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また、その他の記載内容に記載される事項の中には、通常監査人が監査の過程で知
識を得る可能性が低い項目もあると考えられますが、そのような項目についても個々
の監査の状況によっては監査の過程で知識を得ていることも考えられます。
例えば、監基報 720 の A37 項では、財務諸表や監査の過程で得た知識の範囲を超
える情報として温室効果ガスの排出に関する記述が例示されていますが、個別の企
業の状況により重要な虚偽表示リスクに関連する場合(例えば、気候関連のリスク
が固定資産やのれんの減損の検討における回収可能価額の算定において使用する将
来キャッシュ・フローに反映されているような場合や温室効果ガスの排出量に関連
した課税制度が存在する場合)には、監査の過程で企業の温室効果ガスの排出に関
する知識を得ている場合も考えられ、そのような場合には監査の過程で得た知識と
の相違(上記Ⅰ 3参照)として検討されることになると考えられます。
継続企業の前提に関する開示と監基報 720
なお、我が国においては、「企業内容等の開示に関する内閣府令」において、継続
企業の前提に関する重要な不確実性が認められず、注記を開示するまでには至らな
い場合であっても、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況
が存在する場合には、有価証券報告書の「事業等のリスク」にその旨及びその内容等
を開示することを求めており、会社法に基づく事業報告においても、会社法施行規
則第 120 条第1項第4号、第8号及び第9号等に基づき、適切な開示をすることが
望まれるとされています。(監査・保証実務委員会報告第 74 号「継続企業の前提に
関する開示について」)
継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在するか否
か、及び継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるか否かについては、
監査の過程において監査基準委員会報告書 570「継続企業」(以下「監基報 570」とい
います。)に従って検討を実施することになりますが、財務諸表等以外になされた上
記の開示については、監基報 720 に従って通読を行い、財務諸表又は監査の過程で
得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討するとともに、財務諸表又は監査
人が監査の過程で得た知識に関連しないその他の記載内容について、重要な誤りが
あると思われる兆候に注意を払うことになると考えられます。(監基報 570 第 19 項、
監査基準委員会研究報告第6号「監査報告書に係る Q&A」 Q1-7)