及び S1 社又は S2 社が S3 社から
配当金を受領した場合、追加の税金の納付は生じない。)。
(9) P 社、S1 社及び S2 社の法定実効税率は、それぞれ 30%とする。
(図 1)株式の所有関係
(X1 年 3 月期)
(X2 年 3 月期)
P 社
P 社
100%
100%
100%
100%
S1 社
S2 社
S1 社
S2 社
100%
S3 社
100%
S3 社
- 94 -
2. 会計処理
(1) X1 年 3 月期(S1 社による S3 社株式の売却の意思決定時)
① S1 社及び S2 社の個別財務諸表における仕訳
仕訳なし
② P 社の連結財務諸表における仕訳
仕訳なし(*1)
(*1) S2 社へ売却する意思決定を行ったが、当該売却による損益は課税所得計算において繰り延べ
られることになるため(法人税法第 61 条の 11)、第 23 項(2)②を満たし、S3 社株式に係る将来
加算一時差異に関する繰延税金負債を計上しない。
(2) X2 年 3 月期(S1 社による S3 社株式の売却時)
① S1 社の個別財務諸表における仕訳
(借) 現金預金
130 (貸) S3 社株式
(借) 法人税等調整額
子会社株式売却益 9 (貸) 繰延税金負債(*2)
100 30 9
(*2) S1社が完全支配関係にある S2 社に S3 社株式を売却することにより発生した子会社株式売却
益 30 は、S3 社株式の売却時には課税所得計算において繰り延べられるため税務上の益金に算入
されない。そのため、S1 社の S3 社株式の個別上の簿価が 0 となるのに対し、課税所得計算上の
価額は△30(譲渡損益調整勘定)となる。当該子会社株式売却益は、将来、S2 社が S3 社株式を
企業集団外の第三者に売却するなどの一定の事由により税務上の益金に算入される時に課税所
得を増額する効果を有するため、将来加算一時差異に該当し、これに係る繰延税金負債を計上す
る(第 17 項参照)。
繰延税金負債 9=子会社株式売却益 30×30%
② S2 社の個別財務諸表における仕訳
(借)
S3 社株式
130 (貸) 現金預金
130
③ P 社の連結財務諸表における仕訳
S3 社株式の売却益に係る繰延税金負債の取崩し
(借) 繰延税金負債(*3)
9 (貸) 法人税等調整額
9
(*3) S1 社の個別財務諸表において計上した S3 社株式の売却益に係る繰延税金負債は、第 39 項に従
って、連結決算手続上、取り崩す。
なお、S3 社株式の連結上の価額 120 は、S2 社の個別上の簿価 130 を下回るため、これらの差
額 10 は連結財務諸表固有の将来減算一時差異に該当する。当該将来減算一時差異に係る繰延税
金資産 3(=10×30%)は、S2社において S3 社株式を売却する意思決定が行われていないため、
その回収可能性がないと判断され、P 社の連結財務諸表では計上されない(第 22 項及び第 39 項
参照)。
(3) X6 年 3 月期(S2 社による S3 社株式の売却の意思決定時)
① S1 社及び S2 社の個別財務諸表における仕訳
- 95 -
仕訳なし
② P 社の連結財務諸表における仕訳
(ア)開始仕訳
(借) 繰延税金負債
9 (貸) 利益剰余金期首残高
(イ)S3 社株式の売却益に係る繰延税金負債の取崩額の戻入れ
(借) 法人税等調整額
9 (貸) 繰延税金負債(*4)
9
9
(*4) X2 年 3 月期に S1 社の個別財務諸表において計上されていた S3 社株式の売却益に係る繰延税
金負債は、P 社の連結財務諸表上において取り崩されていた。X6 年 3 月期に S2 社は、課税所得
計算上、繰り延べられた損益を計上することとなる事由(S3 社株式の売却)についての意思決定
を行った。そのため、P 社の連結財務諸表上、当該繰延税金負債の取崩額を戻し入れる(第 39 項
及び第 143-2 項参照)。
(ウ)S3 社株式に係る将来減算一時差異に関する繰延税金資産の計上
(借) 繰延税金資産(*5)
3 (貸) 法人税等調整額
3
(*5) 第 22 項の要件を満たし X6 年 3 月期末時点における将来減算一時差異 10 に係る繰延税金資産
の全額について回収可能性があるため、繰延税金資産 3(=10×30%)を計上する。
P 社の連結財務諸表における S3 社株式に関連する繰延税金資産及び繰延税金負債の計
上額は、(表 1)のとおりである。
(表 1)S3 社株式に関連する繰延税金資産及び繰延税金負債の計上額 ( ):負債
課税所得計算上 の価額
個別上の簿価 連結上 の価額
個別財務 諸表上 の税効果
連結財務諸表上 の税効果(連結 修正仕訳)
S1 社
S2 社
S1 社 S2 社
S1 社
S1 社
S2 社
連結上の繰
延税金資産
及び繰延税
金負債の額
X1 年 3 月期 X2 年 3 月期 X6 年 3 月期
100(a) -
100 -
120
-
-
-
△30(b) 130(c) -
130
120
(9)(d) (△9)(d) -
△30(b) 130(c) -
130
120
(9)(d)
-
3(e)
-
-
3 (9)
(a) S1 社における S3 社株式の課税所得計算上の価額
(b) S1 社における S3 社株式売却益に係る譲渡損益調整勘定
(c) S2 社における S3 社株式の課税所得計算上の価額
(d) 繰延税金負債(2.(2)①及び③を参照)
(e) 繰延税金資産(2.(3)②(ウ)を参照)
- 96 -
[設例 9] 子会社が保有する親会社株式を当該親会社に売却した場合の連結財
務諸表における法人税等に関する取扱い
1. 前提条件
(1) S 社は、P 社(上場会社)の子会社であり、P 社は S 社株式の 80%を保有している。
(2) P 社及び S 社の決算日は、3 月 31 日である。
(3) X1 年 3 月 31 日(決算日)において、S 社は P 社株式(親会社株式)を保有している。
S 社の保有する P 社株式の帳簿価額は 100、時価も 100 であった。S 社は、P 社株式をそ
の他有価証券に分類している。
(4) X1 年 12 月に S 社は、P 社株式のすべてを 200 で P 社に売却し、売却益 100 を計上し
た。
(5) X2 年 3 月 31 日(決算日)に S 社は、当該 P 社株式売却益に対応する税金 30 を計上し
た。なお、S 社の当期純利益は 70(P 社株式売却益 100 及びこれに対応する税金 30)で
ある。
(6) P 社及び S 社における法定実効税率は、それぞれ 30%とする。
2. 会計処理
(1) P 社の個別財務諸表(X2 年 3 月期)
① 取得時(X1 年 12 月)
(借) 自己株式
200 (貸) 現金預金
200
② 決算時(X2 年 3 月 31 日)
仕訳なし
(2) S 社の個別財務諸表(X2 年 3 月期)
① 売却時(X1 年 12 月)
(借) 現金預金
200 (貸) P 社株式
親会社株式売却益
100 100
② 決算時(X2 年 3 月 31 日)
(借) 法人税、住民税及び事業税
30 (貸) 未払法人税等
30
(3) P 社の連結財務諸表(X2 年 3 月期)
① 非支配株主に帰属する当期純利益の処理(X2 年 3 月 31 日)
(借) 非支配株主に帰属する当期
14 (貸) 非支配株主持分(*1)
14
純利益
(*1) S 社の当期純利益のうち 20%を非支配株主持分に振り替える。非支配株主持分 14=当期純利益
- 97 -
70×(100%-P 社持分比率 80%)
② 連結会社間の取引消去(X2 年 3 月 31 日)
(借) 親会社株式売却益
非支配株主持分(*2)
100 (貸) 自己株式 20
非支配株主に帰属する当期 純利益
100 20
(*2) S 社で計上した親会社株式売却益を全額消去し、非支配株主持分に対応する部分を非支配株主
に配分する。
非支配株主持分 20=親会社株式売却益 100×(100%-P 社持分比率 80%)
③ 子会社に生じる売却損益に対応する法人税等に対する親会社持分相当額の処理(X2
年 3 月 31 日)
(借) 資本剰余金(*3)
24 (貸) 法人税、住民税及び事業税
24
(*3) 第 40 項に従って、S 社に生じる売却損益(親会社株式売却益)に対応する法人税等のうち P 社
持分相当額を資本剰余金から控除する。
資本剰余金 24=S 社で計上した法人税、住民税及び事業税 30×P 社持分比率 80%
- 98 -
[設例 10] 法定実効税率の算定
1. 前提条件
(1) A 社の決算日は、3 月 31 日である。
(2) A 社は、複数の事業所を有するが、主な所得源泉地である本社所在地に適用されてい
る税率を基に法定実効税率を算定している。当該所在地における地方公共団体では、超
過課税による税率により住民税及び事業税を課している。
(3) X1 年 3 月 31 日において成立している法律又は条例に規定されている税率であって、
X1 年 4 月 1 日以後開始する事業年度の法定実効税率の算定に関連する税率は、(表 1)
のとおりである。
(表 1)
根拠となる法律及び条例
X1 年 4 月 1 日以後開始する
事業年度の税率
法人税
地方法人税
法人税法
地方法人税法
特別法人事業税(基準法人
所得割)
特別法人事業税等法
住民税(法人税割)(*1)
(超過課税による税率)
条例
事業税(所得割)
(標準税率)
地方税法
(超過課税による税率)
条例
23.2 %
10.3 %
260.0 %
10.4 %
1.0 %
1.2 %
(*1) 簡便的に、都道府県民税及び市町村民税の法人税割の税率を合わせて示している。
2. 法定実効税率の計算式
地方法人税及び住民税(法人税割)の税率は法人税額を課税標準として定められてい
る。また、特別法人事業税(基準法人所得割)の税率は、事業税(所得割)の標準税率
による税額を課税標準として定められている。これらを考慮すると、法人税、地方法人
税、住民税、事業税(所得割)及び特別法人事業税(基準法人所得割)の税金の額(以
下「合計税額」という。)並びに課税所得に対する合計税額の割合(以下「合計税率」と
いう。)は、次のとおり算定される。
法人税額
=課税所得×法人税率
地方法人税額
=課税所得×法人税率×地方法人税率
住民税額(法人税割)=課税所得×法人税率×住民税率
事業税額(所得割) =課税所得×事業税率
特別法人事業税額(基準法人所得割)=課税所得×事業税率(標準税率)×特別法人事
業税率
合計税額 = 課税所得×{法人税率×(1+地方法人税率+住民税率)+事業税率+事
- 99 -
業税率(標準税率)×特別法人事業税率}
合計税率 =
合計税額 課税所得
=法人税率×(1+地方法人税率+住民税率)+事業税率
+事業税率(標準税率)×特別法人事業税率
また、事業税(所得割)及び特別法人事業税(基準法人所得割)は、実際に納付する
事業年度の課税所得又は税務上の欠損金の計算上、損金に算入されることを勘案すると、
法定実効税率は、合計税率から、事業税率に法定実効税率を乗じた数値、並びに事業税
率(標準税率)、特別法人事業税率及び法定実効税率を連乗した数値を控除して求められ
る。
法定実効税率=合計税率-事業税率×法定実効税率-事業税率(標準税率)
×特別法人事業税率×法定実効税率
(1+事業税率+事業税率(標準税率)×特別法人事業税率)×法定実効税率
=合計税率
法定実効税率=
合計税率 1+事業税率+事業税率(標準税率)×特別法人事業税率
上記の算式に、合計税率の算式を当てはめると、第 4 項(11)に示した次の算式が求め
られる。
法定実効税率=
法人税率×(1+地方法人税率+住民税率)+事業税率 +事業税率(標準税率)×特別法人事業税率 1+事業税率+事業税率(標準税率)×特別法人事業税率
3. 法定実効税率の算定
A 社の X1 年 3 月期における決算において、X1 年 4 月 1 日以後開始する事業年度に解
消される将来減算一時差異に係る繰延税金資産及び将来加算一時差異に係る繰延税金
負債の計算に用いる法定実効税率は、次のとおり算定される。なお、法定実効税率は、
小数点以下第 2 位を四捨五入している。
法定実効税率 30.6%=
23.2%×(1+10.3%+10.4%)+1.2%+1.0%×260.0% 1+1.2%+1.0%×260.0%
- 100 -
[設例 11] 改正地方税法等が決算日以前に成立し、当該改正地方税法等を受け
た改正条例が当該決算日に成立していない場合の法定実効税率の算
定
1. 前提条件
(1) A 社の決算日は、3 月 31 日である。
(2) A 社は、複数の事業所を有するが、主な所得源泉地である本社所在地に適用されてい
る税率を基に法定実効税率を算定している。当該所在地における地方公共団体では、超
過課税による税率により住民税及び事業税を課している。
(3) X2 年 3 月 31 日に、改正地方税法等が国会で成立し、X2 年 4 月 1 日以後開始する事業
年度の事業税(所得割)の標準税率が改正された。
(4) X2 年 4 月 1 日以後開始する事業年度の超過課税による税率を定めた改正条例は、X2 年
3 月 31 日において成立していない。
(5) 事業税(所得割)の制限税率は、標準税率に 1.7 を乗じた税率である。
(6) X2 年 3 月 31 日において成立している、X1 年 4 月 1 日から X2 年 3 月 31 日までの間に
開始する事業年度(当期)及び X2 年 4 月 1 日以後開始する事業年度の法定実効税率の
算定に関連する税率は、(表 1)のとおりである。
(表 1)
根拠となる法律及び条例
X1 年 4 月 1 日から
X2 年 3 月 31 日まで
の間に開始する事業
年度(当期)の税率
X2 年 4 月 1 日
以後開始する
事業年度の税率
法人税
地方法人税
法人税法
地方法人税法
23.2 %
10.3 %
20.0 %
8.0 %
特別法人事業税(基準法
人所得割)
住民税(法人税割)(*1)
特別法人事業税等法
260.0 %
260.0 %
(超過課税による税率)
条例
10.4 %
8.0 %
事業税(所得割)
(標準税率)
地方税法(*2)
(ア)1.0 %
(ウ)0.6 %
(超過課税による税率)
条例
(イ)1.2 %
(未 定)(*3)
(*1) 簡便的に、都道府県民税及び市町村民税の法人税割の税率を合わせて示している。
(*2) X2 年 4 月 1 日以後開始する事業年度の税率は、改正地方税法等に規定されている税率である。
(*3) X2 年 4 月 1 日以後開始する事業年度の税率は、改正地方税法等を受けた改正条例が成立してい
ないため、未定である。
2. X2 年 4 月 1 日以後開始する事業年度における事業税(所得割)の超過課税
による税率の算定
当事業年度において地方税法等が改正され、かつ、当該改正地方税法等を受けた改正
- 101 -
条例が決算日以前に成立していない場合、当該決算日において成立している条例に超過
課税による税率で課税することが規定されているときは、改正地方税法等に規定されて
いる標準税率に、当該決算日において成立している条例に規定されている超過課税によ
る税率が改正直前の地方税法等の標準税率を超える差分を考慮する税率による(第 48 項
(2)②イ参照)。
当該差分を考慮する税率については次の 2 つの方法が考えられることから、それぞれ
の方法で法定実効税率を算定する。
(1) 第 49 項(1)による方法
(2) 第 49 項(2)による方法
(1) 第 49 項(1)による方法により超過課税による税率を算定する場合の法定実効税率
① X2 年 4 月 1 日以後開始する事業年度における事業税(所得割)の超過課税による税
率の算定
第 49 項(1)の方法によると、超過課税による税率を算定する場合、改正地方税法
等に規定されている標準税率((表 1)の(ウ))に、決算日において成立している条
例に規定されている超過課税による税率((表 1)の(イ))が改正直前の地方税法等
の標準税率((表 1)の(ア))を超える数値を加えて算定する。
したがって、第 49 項(1)による方法により X2 年 4 月 1 日以後開始する事業年度
における事業税(所得割)の超過課税による税率は、次のとおり 0.8%と算定され
る。
0.8%=0.6%+(1.2%-1.0%)
なお、この結果として得られた税率 0.8%は、改正地方税法に規定されている事
業税(所得割)の制限税率(1.02%=0.6%×1.7)を超えない税率である。
② X2 年 4 月 1 日以後開始する事業年度に解消する一時差異に係る繰延税金資産及び繰
延税金負債の計算に用いる法定実効税率の算定
①で算定した事業税(所得割)の超過課税による税率を前提とすると、X2 年 4 月
1 日以後開始する事業年度に解消する一時差異に係る繰延税金資産及び繰延税金負
債の計算に用いる法定実効税率は、次のとおり算定される。当該税率は、小数点以
下第 2 位を四捨五入している。
法定実効税率 25.0%=
20.0%×(1+8.0%+8.0%)+0.8%+0.6%×260.0% 1+0.8%+0.6%×260.0%
(2) 第 49 項(2)による方法により超過課税による税率を算定する場合の法定実効税率
- 102 -
① X2 年 4 月 1 日以後開始する事業年度における事業税(所得割)の超過課税による税
率の算定
第 49 項(2)の方法によると、超過課税による税率を算定する場合、改正地方税法
等に規定されている標準税率((表 1)の(ウ))に、決算日において成立している条
例に規定されている超過課税による税率((表 1)の(イ))における改正直前の地方
税法等の標準税率((表 1)の(ア))に対する割合を乗じて算定する。
したがって、第 49 項(2)による方法により X2 年 4 月 1 日以後開始する事業年度
における事業税(所得割)の超過課税による税率は、次のとおり 0.7%と算定され
る。当該税率は、小数点以下第 2 位を四捨五入している。
0.7%=0.6%×(1.2%÷1.0%)
なお、この結果として得られた税率 0.7%は、改正地方税法に規定されている事
業税(所得割)の制限税率(1.02%=0.6%×1.7)を超えない税率である。
② X2 年 4 月 1 日以後開始する事業年度に解消する一時差異に係る繰延税金資産及び繰
延税金負債の計算に用いる法定実効税率の算定
①で算定した事業税(所得割)の超過課税による税率を前提とすると、X2 年 4 月
1 日以後開始する事業年度に解消する一時差異に係る繰延税金資産及び繰延税金負
債の計算に用いる法定実効税率は、次のとおり算定される。当該税率は、小数点以
下第 2 位を四捨五入している。
法定実効税率 24.9%=
20.0%×(1+8.0%+8.0%)+0.7%+0.6%×260.0% 1+0.7%+0.6%×260.0%
- 103 -
[設例 12] 遡及適用及び修正再表示による繰延税金資産の取扱い
[設例 12-1] 会計方針の変更に伴う遡及適用による繰延税金資産の取扱い
1. 前提条件
(1) A 社の決算日は、3 月 31 日である。
(2) A 社は、X3 年 3 月期に棚卸資産の評価方法を変更した。
(3) X1 年 3 月期及び X2 年 3 月期における A 社の分類は、回収可能性適用指針第 17 項に定
める(分類 1)に該当する。
(4) 会計方針の変更に伴い、新たな会計方針を遡及適用した結果、表示期間のうち最も古
い期間の期首(X2 年 3 月期の期首)における棚卸資産に係る将来減算一時差異が遡及適
用前よりも大きくなった。
(5) (4)の結果、X2 年 3 月期の期首において、将来減算一時差異を十分に上回る課税所得
が生じているとはいえない状況となる。
2. 繰延税金資産の回収可能性の判断の考え方
(1) 新たな会計方針の遡及適用と税効果会計の適用に関する基本的な考え方
新たな会計方針の遡及適用により、表示期間より前の期間に関する遡及適用による累
積的影響額は、表示する財務諸表のうち最も古い期間(本設例では X2 年 3 月期)の期首
の資産、負債及び純資産の額に反映され、また、表示される過去の各期間の財務諸表に
は、当該各期間の影響が反映される(企業会計基準第 24 号第 7 項)。
遡及適用により貸借対照表上の資産又は負債の額は変更されるが、課税所得計算上の
資産又は負債の金額は修正されないため、差額が生じることになる。当該差額は通常、
一時差異(本適用指針第 4 項(3)参照)に該当するため、表示される過去の各期間の財務
諸表において、当該一時差異に係る繰延税金資産又は繰延税金負債を計上することにな
る(本適用指針第 57 項参照)。
ここで、繰延税金資産の回収可能性の判断は、会計上の見積り(企業会計基準第 24 号
第 4 項(3))に該当する事項と考えられる。会計上の見積りの変更においては、過去の財
務諸表作成時において入手可能な情報に基づき最善の見積りを行った場合、過去に遡っ
て処理せず、当期以降の財務諸表においてその影響を反映することになる(企業会計基
準第 24 号第 17 項及び第 55 項)。そのため、遡及適用に伴い将来の利益の額が変更され
ることに対応して、繰延税金資産の回収可能性の判断における将来の一時差異等加減算
前課税所得の見積額が変更される場合、会計方針の変更を行った年度以降において、変
更後の将来の一時差異等加減算前課税所得を前提として、繰延税金資産の回収可能性を
判断することになる(本適用指針第 59 項参照)。
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(2) 本設例における企業の分類及び繰延税金資産の取扱い
前提条件に記載のとおり、会計方針を変更する前の X2 年 3 月期において、回収可能
性適用指針における分類が(分類 1)に該当していた A 社は、新たな会計方針の遡及適
用の結果、X2 年 3 月期の期首においては、将来減算一時差異を十分に上回る課税所得が
生じているとはいえない状況にある。
しかしながら、過去の財務諸表の作成時において、回収可能性適用指針第 15 項から第
32 項に従って要件に基づき企業を分類し、当該分類に応じて回収が見込まれる繰延税金
資産を計上しているため、当該繰延税金資産は、当該財務諸表の作成時において最善の
見積りを行い計上されている。
したがって、会計方針の変更に伴い、新たな会計方針を過去の期間に遡及適用した結
果、X2 年 3 月期の期首の回収可能性適用指針における企業の分類が変更される可能性が
ある場合でも、過去の期間において繰延税金資産の回収が見込まれるとした判断には影
響させず、企業会計基準第 24 号第 17 項に従って将来にわたりその影響を反映させるこ
とが適切であり、会計方針の変更を行った年度の損益に反映することになると考えられ
る。すなわち、X2 年 3 月期においては A 社の分類は変更せず、分類の変更による影響額
は会計方針の変更を行った年度(X3 年 3 月期)の損益に反映させることになる。
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[設例 12-2] 修正再表示による繰延税金資産の取扱い
1. 前提条件
(1) B 社の決算日は、3 月 31 日である。
(2) B 社では、X3 年 3 月期において、過去の期間(X2 年 3 月期以前)の売上の過大計上が
発見されたため、修正再表示を行った。
(3) X1 年 3 月期及び X2 年 3 月期の回収可能性適用指針における B 社の分類は、(分類 3)
に該当する。
(4) 修正再表示により、表示期間のうち最も古い期間の期首(X2 年 3 月期の期首)の回収
可能性適用指針における B 社の分類は、(分類 5)に該当する。
2. 繰延税金資産の回収可能性の判断の考え方
(1) 修正再表示と税効果会計の適用に関する基本的な考え方
過去の財務諸表における誤謬が発見された場合には、表示期間より前の期間に関する
修正再表示による累積的影響額は表示する財務諸表のうち最も古い期間(本設例では X2
年 3 月期)の期首の資産、負債及び純資産の額に反映され、また、表示される過去の各
期間の財務諸表には、当該各期間の影響が反映される(企業会計基準第 24 号第 21 項)。
修正再表示により貸借対照表上の資産又は負債の額は修正されるが、課税所得計算上
の資産又は負債の金額は修正されないため、差額が生じることになる。当該差額は、通
常、一時差異(本適用指針第 4 項(3)参照)に該当するため、表示される過去の各期間の
財務諸表において、当該一時差異に係る繰延税金資産又は繰延税金負債を計上すること
になる(本適用指針第 60 項参照)。
ここで、修正再表示した年度の比較情報における将来の一時差異等加減算前課税所得
の見積額や企業の分類の判断を変更する場合、当該変更に伴う影響は、当該修正再表示
した年度の比較情報(X2 年 3 月期)に反映させることになる(本適用指針第 62 項参照)。
(2) 本設例における企業の分類及び繰延税金資産の取扱い
新たな会計方針の遡及適用の場合[設例 12-1]とは異なり、X2 年 3 月期の期首におい
て、修正再表示により B 社の分類は(分類 5)に変更される。その結果、B 社が X2 年 3
月期の期首において修正再表示前に計上していた繰延税金資産の回収可能性はないも
のとする。
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2018 年適用指針の公表による他の会計基準等についての修
正
2018 年適用指針により、当委員会が公表した会計基準等については、次の修正を行う。
(1) (削 除)
(2) (削 除)
(3) (削 除)
(4) (削 除)
(5) (削 除)
2022 年改正適用指針の公表による他の会計基準等について
の修正
2022 年改正適用指針により、当委員会が公表した会計基準等については、次の修正を行
う(下線は追加部分を示す。)。
(1) 企業会計基準適用指針第 26 号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」
① 第 10 項
第 8 項及び第 9 項また書きに従って繰延税金資産の回収可能性を見直した場合に
生じた差額は、次のいずれかの場合を除き、見直しを行った年度における法人税等調
整額に計上する。
(1) 資産又は負債の評価替えにより生じた評価差額等をその他の包括利益で認識
した上で純資産の部のその他の包括利益累計額に計上する場合、当該評価差額等
に係る一時差異に関する繰延税金資産の回収可能性の見直しにより生じた差額
は、見直しを行った年度におけるその他の包括利益で認識した上で純資産の部の
その他の包括利益累計額に計上する。
(2) 資産又は負債の評価替えにより生じた評価差額等を直接純資産の部に計上す
る場合、当該評価差額等に係る一時差異に関する繰延税金資産の回収可能性の見
直しにより生じた差額は、見直しを行った年度における純資産の部の評価・換算
差額等に直接計上する。
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(3) 連結財務諸表において、子会社に対する投資について、親会社の持分変動によ
る差額を直接資本剰余金に計上する場合、当該親会社の持分変動による差額に係
る一時差異に関する繰延税金資産の回収可能性の見直しにより生じた差額は、見
直しを行った年度において資本剰余金に計上する。
以 上
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