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監査・保証実務委員会実務指針第58号
個別財務諸表における関連会社に持分法を適用した場合の
投資損益等の注記に関する監査上の取扱い
10 11 24日
改正 14 日
最終改正 26 14
1.はじめに
企業会計審議会は、平成9年6月6日に「連結財務諸表制度の見直しに関する意見
書」を公表し、従来の個別情報を中心とする開示から連結情報を中心とする開示に転
換を図ることを提言するとともに、連結情報の充実のための具体的な措置の一つとし
て、「連結子会社がない会社においては、連結財務諸表が作成されないため、関連会
社に多額の損益が生じている場合であっても、その情報がディスクローズされない。
このため、連結財務諸表を作成していない会社については、個別財務諸表において、
関連会社持分法を適用した場合の投資損益等を注記するよう措置を講ずること
適当である。」とした。
これを受けて平成10年11月24日付けで、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に
関する規則」が改正され、同規則第8条の9に、「連結財務諸表を作成していない会
社にあっては、関連会社に対する投資の金額並びに当該投資に対して持分法を適用し
た場合の投資の金額及び投資利益又は投資損失の金額を注記しなければならない。
だし、損益等からみて重要性の乏しい関連会社については除外してこれらの金額を算
出することができる。」との規定が新設された。
したがっ、(1)子会社がないため連結財務諸表作成していない場合、又は(2)
子会社のてが連結の範囲に含めない子会社であることにより連結財務諸表を作
していない場合においては、関連会社について持分法を適用して算定した投資損益等
を注記することが必要となる。
本指針は、関連会社に持分法を適用した場合の投資損益等の注記に関し、持分法の
適用の範その他監査上留意すべき事項について実務指針として明らかにするこ
を目的とするものである。
なお、持分法会計の基本的な考え方等については、企業会計基準第16号「持分法に
関する会計基準」及び会計制度委員会報告第9「持分法会計に関する実務指針」
よるものとする。
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2.持分法の適用の範囲について
持分法を適用した場合の投資損益等の注記の対象となる範囲は、関連会社であり、
非連結子会社については注記の対象に含まれない。
また、財務諸表提出会社の当期純損益の額及び利益剰余金の額から見て重要性の乏
しい関連会社については、注記の対象となる範囲から除外することができる。
注記の対象となる範囲からの除外に当たり、次に掲げる算式で計算した割合がいず
れも重要性が乏しいと判断された場合には、注記の対象となる持分法の適用の範囲は
監査上妥当なものとして取り扱うことができる。
(算 式)
① 利益基準
注記から除外した関連会社の当期純損益の額のうち持分に見合う額の合計額
財務諸表提出会社の当期純損益の額及び注記に含めた関連会社の
当期純損益の額のうち持分に見合う額の合計額
② 利益剰余金基準(「利益剰余金」とは、利益準備金及びその他利益剰余金のほ
か、法律で定める準備金で利益準備金に準ずるものをいう。以下同じ。)
注記から除外した関連会社の利益剰余金のうち持分に見合う額の合計額
財務諸表提出会社の利益剰余金の額及び注記に含めた関連会社の
利益剰余金の額のうち持分に見合う額の合計額
(算式適用上の留意点)
(1)注記から除外した関連会社の選定に当たっては、利益や利益剰余金の額の小さ
いものから順次選定するのではなく、個々の関連会社の特性等を考慮する。
(2)利益基準における当期純損益の額は財務諸表提出会社と関連会社との間の取
引にる資に含まれる未現損益の消去後にける金額によことが望まし
いが、消去前の金額によることもできるものとする。
また、利益剰余金基準における利益剰余金の額は、利益基準において未実現損
益消去後の金額によった場合には当該消去額を修正した金額とする。
(3)関連会社の当期純損益及び利益剰余金は、原則として直近の財務諸表の数値に
基づくものとする。
(4)利益基におる財務諸表提会社及び関連社の純損益の額が業の性質
等から事業年度ごとに著しく変動する場合などは、当期純損益の額について最近
5年間の平均を用いる当該期間中に当期純利益と当期純損失がある場合にはこ
れらを相殺した純額をもって平均値を算定する。)等適宜な方法で差し支えない
ものとする。
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3.持分法の適用上の留意事項について
持分法の適用に当たっては、本来は連結財務諸表の作成における処理又は手続と同
様に行うべきであるが持分法の計算に際しての実務上の負担に配慮し、当面、厳密
な算定によらないことができるものとする。この点を踏まえ、以下に掲げる事項に留
意して処理又は手続を行う。
(1)関連会社の財務諸表は、原則として直近の財務諸表を使用するものとする。
(2)関連会社の財務諸表について、資産及び負債の評価、税効果会計の適用等で重要
性のある会計処理は、連結財務諸表を作成する際の連結子会社の場合と同様の処理
を行うものとする。
(3)投資日におる投資これに対応する関連社の資本との間に差がある場
には、当該差額はのれん又は負ののれんとし、のれんは投資に含めて処理する。
(4)投資の増減額の算定に当たり、財務諸表提出会社と関連会社との間の取引に係る
重要な未実現損益がある場合には、これを消去するための修正を行う。
また、関連会社から配当金を受け取った場合には当該配当金に相当する額を投
資の額から減額する。
(5)持分法の適用の対象となる関連会社に子会社又は関連会社がある場合において、
当該子会又は関連会社に対する投資について持分法を適用して認識した損益
は利益剰余金が持分法の適用による投資損益等に重要な影響を与えるときは、当該
損益等を持分法適用関連会社の損益等に含めて計算するものとする。
(6)持分法の適用の対象となる関連会社に土地再評価法による土地再評価差額金、
の他有価証券評価差額金、資本剰余金に含まれる自己株式処分差益や為替換算調整
勘定等がある場合、その重要性を考慮する必要がある。
4.注記の記載内容について
関連会社に持分法を適用した場合の投資損益等の注記として、(1)関連会社に対す
る投資の金額、(2)持分法を適用した場合の投資の金額、及び(3)持分法を適用した場
合の投資利益(又は投資損失)の金額を記載する。
(注記の記載例)
関連会社に持分法を適用した場合の投資損益等
(1)関連会社に対する投資の金額 ×××
(2)持分法を適用した場合の投資の金額 ×××
(3)持分法を適用した場合の投資利益(又は投資損失)の金額 ×××
注記の記載に当たっては、以下に掲げる事項に留意するものとする。
(1)「関連会社に対する投資の金額」は、持分法の適用の対象とした関連会社に対
る投資の貸借対照表計上額を記載する。なお、当該投資に対して計上した投資損失
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引当金を控除方式により表示している場合には控除後の金額によるものとする。
(2)「持分法を適用した場合の投資の金額」は、関連会社の純資産のうち持分に見
う額に対応して投資の額を修正した後の金額を記載する。なお、関連会社の債務超
過額のうち持分に負担させるべき額を投資損失として認識した場合には、「持分法
を適用した場合の投資」の金額に反映されないため、当該負担額を注記内容に追加
して記載することが望ましい。また、例えば、債務超過額のうち持分に負担させる
べき額を貸付金に対する貸倒引当金として計上している場合には、当該貸倒引当金
の額を考慮して、関連会社の純資産のうち持分に見合う額を算定することに留意す
る。
(3)「持分法を適用した場合の投資利益(又は投資損失)の金額」は、当期の持分法
の適用による投資利益(又は投資損失)を記載する。また、例えば、債務超過額の
うち持分負担させるべき額を貸付金に対する貸倒引当金として計上している
合には、当該貸倒引当金の当期繰入額を考慮して、関連会社の当期損益のうち持分
に見合う額を算定することに留意する。
5.適 用
(1)本報告は、平成14年4月1日以後開始する事業年度に係る財務諸表の監査から適
用する。なお、平成14年4月1日以後終了する事業年度に係る財務諸表の監査から
適用することができる。
(2)「監査委員会報告第58号「個別財務諸表における関連会社に持分法を適用した場
合の投資損益等の注記に関する監査上の取扱い」の改正について」(平成26年1月
14日)は、平成26年1月14日から適用する。