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6 規則第6条に規定する比較情報に関しては、以下の点に留意する。
1 当事業年度に係る財務諸表において記載されたすべての数値について、原則とし
て、対応する前事業年度に係る数値を含めなければならない。
2 当事業年度に係る財務諸表の理解に資すると認められる場合には、前事業年度に係
る定性的な情報を含めなければならない。
「監査基準の改訂に関する意見書」(平成22年3月26日企業会計審議会)二 4(1)では、
過年度遡及会計基準が適用されることに対応して、「財務諸表の期間比較可能性を確保・向
上し、投資者に有用な情報を提供する観点から、金融商品取引法上、前期の財務諸表は、
当期の財務諸表の一部を構成するものとして、当期の財務数値に対応する前期の財務数値
を比較情報として位置づけ、これを開示することが適当である。」とされている。
これらの規定に鑑みると、比較情報は、当事業年度に係る財務諸表の一部を構成するも
のと位置付けられ、当事業年度に係る財務諸表を財務諸表利用者が理解し、その意思決定
に資するものとして前事業年度に係る事項を開示するものであり、前期の数値を期間比較
の観点から、必要な限りで修正・記載したものであると考えられる。したがって、比較情
報の開示に関する基本的な考え方は、当事業年度に係る財務諸表の開示が基礎になるもの
と考えられる。
例えば、「重要な会計方針」(財務諸表等規則第8条の2参照)の開示に際しては、前
事業年度と当事業年度の2期間について開示する必要はなく、当事業年度の開示のみで足
りると考えられる。また、前事業年度に引当金を計上し、「重要な会計方針」において、
「引当金の計上基準」を開示していたが(財務諸表等規則第8条の2第6号参照)、当事
業年度において引当金計上の対象となる事実がなくなり、引当金を計上しないことがある。
この場合、当事業年度における「重要な会計方針」として「引当金の計上基準」を開示す
る必要はないと考えられる。ただし、前事業年度に計上していた引当金の重要性が高く、
当該引当金の計上基準を開示することが、財務諸表利用者の意思決定に資するものであり、
企業の業績等に関する適正な判断のために必要と判断する事項であれば、当事業年度にお
ける「重要な会計方針」として「引当金の計上基準」を開示しなければならない(財務諸
表等規則第6条、財務諸表等規則ガイドライン6及び財務諸表等規則第8条の5参照)。
また、例えば、「偶発債務の注記」(財務諸表等規則第58条参照)に関して、前事業年
度末において偶発債務の開示を行っていた場合で、当事業年度において偶発債務がないこ
とがある。このときにおける前事業年度に係る開示の要否については、当該注記が前事業
年度の財務諸表の特定科目に係る注記事項であることを踏まえ、財務諸表利用者の意思決
定に資するものかどうか、企業の業績等に関する適正な判断のために必要と考えられる事
項かどうかの観点から慎重に判断する必要がある。前事業年度に係る偶発債務の開示につ
いて、財務諸表利用者の意思決定に資するものであり、企業の業績等に関する適正な判断
のために必要と判断する事項であれば、前事業年度の偶発債務について開示しなければな
らない(財務諸表等規則第6条、財務諸表等規則ガイドライン6及び財務諸表等規則第8
条の5参照)。
このように、比較情報の開示に関する基本的な考え方は、当事業年度に係る財務諸表の